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『いちばんすきな花』で感じる九州の方言の違和感【間違ってはいないけど、誰もそうはしゃべらないと感じるのはなぜなのか】

フジテレビ系木曜夜10時の連続ドラマ『いちばんすきな花』にどっぷりとハマっています(^^)。

観る気は全然なかったのですが、やはりシナリオがいいとついみてしまいます。セリフがとてもいいですね。

ただ、そんな中、強烈な違和感があるのが、今田美桜さんが演じる夜々(よよ)の母親役を演じる斉藤由貴さんのキャラクター。
ハッキリと福岡出身とは銘打たれていませんが、九州の方言を使う設定になっています。

しかし、「あんなしゃべり方はしない」と思ってしまい、セリフが頭に入ってきません(^^)

どうしてそう感じるのか?

基本的に九州弁は、徐々に標準語に近くなっています。

福岡の公立名門進学校である修猷館高校の同窓会が作った↓の博多弁辞典

https://shuyu.gr.jp/tky/2011/08/S57HakatabenDaijiten2011.pdf

かなりの言葉が使われなくなっています。
意味は知っているけど使わない。そんな単語がズラリ。
これが世代を経ると、絶滅するのは間違いないでしょう。

ちかっぱ(力いっぱい)、つやつける(かっこつける)などは若い人には通じないかもしれません。

ぬくい(暖かい、温かい)もかなり微妙な線です。

なおす(しまう、片付ける)、からう(背負う)、すーすーする(隙間風が入ってる、ひんやりする、ちょっと寒い)など生命力のあるパワーワードもありますが、

今の九州弁のリアルは、ほとんどが標準語で、語尾や単語にちょっと方言が混じる(10%~20%くらい?)程度です。

「銀行に勤めてある(いる)」などは、私たちの世代が看取る使い方でしょう。若い人から完全に消えました。

なので、斉藤由貴さんの演じるキャラクターのセリフは、方言の割合いが多すぎるのです。

地元TV局で流されているこのCMで、やり取りされている博多弁は、日常にないやり取りで、だからこそCMとして訴求力があります。
後入れで「福さ屋の辛子明太子をどうぞ」とナレーションが入りますが、これが今の日常の会話に近いと言えます。

これも同じ構図です。

コテコテの博多弁は、すでに地元でも郷愁の領域なのかもしれません。

九州の方言といえば、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年)で博多弁を話す高畑充希さん演じるキャラクターが出てきましたが、これも違和感がありました。

あの博多弁は割となじむ感じがありましたが、違和感は、言葉ではなく、東京に行っても博多弁をしゃべるという違和感です。

若い九州の人が方言を恥ずかしいとはかつてほどは思っていないでしょう。標準語との乖離が小さくなっているからです。

しかし、東京という環境でこれまでのような言葉遣いすることはない。方言は基本的に周囲とコミュニケーションを図るためにあるからです。環境が変われば、言葉も変わるのが普通なので、九州にいないのに九州弁を話す必然性がないからでしょう。

関西の方でも結構な割合の人が東京では標準語でしゃべっているのではと思います。

ちなみに今田美桜さんは、福岡市出身。なので、作中で彼女が、周囲とは標準語で話し、母親とはちょっと博多弁が混じる感じになるのは、かなりリアルな印象があります。


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