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事業戦略発表会では話せなかったSmartHRの組織のリアル

こんにちは、SmartHR CEO の芹澤です。

本日、SmartHR事業のARR100億円到達を機に「事業戦略発表会」を開催し、「これまでのSmartHR」と「これからのSmartHR」についてお伝えさせていただきました。

事業展開の歴史やこれからの戦略・展望についてお話しさせていただいたのですが、尺の都合でどうしても外さざるを得なかった話題があります。

それは「組織」についてです。

言わずもがなですが、事業の成長と組織の成長は切っても切り離せないものであり、事業の戦略や展望を話す上で組織について話すことは必要不可欠なものと考えています。

そこで、ここでは事業戦略発表会では話せなかった、SmartHRの組織のリアルについて書いていこうと思います。

事業戦略発表会で素敵な写真を撮っていただきました

CEO交代から1年、見えてきた景色

僕は2022年1月に前任の宮田さんより代表取締役CEOを引き継ぎました。CEOになるとはいえ、SmartHR社には2016年2月から在籍していて、社員数10名未満の頃から組織を見てきています。CEOの前にはCTOとしてプロダクト組織全体も見てきているので、自分から見える景色はそこまで変わることはないだろうと思っていました。

ただ、現実は少し違いました。

CTO時代は「経営戦略に沿って高品質なプロダクトをスピーディに作る組織作り」をずっと考えていたのですが、CEOになると、僕の関心ごとは「中長期的に高い成長を続けられる事業戦略と組織作り」へと変わりました。その視点でイマの組織を見ていると、ミライの理想像との差分が色々と見えてきたのです。

SmartHR組織の足りないところ

SmartHRは皆さんが「スタートアップ」と聞いて思い浮かべるであろうアーリーステージの会社と比べると、かなり色々なことが整った企業と言えるでしょう。ただ、僕たちが目指しているのは社会をより良く変えていくことであり、そのためには数千名を超える社員が必要になると考えています。世の中のその規模の大企業と比べると整っていないことの方が圧倒的に多いのです。小さな企業の価値観・ロジックのまま体が大きくなりすぎてしまった、というような感覚かもしれません。

具体的な内容をどこまで書くか悩ましいところではありますが、以下の会社紹介資料に記載されているものからいくつかピックアップしてみます。

例えばp.16に示される職種について。

p.16「社員数(東京)」

一見さまざまな職種があるように見えますが、これは初期フェーズのメインプロダクトであった「労務効率化SaaS」としてのSmartHR事業を伸ばすことに最適化された組織構造のようにも思います。事業戦略発表会でもお伝えした通り、SmartHRがこれから目指すのはタレントマネジメントやその他多くの事業領域を開拓していく「マルチプロダクト戦略」です。組織規模を何倍にも大きくして、イノベーションを継続的に生み出し、プロダクトを多角化し、多種多様な企業の方々にサクセスしていただく。これを実現するのには、もっと別の適した組織構造があるのではないでしょうか。
そうなってくると、p.38の評価制度についても、これは現状全社員一律に適用されているのですが、役割やミッションが多様化してくると、もう少し柔軟性を持たせても良いように感じます。つまり、組織体制も人事制度も、新しいフェーズに向けて非連続な成長を遂げることが求められています。

また、p.39にある「自律駆動」というバリュー。

p.39「価値観マッチについて」

これは僕のとても好きな価値観の1つではあるのですが、組織が大規模化・多様化してくると何をどこまで「自律駆動」に頼るべきかの解釈は変わってくると思います。例えばスキルアップや成長までも自律駆動に頼り切るのは難しくなるでしょうし、その辺りをカバーする「マネジメント力の強化」が求められてくるでしょう。
関連してp.36にある福利厚生について。記載の通りSmartHRでは今まで様々な福利厚生が社員による自律駆動で柔軟に作られてきました。これはとても良いことだと思っていて、実際これらの福利厚生によって一定の「働きやすさ」が実現されています。反面、福利厚生や働き方といったいわゆる「組織開発」の領域に明確なオーナーが不在のまま現在に至っており、適切なタイミングでの効果測定や棚卸しがあまりされていないという課題もあります。カルチャーやバリューの解釈に関しては組織のフェーズに合わせて常に変化させていくものだとは思いますが、人数規模が大きくなればなるほどその浸透施策は工夫を求められてくるでしょう。

