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【後編】解くべき課題を見極めて、価値を創造する─SmartHR PMMインタビュー

この記事は、SmartHR PMMインタビュー記事の後編です。「PMMになった経緯や、SmartHRにおけるPMMの役割」についてお話ししている前編は、こちらからご覧ください。


4. PMMとしてのやりがい


─価値の創造、そしてどう売るかに責任を持ちさまざまな役割を担うPMMですが、皆さんはどんなところにやりがいを感じていますか?

辻:ちょっと抽象的な話になりますが、「昨日この世界になかったものが、今日ある」っていう感覚が好きなんです。自分がやったことが世界に何か影響を与えて、それまでなかったものが生まれる。最近リリースされた機能も、過去の自分が考え抜いてやると決めたからこそ、今ここに存在する。その感覚がいいんですよね。

あとは、実際にお客さまにヒアリングをすると、本当に困っていてどうにかしてほしい、という切実な声を聞くんです。すぐには対応できないのですが、困りごとを解決できるような機能がようやくリリースされたとき、お客さまの嬉しい声を聞けると、やっぱりやりがいを感じます。自分がプロダクトをつくったわけじゃないんですけど、すごく嬉しい気持ちになります。

重松:わかる。PMMはプロダクトを作るところから関われるから、もっと嬉しいですよね。

辻:もしかしたら自分がいなかったらこの意思決定はしてなかったかもしれないんだなと思うと、存在意義をそこに感じますね。

島田:手触り感があるところは、私もいいなと思っています。転職の際に外資系企業も考えはしたんですが、その場合PMMといっても、本国が作ったプロダクトをリリースするローカル拠点の一つとして役割を果たすことになるので、プロダクト開発に関われている感覚は薄いんですよね。SmartHRにジョインしたら、GoToMarketの部分とプロダクトの企画の部分、両方に関われる。それは、私が転職先にSmartHRを選んだ理由の一つでもあります。

重松:確かに外資系企業だと、本国の意思決定に関与できないとは聞きます。うちだと、プロダクトの意思決定へのPMMの関与度はかなり高いです。経営メンバーやVPとも肩を並べて対話するポジションなので、手触り感は非常に強くありますね。

島田:あとは、PMMの面白さって、ハブの役割を果たしているからこそ、自分の動き方やGTM戦略次第で、施策にレバレッジをかけて何倍もの価値を生んでいけるところかなと思います。
タレントマネジメントは重松さんが立ち上げて、それが今、数十億の規模にまで成長しています。最初は数人で企画を立ち上げて、広げていくためにセールスチームやCSチームに対してベストプラクティスを提案できれば、どんどん売れていくし、その先に次のプロダクトを早く作ることができる。PMMは少人数チームですが、一人ひとりの動きが、事業に何倍もの好影響を与えられる可能性があるのが醍醐味の一つですよね。

辻:これという正解は提示されないので自分で探していくしかなく、難しさはありますけどね。自分で、そしてほかのメンバーと協力して成果を作っていって結果が出たときが、やっぱり一番やりがいを感じますね。

5. PMMに必要な視座、視点


─ここまでお話を聞いてきて、PMMの動き方は多岐にわたるし柔軟でもあるなと感じます。その中でもこれは肝、と考えていることはどんなことですか?

辻:人事労務領域はプロダクトが大きい分、既存顧客も新規見込み客も多く、いろいろな課題が上がります。その中で、たとえば大企業の契約に関わる課題は、確かに重要なんですが、全体で見たときに果たして本当に重要度が高いのか、という見極めは大事ですね。

顧客の声を表面的な部分だけで判断してしまうと本質を見誤る可能性もあります。そういうときは、実際にお客さまの声を聞きに足を運ぶことが大切だと思います。そうすると、上がっている課題はあくまで現在の運用をベースとしたものであって、その前提を取り払うと根本の課題は別のところにあったりして。ヒアリングを重ねていくことでコアな課題が見えてきます。これはCS時代から意識してきたことではあるんですが、PMMになると一層重要だなと思うようになりましたね。

