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『鎌倉殿の13人』雑感 その1

 マニアやオタクと呼べるほど歴史に詳しくいわけではない私が大河ドラマのレビューを書こうとしている。一応、大学受験では日本史を選択してきたこともあり、これまでの回も欠かさず視聴しいろんな感情が湧き上がったり、思考を巡らせたりしてきた。しかし、表現することもなく忘れていくことがもったいなく感じふと言葉にしてみたくなった。本当は「大河ドラマ」というもの自体について思うところも綴ってみたいが、とりあえず傍に置いて、今回は昨晩の回に絞って書いていきたい。

 まずは前回からの流れを受けて、九郎(源義経)が木曾義仲を討つべく西へ進む場面から始まる。今回に関してはそれほど重要なシーンには見えないが、先週の話を受けてさらには来週の義仲との戦いへ向けた橋渡しといったところだろう。あくまで昨晩の話の中心は鎌倉である。
 ただ、源義経が鎌倉の空気を嫌がったことは今後に向けた伏線を感じる部分はある。「戦の空気」を好み「よどんだ空気」を嫌がる非常に単純な姿が鎌倉殿の義経に一貫している部分である。漫画などで描かれる貴公子的な義経はやはり存在しない。

 今回の主役はやはり上総介広常だろう。佐藤浩一さんが少し癖もあるが、どこか憎めないようなキャラクターを演じ、主人公である義時とも非常に良 い関係を築いてきた。昨晩は御家人たちの暴走を止めるべく活躍し、「御家人どもが騒ぎ出したら、俺がまたなんとかするよ」とまで言い放った男は最後は切り捨てられるという最期を迎える。

 「主人を殺す奴に人はついてこない」  
 「御家人は使い捨ての駒」

といった今後のキーワードになりそうなセリフをいくつか残されていたので、亡くなってしまったものの、彼が今後の展開の中で果たす役割はあるのではないかと期待する。

 他にも大江広元の政治家としての怖さや強さも垣間見えて、それについても書いてみたいがそれは次回にして北条政子について触れておきたい。
 これは有名な話だが承久の乱で政子は後鳥羽上皇側につこうとした御家人たちに対し、演説を行い彼らを繋ぎ止めたと言われる。学校の授業でも聞かされた話だが、そこに繋がっていきそうな政子と御家人たちの絆を感じさせる場面があった。陰謀が暴かれ、辛い思いを御家人たちが政子と会話をするシーンだ。政子は頼朝の妻ではあるものの、やはり坂東武者の娘として御家人たちの心をよく理解している。また石橋山の戦いで兄を失ったことで感じる、考えさせられることもあったのだろう。

どうしても武士と言われると棟梁を中心に、まるで近代の軍隊のように一枚岩になっているようなイメージを持ってしまうが、今回描かれているのはそんな姿ではない。やはり『鎌倉殿の13人』は各々が複雑な感情を抱きながら、それをコントロールしつつ(できずに爆発する場面もあるが)生きていく物語である。

 

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