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制作会社から事業会社へ。入社して1年の2人に、SmartHRのディレクター職について聞いてみた

2023年1月にSmartHRに入社し、間もなく入社から1年を迎えるimaiさんとRさん。お二人は、コミュニケーションデザインを担うユニットでディレクターとして働いています。制作会社と事業会社によって、また組織によっても役割や業務内容の違いが大きいディレクター職について、SmartHRの場合を聞いてみました。
imaiさん、Rさん、1年間を振り返ってみていかがでしたか?


制作会社でのディレクターを経て、事業会社へ

ーーさっそくですが、SmartHRに入社するまでのキャリアを教えてください。

imai:私は1社目は出版社で営業をしていました。しかし、半年ほどで会社が倒産してしまい、次はウェブデザイナーを目指そうと思い、職業訓練校に通います。ここで簡単なウェブサイトが作れるようになりましたが、長くは続かず……。2社目は結婚指輪のポータルサイトを運営する広告代理店に広告営業として入社しました。しかし、やはり制作をやりたい気持ちが強く、3社目としてウェブの制作会社にウェブディレクターとして入社します。4社目は、メディアも運営する制作会社のCINRAで、最初の3年間は制作チームでディレクター、続く3年間はメディアの編集、プロデュース、営業を担当しました。5社目として、2023年1月に入社したのがSmartHRです。

左側に、男性の似顔絵。右側に、imai、コミュニケーションデザイングループ Directionユニットと書かれている。右側の背景に薄くSmartHRのロゴが描かれている。
【imaiさん】株式会社SmartHR
コミュニケーションデザイングループ Directionユニット所属

R:私は転職経験がかなり多く、1社目は、金融システムを作る会社でした。5年に一度入れ替えが発生する大きなシステムだったのですが、次世代にシステムが移行すると私の作ったプログラムはなくなります。しかし、その頃からモノづくりへの憧れがあり、「移行したらなくなってしまうのは嫌だ。形に残る仕事がしたい」と思い、ホームページの制作を学ぶ学校に通い始めました。ホームページという言葉に時代の移ろいを感じますよね(笑)。

その後は数社続けてウェブの制作会社に入り、少しだけ事業会社にいたこともあります。当時はウェブ制作の役割分担があまりわかっていなかったけれど、ウェブデザイナーが花形だと思っていたことから、デザイナーとして転職活動をしていました。しかし、デザイン経験もスキルもなかったため不採用が続きました。

左側に、アライグマの写真。右側に、R、コミュニケーションデザイングループ Directionユニットと書かれている。右側の背景に薄くSmartHRのロゴが描かれている。
【Rさん】株式会社SmartHR
コミュニケーションデザイングループ Directionユニット所属

ーーRさんは、デザイナーを目指していたところからなぜディレクターになったのでしょうか?

R:転職活動中にとある企業から「あなたはデザインの経験はないけれど、情報をまとめる能力はありそうだから、ディレクター職はどうですか?」とお声がけいただいたことがきっかけです。そこからディレクターとしてのキャリアを歩み始め、「判断するディレクションではなく、判断する人を支えるプロジェクトマネージャー(以下、PM)の方が私には向いている」と思いPMになりました。そこから2社を経て、2023年1月にSmartHRに入社しました。

ーーお二人とも様々な経験がある中で、SmartHRへの転職を考えたきっかけは何でしたか?

imai:前職、前々職でもウェブディレクターをしていましたが、一時期はディレクターの他にメディアのセールス、記事編集、イベント運営なども担当しており、自分が何をやっているのかがわからなくなっていました。また、業務が非常に忙しいこともあり、今後どのようにキャリアアップをしていくかが見えなくなっていたところ、そのタイミングで、コミュニケーションデザイングループの@sekigさんに「SmartHRで一緒に働きませんか?」と声をかけてもらったんです。@sekigさんとは前職で一緒に仕事をしていたことがあり、「次に働くなら、事業会社で経験を積むかフリーランスになろう」と考えていた時期でもあったんですね。

同時に、前職の業務で「働くこと」について調べる中で“働く”の100年史WEDNESDAY HOLIDAYのクリエイティブを見ていて、クオリティが高くてすごくいいなと思っていました。そこで、まずは選考を受けてみよう、と。

ーーimaiさんは、転職先の候補としてSmartHR以外の会社も見ていましたか? また、なぜSmartHRを選んだのでしょうか?

imai:ITの事業会社、もしくはIT以外の業界も複数社受けていましたね。
SmartHRを選んだのは、面接で「働いている”人”が良さそう」と感じたことが大きかったです。また、「ビジネスライクなだけではない空気感」がいいなと思いました。日常的に数字を追いそれぞれの責任を持って動いていますが、コミュニケーションの中に遊び心が感じられます。

SmartHRの東京オフィスフリースペースの写真。椅子と机が複数並んでおり、窓の外にはビルのガラス窓が見えている。

ーーでは、RさんはなぜSmartHRに入社したのでしょうか?

