交通事故 示談交渉は慎重に

自分自身の不注意ならともかく、いつどこで起きるか分からない交通事故。

そんな不慮の交通事故が起きた時に心配になるのが、加害者になった場合には被害者への補償(賠償)です。

車やモノ等の損害により相手(第三者)から高額な修理費用等を支払うよう請求されたり、ケガによる治療費や休業損害、はたまた最悪の場合には死亡・後遺障害による逸失利益や慰謝料等を支払うといった法的な責任が生じたりした場合の高額賠償に備えて、法的な加入義務がある対人賠償(交通事故の相手と自損事故による運転者及び同乗者等)に限定した自賠責(自動車賠償責任保険)では足りないところを補うために、自動車の所有・使用者が任意で加入する自動車保険(または共済)に加入します。

2018年の統計を見ると、対人・対物賠償保険に加入する人が日本全国で70%超、自動車共済を含めると実に9割近くが任意加入の自動車保険に加入している事になります。

日本損害保険協会:ファクトブック2018 日本の損害保険を参照
https://www.sonpo.or.jp/report/publish/gyokai/ev7otb0000000061-att/fact2018_full.pdf

自分の預貯金や資産では支払いきれない可能性がある、いつまでどれ位の支払い責任が生じるのか予測ができない高額賠償等への備えとして、保険加入でリスクを転嫁する事が一番の目的となりますが、保険加入の際に何を重視しているかについては、保険料の安さ、補償内容の充実、事故時の対応力、商品内容の分かりやすさ、ロードサービスの充実度、という順番になっています。

これは、1万人を対象とした自動車保険の利用に関するアンケート調査を参考にしていますので、保険以外でもアンケート情報が気になる方は調べてみては?(無料会員もあり)

マイボイスコムのアンケートデータベース
https://myel.myvoice.jp/

保険会社は、交通事故で起こりうる相手との間に生じる法的責任の度合い、いわゆる過失割合や休業損害・慰謝料等といった、民法上の賠償責任に関する相手との交渉や示談手続きも、保険金支払いとともに契約者に代わり行ってくれますから、死亡事故など相手が相当重大な損害・損失を受けている場合を除けば、被害者・加害者どちらであっても保険会社任せで交渉手続きを行ってくれるのは安心です。

もっとも、交通事故を起こす、又は巻き込まれる事は日常的にそれほど多くは起きませんから、相手との交渉や事故処理にともなう様々なやり取りが、はたして契約している保険会社が適切に行えるかどうかまでは、本当のところ事故が起こってみなければ判りませんし、比較のしようもありません。

それだけにTVやラジオCM、ネット広告、SNSでの口コミ等の情報が参考になるのでしょう。

短い時間に訴求するTVやラジオCMでは、特に一部のサービスや補償内容がある意味誇張されて表現されますが、ほとんどの補償やサービスは大抵の保険会社(大手損保やネット保険)で扱っていますから、この保険会社じゃなければという程の差異はありません。

あるとすれば、広告宣伝力の差でしょうか。

それゆえ保険料比較が簡単にできる保険比較サイト等を利用する場合も、契約時に保険料以外に補償内容を必要・不要の選択ができる程度の情報と知識があれば、事故やトラブル起きた際になって、担当者の対応に満足が得られないという残念な事態も回避できるかも?

相手がいて起きる交通事故ですから、示談交渉サービスにより保険会社の事故担当者を介する代理人同士であっても、主張が食い違えば速やかに合意して解決するとは限りません。

また、信号待ちの時に後方から追突されたとか、駐車中に他人の運転する車にぶつけられた
場合など、間違いなく100%相手に過失がある場合は自動車保険の示談交渉サービスが使えず、相手または相手の保険会社と自分との交渉になってしまいます。

せっかく保険料を支払って保険に加入したのに、自分が被害者になっても自分が契約する保険会社が使えないという事が、自分の契約した保険会社との間で起きるトラブルやクレームになる場合も少なくありません。

私は、自分はもちろん周りの人にも自動車保険には弁護士費用特約を付けることをオススメしています。

これは自動車保険に限らず、保険は保険料や補償内容の設定・変更に必ず金融庁の許認可が必要な許認可事業なのですが、自動車保険の事故時示談交渉サービスには、弁護士のアドバイスのもと、契約者と相手が承認した場合に限り契約者に代わって示談交渉が行えるという条件というか制約があるので、示談交渉等を自分の代理人として行える弁護士と異なり、保険会社の示談交渉サービスは、自分と相手双方の合意が無ければ示談交渉サービスは利用出来なくなるのです。

そんな保険会社の交渉サービスが受けられない場合には弁護士費用等特約で補う事が出来るのです。

補償内容は、まずは相談費用等、その後実際に相手との交渉や調停・訴訟などといった争訟費用等という二種類があります。

余談ですが、保険会社で実際に事故処理・示談交渉を行う担当者が弁護士資格を有しているなど、私の知る限り大手保険会社でも聞いたことはありません。

事故処理を担当する損害サービス課に配属された社員は、当然事故処理に関する研修を受けますが、損害保険会社に就職した配属先というだけで、大学等で法律・法務を勉強しているとも限りません。

これは弁護士に限らず、公認会計士・税理士・医師など、士業・師業にある資格者に限るという法律上の縛りで、有償で第三者の利益に関する交渉ごとを行う事を資格者以外に認めていない法律に抵触しないように、自動車事故に限りという限定的な条件として保険会社に示談交渉が認められているからです。

弁護士費用等特約(名称や補償内容は保険会社によって若干異なります)を利用する事で、相手との交渉は保険会社経由ではなく、契約者自身が依頼人となり弁護士に相談して進めていきますから、相手が高圧的で一方的に主張してきた、保険会社の示談交渉を認めず直接連絡してきたなどの行為も、弁護士が間に入る事でそれらを禁じて、すべての交渉を代理人として選任した弁護士を介するように出来るので、怖い思いや煩わしい思いもしなくて済むようになるのです。

最近は、大手損保だけでなくネット通販も事故時の対応に関する相談や相手・相手保険会社との交渉等を弁護士に依頼する費用をカバーする弁護士費用等特約も随分普及していますから、相手からの要求は妥当なのか、保険会社の示談による提案は適切なのか、法律のプロ出る弁護士の助言に沿って私の立場を尊重して尊重してくれる弁護士を依頼する費用を補償するこのサービスは付けておいて損はないでしょう。

少なくとも、交通事故交渉に関する手続き上の煩わしさや感情による相手や保険会社への不信感は、公正な立場をもつ弁護士のアドバイスがある事で大幅に減りますよ。

弁護士の選任は、自分自身で知り合いがいれば保険会社の承認を経て依頼する事が可能ですし、知り合いや紹介者がいないのであれば、お住いの都道府県に弁護士会がありますから、そこで電話や訪問相談をすれば紹介してくれます。

まずは交通事故の相談を、その後この人に交渉を任せようと思ったら、改めて示談交渉の依頼をするという流れです。

日本弁護士連合会WEBサイト
https://www.nichibenren.or.jp/
メールや電話での相談や、弁護士を探すから弁護士を探したり調べたりする事も可能です。

また、相手との過失割合や示談がうまくいかない時は、交通事故紛争処理センターという公的機関に相談や仲裁を求めることも可能です。

交通事故紛争処理センター
http://www.jcstad.or.jp/
相談は早めに、既に裁判や調停により係争中の場合は扱いませんのでご注意を。


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