本の編集者がパッケージメーカーの社長になりました
こんにちは。
パッケージメーカー・有限会社スマッシュの社長、荒木賢一朗と申します。
スマッシュで勤め始めてから約8年間が過ぎましたが、たびたび「東北の人っぽくないよね」「年齢不詳ですね」「変態だよね」と言われてきました。・・・良い意味で言われていると受け取ってますよ。
今回は、私がどんな人間なのか、過去の仕事の経歴とあわせて紹介します。
本の奥付に載ることが夢だった(らしい)
私は、東北地方・宮城県の出身です。高校卒業後は、関東の大学に進学しました。
幼い頃から「東京で本を作りたい」という漠然とした夢を持っていたので、卒業後は、メディアワークスという出版社(合併を繰り返して現在はKADOKAWA)に、フリーランスのゲームライターとして潜り込みました。
夢中になって新作のゲームや原稿に取り組んでいくうちに、偉い人から「荒木は編集やりたいの?」と聞かれました。反射的に「やりたいっす」と答えたら、その日の打ち合わせから、編集業務を任されるようになりました。
見よう見まねで編集らしき仕事をして、完成した雑誌の奥付に「編集・荒木賢一朗」と名前が載ったのを見て、
「あ、夢が叶っちゃったな」
と、思いました。「東京で本が作りたい」という漠然とした夢は、「雑誌の奥付に自分の名前が載る」で達成されてしまったんです。24歳にして東京に来た目的を果たしてしまった。
自分でも意外だったのですが、それからはのめり込んで本づくりに勤しみました。徹夜が当たり前の仕事でしたが、それすらも楽しみのひとつだった気がします。
2週間に1回発売される定期刊行物に携わっていたので、成功も失敗もハイスピードで経験できたことは幸運でした。
「スマッシュの荒木さんは仕事が早いね〜」と評価していただくことがあるんですが、私自身はそんなに急いでいるつもりはなく、雑誌編集時代の感覚が抜けていないんだろうな・・と思います。マグロのように泳ぎ続けてしまうというか。
仕様策定にどっぷりハマる
そのうちに、書籍制作も手がけるようになりました。
上の写真のような国民的アクションゲームの攻略チームに配属されたり、版権モノのゲームの攻略本などをプロデュースしたりしました。
攻略本は、ゲームファンにとってのコレクションでもあるので、本文の正確さ、内容の濃さはさることながら、ゲームのイメージを膨らませる装丁やキャッチフレーズ、購入者の所有欲を満たすようなボリューム、判型(本のサイズ)、紙質も大切です。
この仕様を策定する作業が、実に楽しいんです! 私が所属していた攻略本編集部は、編集者が仕様を策定する権限を持っていたので、私もどっぷりハマりました。
編注・どっぷりハマる:ゲーム雑誌でしか見られない表現。中毒性が高く、やめ時が見つからないという意味。
好きなイラストレーターにラフ画を提出してオリジナルイラストを描いてもらい、腕利きのデザイナーに格好良くレイアウトを組んでもらい、信頼できる編集プロダクションやライターに原稿を仕上げてもらう・・頭の中でそんな青写真を描くだけで、「神」になった気分です。
しかし、その仕様を関係者に伝えると、営業部から「売り時が重要だから納期厳守で」とか、生産管理部から「その仕様じゃ予算オーバーだから紙質落として」とか現実的なツッコミが次々と入り、一気に冷めます。俺の昂った気持ちを返して!
まぁ、そんな劣勢に置かれた状況を、情熱を持って覆していくのも、編集者の醍醐味なんですけどね。
本づくりとパッケージづくりの共通点を見つけた
思い出語りが止まりそうもないので、強引に今のパッケージメーカーの仕事の話に戻します。
じつは、書籍の仕様を策定するのと、パッケージの仕様を策定するときの思考回路はかなり似ています。夢(やりたいこと)と、現実(納期やコストなどの制約条件)をぶつけ合わせて、最適解を導き出す。この共通点に気づいてから、私がパッケージメーカーの仕事が天職と思えるようになりました。どっぷりハマってます。
そんな格好良い建前を振りかざしつつ、パッケージメーカーの社長になった今でも、「みんな繁忙期で忙しそうだな〜〜〜でもzineを作りたいんだよな〜〜密かに作っちゃおうかな〜〜〜」とキョロキョロしながら作ってしまうのが私だったりします。
暮らす場所や立ち位置が変わっても、夢と現実の狭間で揺れ動き続けるのが、私らしさと言えるのかもしれません。お後がよろしいようで!
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