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入試の現場から見える、旧AO、旧推薦入試の風景(3)

私は、旧AO入試(総合型選抜)、旧推薦入試(学校推薦型選抜)への疑問を持っています。それは、私の体験によるところが大きいです。

そのような考えに至った私の体験を書いています。今回はその3回目です。

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本記事は、以下の前提で書いております。予めご理解いただけるとありがたいです。
・非一般入試を選択する受験生を批判している訳ではないこと。
・総合型選抜、学校推薦型選抜入試をサポートされている先生方を批判している訳ではないこと。
・この入試選抜方法について、継続して検証されている大学の先生方を非難している訳ではないこと。
・この入試制度が過渡期であること理解していること。
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前回は、インタビューを活用し、彼が挑戦してみたいことが見えてきたことを書きました。

志望理由書を書き上げ、プレゼンも練り込んで、彼は、AO入試にチャレンジしました。

・・・結果は、不合格でした。

AO入試、推薦入試の難しさは、ここにあります。不合格になった場合、「じゃあ、一般入試で頑張りましょう」とはできないからです。

AO,推薦入試に舵をきって、この入試方式にベットした受験生は、その対策をしている間、本腰を入れて、一般入試への勉強をしている人はほとんどいません。
彼もその例に漏れず、軽く英語を勉強している程度だとか。

幸い、彼の志望する大学のAO入試は、3回に分けて行われ、彼が不合格になったのは、1回目の入試で、年末にもう一回あるとのこと。
もう一回、チャレンジしたい。それでだめなら浪人覚悟で一般入試に切り替えるとのことでした。

そこで、もう一度再チャレンジすることになりました。
ただ、同じ大学の同じシステムで入試を受ける以上、志望理由書で書いたことを変更するわけにはいきません。
変えた場合、前回の志望理由書の内容は何だったのかと問われかねないからです。

なので、志望理由書の質を高めることが大切だと判断しました。

さて、どうすべきか?

幸いなことに、同じ学校に、同じ大学のAO入試で合格した生徒がいることを知り、その人にお願いして、志望理由書をコピーさせてもらいました。
彼が書いた志望理由書との違いを徹底して分析しました。

すると、将来の希望について、実際にどのような行動をすべきかについての言及が弱く、かつ具体性が薄いことに気が付きました。また、大学での学びとの結びつけも不十分だったことも分かりました。

そこで、私は志望理由書の改善点をまとめ、その方針に従って新・志望理由書を書き上げ、再挑戦しました。それに連動してプレゼンも修正しました。

今度は、無事に合格でした。

そのときの私は、自分の果たすべき仕事が出来たと満足していました。受験生はもちろん、保護者にも喜んでいただき、責任を果たせたと感じていました。
将来のビジョンを考えさせ、自分の取るべき行動を具体的に考えを進めていく機会を与えるこのような入試のシステムは、悪くないなと思っていました。

幼少期から野球を続けてきた彼は、大学でも野球部に入りたいと夢を語っていました。英語をもっと勉強して、東南アジアに行ってみたい。そこで野球を教えることができればベスト。志望理由書で書いたことを実現できるかどうかは、分からないけれど、なぜ自分は大学に行きたいと思うのかをしっかりと考えることが出来てよかったとこの受験を総括していました。

私の目にも、短い時間にもかかわらず、成長した彼の言動に納得できる部分が多くありました。そのような体験もあり、当時の私は、今と違ってAO入試や推薦入試には肯定的な立場でした。

数年後、そんな自分に変化が起きます。

(次回につづく)

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