R:実は私は、前職から転職するつもりではありませんでした。しかし、自社が親会社に吸収されることが発表され、これでは働き方や業務内容が変わってしまうと思い、急遽転職活動を始めました。制作会社を中心に選考を受けていて、事業会社ではSmartHRだけを見ていました。

そのときに考えたのは、制作会社に入ると今までと業務内容がほとんど変わらないだろうな、ということ。それなら、事業会社を選んだ方がスキルの幅が広がるかもしれない。また、@imaiさんと同じくSmartHRに対して「人が良さそう」と感じたことが大きかったです。
私も前職の同僚からSmartHRを紹介いただいたのですが、「前職とコミュニケーションが似ている」と聞き、「30人の前職と、1,000人近いSmartHRのコミュニケーションが似ているってどういうこと?」と興味を持ちましたね。

ーー実際に入社してみて、30人の会社と1,000人の会社で、コミュニケーションは似ていましたか?

R:似ていると思います。SmartHRはコミュニケーションが基本的にフランクで、社内でまだ接したことがない方からもSlackでたくさんリアクションが来るところなど、人と人が近い距離感で働いている会社だと思います。

ーー制作会社と事業会社の両方を経験するとスキルが高まりますが、環境が変わると負荷が高いとも思います。その中で、なぜ事業会社であるSmartHRを選んだのでしょうか?

R:私は新規プロジェクト案件が多く、運用案件はほとんどやってきていない状況でした。また、制作会社では新規プロジェクトの始めから終わりまではコミットできますが、終わった後には関われない。そのため、新規プロジェクトの1,000本ノックのような状態です。体力も必要ですし、10年後も同じ仕事を続けられるか不安を感じていました。
それに比べて事業会社が易しいわけではありませんが、プロジェクトが終わった後にもコミットできそうですし、両社を経験することで目線が変わるかもしれないと思ったためです。

背景の把握と、地道な運用の難しさ

ーーSmartHRに入社してからの1年間での担当業務と、印象的だったことを教えてください。

R:私はサービスサイトの運用と、まだ公開前ですがとあるウェブサイトのリニューアル施策を担当しています。

サービスサイトの運用で入社して間もない頃に印象的だったのは、依頼者がどういった所属の方で何をやりたくて連絡しているのかという背景情報が全然わからなかったことです。具体的には、Slackのワークフローで各部署から「サービスサイトのここを直したい」といった依頼がポンポン飛んでくるのですが、その度に「あなたは誰で、何をしたいんだい?」という部分から把握を始めます。
入社から半年ほど経過すると「この人は〇〇の部署だからこういうことがやりたいんだ」と理解し戸惑いは減りましたが、最初のうちは全体像の把握に結構時間がかかりましたね。

ーー依頼者全員がデザインに明るいわけではないため、最適解ではない依頼をしてしまうこともあると思います。その辺りはどのように対応していますか?

R:そうですね、「1文字直したいです」「なぜそれをしたいのですか?」「〇〇をやりたいからです」「それなら別の方法が良いのでは?」というコミュニケーションは確かにあります。その際は、私の考えを伝えますしメンバーも別の案を出してくれて、目標達成に向けて話し合いながらみんなで最適解を見つけていきます。

水色のリボンを首に巻いたヤギの置物。

ーーリニューアル施策で印象的だったことはありますか?

R:リニューアル施策は、まず体制を整えるところからのスタートでした。また、これまでのキャリアでは受注者の立場だったため、今回依頼する制作会社さんに対して「これはやってもらえないのかな?」とモヤモヤを感じることがあります。当然、制作会社さんは私の経験とは違う方法で進めるのですが、今でも私は発注者側の立場になりきれないことがありますね。

また、依頼する側の期待値として「このタイミングでこういうものを出してもらえるのでは?」「私だったらこうやる」と勝手に思ってしまうことがあるので、そこは都度「違う会社なのだから、きちんとコミュニケーションを取らなくては」と思いながら進めています。

ーーでは、imaiさんがSmartHRに入社してからの1年間での担当業務を教えてください。

imai:私はブランド領域を担当しています。具体的には、コーポレートサイトの運用、WORK DESIGN AWARDSmartHR ACCESSIBILITYなどのプロジェクトです。
印象的だったのは、SmartHRに入社するまでアクセシビリティ(※)という概念を知らなかったので、まずアクセシビリティというものがあって、それに関する仕事があると知ったことですね。SmartHRはアクセシビリティ向上に力を入れているため、プロジェクトの一環として、動画やサイト制作に携わることとなり、プログレッシブデザイングループの@maverickさんのように障害のある方とも連携して業務を進めています。こういった環境も初めてで発見が多くありました。