これらはほんの一例で、組織をより良くするための「伸びしろ」がそこら中にあるなと感じています。

SmartHR組織の良いところ

もちろん、良いところもたくさんあります。なんならここに挙げきれないくらいあるのですが、CEOになってから見えてきた差分を2つほどピックアップしてみます。

1つは、「SmartHRという事業を成長させること」に本当に全社一丸になっていることです。
もしかしたら「当然のことだろう」と思われるかもしれませんが、800人というダンバー数をはるかに超える数の人が共通の信念を持って結束するのは、とてもすごいことだと思います。カルチャーとバリューが高いレベルで浸透している賜物です。事業を成長させるための「コト」に向き合えて、「ヒト」に関する不必要な調整や衝突が起こりにくい。このような環境で働けることに楽しさを感じますし、このような組織を経営できることに誇りを感じます。

もう1つは、学習して変化できる組織であることです。
SmartHR社では年始に1年間の注力ポイントとして「全社スローガン」を発表しているのですが、そのスローガンを受けての対応スピードが全社的にとても速いです。中には今まで担ってきたロールを変えることを求められる人もいますが、そのような変化を恐れず、また、変化のために貪欲に学習する人がほとんどです。このしなやかさこそが、SmartHRの事業成長を支えてきたのだなと、改めて思いました。

これらの点は、今後も大切にしていきたいところです。

SmartHRらしい大企業を目指して

スタートアップらしく、走りながら考えてきた僕たちですが、そろそろ大企業(あえてこう書きます)になっていくことを視野に入れて上記のような混沌を整理していきたいと考えています。

ところで、世の中には「大企業病」という言葉があり、組織が大きくなることは「スピードが遅くなる」とか「コトではなくヒトに向き合い始める」というネガティブな印象が持たれがちです。

はたして本当にそうでしょうか。

もちろん、そうなってしまう傾向があることは間違いないとは思いますが、これまでのSmartHRを見ていると「そうではない」形で組織を大きくしていける可能性を感じますし、僕も組織をそのように導いていける自信があります。

まだこの世に存在しないSmartHRならではの新しい大企業を、本気で目指していきます。

ところで、SmartHR社では昨年、コーポレートミッションを以下の通り改定しました。

SmartHR コーポレートミッション

世の中を well-workingな状態にするためには、社会に対してもっともっと強い影響力を及ぼせる存在にならないといけません。そのためには、ARR100億円からの10xを実現する事業戦略と盤石な組織基盤が必要です。
well-workingを実現した未来に立ったとき、きっと僕たちがおかれているこの現状は、驚くほど未熟でカオスなものに見えるのでしょう。長い目で見れば、まだまだ組織の黎明期にいると本気で思っています。

そして大切なのは、決して「医者の不養生」になってはいけないということ。well-workingな世の中を作っていく僕たち自身の組織が、well-workingな状態になっていなければいけません。

最高の組織で最高の事業を作って、世の中を変えていける。こんなチャンス滅多にないですよね。ワクワクしかしないです。

組織はもちろん、事業としても課題は山積みでまだまだやることだらけです。ただ、いつの日か必ず「SmartHRがない時代にどう働いていたのかがわからない」と思っていただけるような存在になりたいと思っていますので、これからもどうぞ、よろしくお願いします。

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先ほどサラッと「ARR100億円からの10x」と書きましたが、つまりARR1,000億円ということで、これは当然ながら国内SaaS企業では未踏の領域となっています。
そのためには、もっとたくさんの「労働にまつわる社会課題」を解決していく必要があります。

「課題解決ジャンキー」なみなさま、ぜひ一緒に働きませんか。

ご応募、お待ちしております。