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福岡から見える景色 _いち構成員の雑記

これは組織のいち構成員個人の雑記です。企業・組織の活動方針や今後の戦略とは一切無関係ですのでご承知おきください。

いち構成員の憂い

自分の人生、もっとSURVIVEしなきゃ。
そんな風に思うことが出来たのは、恥ずかしながら社会人になって8年目のことで、地元福岡へのUターンを決めたときのことだった。

英語が不得手で間違った用法かなと思いつつ、サーファーが波を乗り越していくような、但し全然優雅な感じでなく、ボードにほとんどしがみつくようにしてどうにか飲み込まれることなく波の上を進んでるのかな、というイメージで、SURVIVE。
2019年のはじめ、私はひとり勝手に荒れた海に身を乗り出していくような気持ちだった。
(たかがUターン転職なのだが、10年余り生活した土地を離れることに不安いっぱいだったのでしょう)

が、今や社会全体が大シケの中で大混乱の様相だ。
人口減少、気候変動による災害の激甚化、感染症対策…。
とても手に負えるとは思えない大きな問題の数々と、それに対応するための、社会を動かす大きな意思決定が、混乱の中でなぜか他人事のように過ぎ去っていく。

パオロ・ジョルダーノ著(飯田亮介 訳)「コロナ時代の僕ら」に書かれた一節。

われらにおのが日を数えることを教えて、日々を価値あるものにさせてください ー あれはそういう祈りなのではないだろうか。
苦痛な休憩時間としか思えないこんな日々も含めて、僕らは人生のすべての日々を価値あるものにする数え方を学ぶべきなのではないだろうか。
日々を数え、知恵の心を得よう。この大きな苦しみが無意味に過ぎ去ることを許してはいけない。

この作品が書かれた2020年には、「コロナ時代」はまだ終わりの予感があった。2021年のいま未だ終わりは来ず、私たちはこの混乱を、私たち自身の日常として乗りこなしていく術を身につけなければならないことに気付き始めている。
この混乱を、人生の価値のある日々として数えるための術。
自分の人生を、他人事ではなく、自分の手で生きながらえるための術。

福岡で、いまわたしが見ている景色

2019年に福岡市の大名にあるFukuoka Growth Nextで開催された「Service Design Night」というイベントで、主催者の福岡大学の森田先生、登壇者である株式会社インフォバーンの井登さんと、イベント後に交わした会話が強く心に残っている。
"Smart Cityなんてものは新しい技術で一朝一夕にできるものじゃない。
本当に実現を目指すなら、その土地に根付いた文化を作っていく必要がある。"

文化とは何か。
そこで生活する人の行動、考えや価値観、そこから発信されるメッセージや交わされる言葉なんかが「文化」と言えるのかなと思う。

私たちは、Smart City戦略室という組織で福岡で生活する自分たち自身が感じる課題をLINEで解決する方法を模索し、実験的に社会実装をしてみる、ということを繰り返してきた。その取り組みの代表的なひとつが「福岡市LINE公式アカウント」だ。

福岡市LINE公式アカウントとは
福岡市が運営し、私たちも協働しながら開発している福岡市LINE公式アカウントには、月に一度の燃えないごみのごみ出し日をリマインド通知してくれたり、子どもが通う小学校の給食の献立を毎日アレルギー情報と共に教えてくれたり、道路やガードレールの損傷を市に知らせることが出来たり、位置情報から近くの避難所を調べることが出来たり…様々な機能が備わっているんだよ!ぜひ使ってみてね!

そんな福岡市LINE公式アカウントがどの程度ユーザーの生活に浸透しているのかを知るために、このところユーザーインタビューを行ったのだが、聞こえてきた中でいくつか印象的だった言葉がある。

”誰が発信している情報かが明確なので、ここで得た情報をもとにいち早く行動することができる”
”他の街でも市のLINEが始まったと聞くと、福岡は前からあったよーって。少し誇らしいような気持ちになる”

ここではほんの僅かではあるが、生活する人の行動が変わっていくこと、土地や自治体への信頼が生まれていくこと、価値観や発するメッセージが変化していくこと、少しずつそんな変化が起きているような感触がある。

現時点では少し生活が便利になったという程度の小さな変化ではあるが、
この変化が新しい「文化」の息吹となり、混乱を乗りこなしていくための一つの術になりはしないか。

混乱を生き抜くために

私たちは、自分一人では何もできないように思える問題に、この先どうにか向き合っていかなければならない。多分これからも感染症の流行はやってくるし、大きな自然災害は毎年のように発生する。
自分たちにとっての課題や困難を、自分たちの手で解決していけるように、
一部の熱意ある人が頑張って取り組む方法ではなく、たくさんの人が無理なく自然にそれを行える仕組みが必要だ。

まずは福岡に暮らしている私たちが困っていること、些細な問題を少しずつ自分たちの手で解決できるようになること。多くの人が自分たちの声や行動が、社会の問題解決へ繋がっているという手触りを感じられるようになること。そこから、自分たちの手で新しい「文化」を作り上げていくこと。

この組織での活動を通して、そんなことを目指していきたいとぼんやり妄想している。


書いた人:Smart City戦略室 白石  福岡は海と夕日が最高なんだす


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