※アクセシビリティ(Accessibility):「サービスや情報を利用できる人や状況の幅広さ」を意味します。サービスや情報を身体・精神の障害の有無や年齢、得意な言語など個人の特性によらず利用できるかどうか、また、怪我をしている、病気をしている、外出しているなどの状況によらず利用できるかどうかがアクセシビリティです。

引用元:SmartHR ACCESSIBILITY

ーーアクセシビリティを意識した経験がない中で制作を進める不安はありませんでしたか?

imai:最初は「全然わからない」と思いました。1年経った今でもわからないことはまだ多くあります。しかし、「SmartHR ACCESSIBILITY」プロジェクトは、今までアクセシビリティに触れてこなかった方に興味を持っていただくことが目的の一つなので、自身の「わからない視点」も大切だと思い、わからないことは都度聞きながら勉強し進めていきました。

高層ビルが並ぶ17階からの風景。

ーーでは、それ以外にこれまでの業務で難しかったものはありますか?

imai:Rさんと同じく運用です。コーポレートサイトの運用は制作会社さんとご一緒していますが、社内の体制が整っていない中でいろいろな部署からディレクター宛に依頼が届きます。細かくやりとりをして内容を把握し優先順位を決めて対応していくのは、地味で地道です。例えば、新規にサイトを作る場合は「新しいものができていいね」と注目されやすいですが、運用は目立ちません。

R:地味ですが、依頼はたくさん来ますよね。

imai:でも、そういう運用も大切なんですよね。

制作会社の“自由度”と、事業会社の“永遠に話せる情熱”という違い

ーーimaiさん、Rさん共に制作会社で働いた後にSmartHRに入社されていますが、制作会社と事業会社の違いはどんなところに感じますか?

R:私は制作会社に長く勤めていたのですが、制作会社はどの会社でも役割はあまり変わりません。例えば、プロデューサー、ディレクター、PM、アートディレクター、デベロッパーなど。そのため、どの会社でも「私は私の仕事をする」という感じでした。

一方で、事業会社はいろいろな役割の方がいて、私の知らない仕事もたくさんあります。そのため、先ほどお話ししたように「マーケティング(以下、マーケ)の仕事ってそういうこともやるんですね。知りませんでした」といった場面がたくさんあり、最初は理解が追いつきませんでした。

また、ウェブサイトの知識がない状態での依頼が多いことも違いの一つだと思います。依頼者が手法を知らないことから壮大な依頼になってしまっている場合があるので、そういうときはヒアリングを経て「もっと簡単に改善できます」と別の方法をお伝えしています。

ーー私もウェブサイトの知識がないため、具体的にどうすればいいかがわからないまま依頼してしまいそうです。

R:そうですよね。実際には、Miroで簡単なサンプルを作って擦り合わせをするなど、コミュニケーションを取る中でヒアリングと深掘りをして、最適解を探していきます。

制作会社時代は、プロジェクトとしてすべきことやミッションが明確で、ウォーターフォール的にいつ、誰が、何をやるという情報を整理していました。しかし、事業会社の場合は、今日はこれをやって、明日はこれをやるというような小さい情報がたくさんあるため、優先順位の付け方が難しいと感じています。

SmartHRの東京オフィスフリースペースの写真。椅子と机が複数並んでおり、中央付近に水色の壁と「SmartHR」というロゴが写っている。

ーーでは、imaiさんは制作会社と事業会社の違いはどんなところに感じますか?

imai:これまで私は制作会社で、セールスなどいろいろな役割を担当してきました。事業会社はプロダクトを成長させて〜売るという一連の流れの一つひとつを別チームが担当しており、全員で一つのものを仕上げていきます。そのため、例えば営業資料一つ見てもすごく完成度が高いなと。
会社にもよると思いますが、制作会社は新規で1つ制作すると、運用まで見届けることなく担当が終了する場合が多い。事業会社は、作った後も自分たちのものとして運用を続けていくため、もう少し長いスパンで捉えていると思います。

また、制作会社の方が案件ごとにカラーが異なるため、1件あたりの制作の自由度が高いと思います。例えば、デザイン一つとってもトーンが毎回異なります。一方の事業会社は、デザインのレギュレーションを統一させ、「SmartHRらしさ」の枠組みの中で表現しますよね。

R:わかります。制作会社だと、お客さまに合わせて、最適なデザインやコンテンツの実装をするのですが、事業会社の場合は「自分たちのもの」という感覚があるので、良くも悪くも、「どうすれば良くなるか」を永遠に話し合っているメンバーがいるんですね。制作会社の場合は、お金やスケジュールの事情から「この話は一旦ここで区切らないと、次の工程に影響が出るので」とバッサリ切ることがある。しかし、事業会社だと自分たちのものなので、どうやったら良くなるかをずっと話せてしまう。「どうしよう、これは止まらないな」と思うこともありますが、情熱があるのは素晴らしいと思います。

SmartHRの東京オフィスエントランスの壁の写真。右手に「SmartHR」のロゴが写っている。

長い視点で制作する面白さと、ステークホルダーの多さゆえの難しさ

ーーSmartHRでディレクターとして働く難しさ、面白さは何でしょうか?