島田:一つ言えるのは、プロダクトの力やセールスの力だけで戦うんじゃなくて、団体で戦える組織にしていくことなんじゃないかなと思います。
たとえばプロダクトを売るときにも、売るためにどこにスポットを当てていくのか戦略を立てる、セールスチームにどんどん売り方の武器を渡していく、プロダクトへの解像度を上げるためにレクチャーをしっかりしていく。トラブルがあれば拡大しないように、開発やCSに早めに伝えて改善を早くする。プロダクトを中心にみんなで戦えるように、それぞれのチームの力を高めていくような動きができるといいのかなと考えてます。

重松:私はタレントマネジメント領域で追う立場というのもあり、リソースも潤沢にあるわけではない中で「本当に解くべき課題は何なのか」をひたすら見極めることが重要かなと思っています。戦線を広げすぎるとリソースが分散してしまいどこでも勝てない結果になりかねないので、どこで勝ちきるのかを見定めて、そこにリソースを投下することはかなり意識してやっています。

─プロダクトが生まれるところから市場へ送り出され、成長していくすべての過程をPMMは見ているわけですが、経営や事業成長の視点も求められますね。

重松:そうですね。プロダクトに対して責任を持って、どういうロードマップで進めていくのかは、PMMとPMを中心に決めています。それをもって経営サイドと話をしています。うちはボトムアップ型組織が徹底されているんで、その時点で経営からNoが出ることはほとんどないですね。新しい観点から、ここはどうなの?という質問が入って議論になることはありますが、基本的には現場で決めたことに沿って進めていきます。

─これからSmartHRにPMMとしてジョインする方に持っていてほしい目線はありますか?

重松:経営目線、事業目線もあったほうがいいですが、プロダクトに対してどこまで自分事にできるかというマインドのほうが大事かなと思っていて。「これはもう自分のプロダクトなんで、自分が方針を考えるし、この成功のためになんでもやります!」というスタンスがあればいいかなと私は思ってます。経営との対話とかは、それに紐づくかたちでおのずとやるようになりますから。

6. SmartHRのPMMとして、これから注力していくこと


─SmartHRは2024年1月に大規模な組織改編をして、新しいスタートを切っています。PMMも新たなユニット編成になりましたが、これから注力していくことについても聞かせてください。

辻:人事労務領域は、これまでは主に機能のアップデートに注力してきました。でも、会社として掲げている目標はとても高くて非連続な成長が必要とされている。既存のプロダクトであっても、ここから新しい価値をつくり出していかなければなりません。新規事業とまではいわずとも、まったく新しいものを作り出していくことをテーマにしています。

まずは人事労務プロダクトの中でも、やり残している課題は何かを洗い出して、どこに注力すれば事業インパクトを出せるのかを見極めていくところからですね。既存事業の土台との掛け合わせで、シナジーが生まれるプロダクトを生み出していきたいと考えています。

島田:IDポータルユニットは、新しい領域に踏み込むフェーズにあります。人事労務からタレントマネジメント領域へと進出したときもそうだったと思うのですが、ビジネスとして今までの方向性と違うところを開拓していくときって、社内でも社外でも、いろんな摩擦が生じると思うんです。たとえば今まで相対していた顧客とは異なる層にセールスを仕掛けていくチャレンジをしなければならないなど、難しさを感じることも当然出てきます。
そういうときに、既存プロダクトとのバランスを取りながらも、改修が必要なら遠慮せず踏み込んでいくなど、しっかり連携していくことが大切になってくると思います。新規事業単独で勝手に進んでいくのではなく、変革のタイミングを乗り越えていくには、PMMが間に立ってみんなで頑張らないといけないと思っています。

重松:タレントマネジメントユニットでは、先ほどもお話したようにまだまだ足りない機能があるので、ユーザーがやりたいことを当たり前にできるプロダクトをまずは成立させたいと考えています。それによって、セールスやCSも当たり前のように、息をするようにタレマネを売ってきてくれるという状況を作っていきたい。そこが今年のテーマです。

それぞれのユニットでの具体的な動きも含めて、リアルなお話をありがとうございました!


前編・後編とお読みいただきありがとうございました!
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インタビュー・文:伊藤 宏子
撮影:@4hu(SmartHR)