R:先ほど「どうすれば良くなるか」を永遠に話せる……という話をしましたが、こだわりを持てる点が面白いと思います。具体的には、私たちが背負っているSmartHRという看板を、より良く伝えていく方法を追求できる点ですね。

難しさは、ステークホルダーが多いことです。1か所修正すると、同じ部分について他部署から別の要望があり、交通整理が大変なことがあります。リニューアルに際しステークホルダーの洗い出しを行ったところ、これまでで一番長いリストになって白目をむきました(笑)。

imai:同感です。私が担当しているブランド領域の施策も、単発で終わるのではなく全体の「SmartHRらしさ」を作り、ブランドの認知やイメージを向上させ、サービスの売り上げなどにつなげていく。一つ作りそれだけで完結するのではなく、全体の中の一つとして腰を据えて、長い視点で制作できるところが楽しいですね。

また、制作会社さんやパートナーさんと一緒に進める機会も多いので、これまでのキャリアの中で競合として見ていた他社さんに発注する機会があります。その際に、「こういうやり方で進めるんだな」「イメージ通りのクリエイティブが来るな」という面白さを感じられる点も、事業会社ならではだと思います。

難しさは3つあります。1つ目は、社内で関わる人や確認者が多く、非常に時間がかかること。2つ目は、SmartHRのコミュニケーションデザイングループ内にディレクションユニットができてまだ日が浅いため、「コムデのディレクターが何をやっていくべきか」という定義がまだ確かなものではないこと。3つ目は、制作の知見があるメンバーとそうでないメンバーがいるため、状況に応じて自分の役割が変わることです。

R:サービスサイトの運用の場合は、新規顧客を得る場所という意味でマーケの視点が必要であり、ユーザーに向けた話し方や表現という意味でコミュニケーションデザインの視点が必要です。どちらか一方に主導権がある、どちらかが偉いというわけではなく、一緒に進めていけるところが組織の魅力だと思います。

「SmartHR」と書かれたペットボトルが右寄りに写っている。

「SmartHRのディレクターは強いチーム」と感じてもらえるように

ーー最後に、今後やっていきたいことを聞かせてください。

imai:2024年1月からの体制変更により、ディレクションユニットはブランド領域とサービス領域の2つに組織がわかれます。私は引き続きブランド領域を担当するので、今のSmartHRのブランディングから一歩ステップアップさせる、全体の底上げをしていきたいと考えています。
また、若手のメンバーが増えていく中で、お互いの知識や知見をシェアすることで、「SmartHRのディレクターは強いチームだ」と社内外から感じていただけるような組織にしていきたいと、まだ漠然とですが感じています。

R:私はディレクターとして入社しましたが、能力としてはPMです。そして、コミュニケーションデザイン領域において、プロジェクトマネジメントという考え方をもっと浸透させていくことができると思っています。また、これはディレクターだけではなく、プロジェクトのオーナーになるマーケのメンバーも知っていると良いことだと思っているので、職種を超えて浸透させていきたいと思います。

左上と右下に水色の物体がぼやけて写っており、奥に机・椅子・冷蔵庫が見えている。

 SmartHRではディレクターを募集しています

imaiさんとRさんが働くディレクションユニットでは、ディレクターを募集しています。最後に、「SmartHRでディレクターとして活躍するのはどういう方だと思いますか?」と聞いてみました。

R:SmartHRは変化が激しい会社なので、その流れに乗れる方、でしょうか。「私はこれがやりたい」という気持ちを強く持っていれば、環境が変わっても大丈夫だと思います。

imai:SmartHRは、どの職種でも様々なバックグラウンドを持つ方が働いています。ディレクター職では、ディレクターの経験が豊富な方だとすぐに活躍いただきやすいと思いますが、個人的にはそうではなくても良いと思っています。また、いろいろなことに興味を持ちクリエイティブが好きな方だと、「こういうものが世の中にはあるよ」と教え合えるので刺激がありそうだなと感じています。

なお、imaiさんとRさんが所属するディレクションユニット全体を紹介した記事「事業と制作をつなぐ、SmartHRコムデのディレクションユニットについて」もおすすめです。また、ディレクションユニットは2024年1月より目的別の2つの組織に変わるため、詳細は「マーケティングとコミュニケーションデザインを担う、新しい組織をつくります」をご覧ください。


取材日:2023年12月4日