入試の現場から見える、旧AO、旧推薦入試の風景(2)

私は、旧AO入試(総合型選抜)、旧推薦入試(学校推薦型選抜)への疑問を持っています。それは、私の体験によるところが大きいです。

そのような考えに至った私の体験を書いています。今回はその2回目です。

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本記事は、以下の前提で書いております。予めご理解いただけるとありがたいです。
・非一般入試を選択する受験生を批判している訳ではないこと。
・総合型選抜、学校推薦型選抜入試をサポートされている先生方を批判している訳ではないこと。
・この入試選抜方法について、継続して検証されている大学の先生方を非難している訳ではないこと。
・この入試制度が過渡期であること理解していること。
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前回は、ある国際的な学習環境がアピールポイントの大学を目指す野球部だった男子受験生を担当することになり、AO入試で提出を求められた志望理由書について、彼の書いた志望理由書が、書き方、内容とも不十分であったことを書きました。

部活が終わって、この男子受験生は、本格的に進路について考えはじめ、その過程で、この大学にターゲットを絞り、さらにAO入試を考えるようになったとのことでした。
一般入試での受験は当面考えず、AO入試に専念したいとも言っていました。野球部だったので、引退が遅く、これまで受験の準備が不十分だったこともあり、AO入試に賭けるという側面もあったと思いました。

とはいうものの、志望理由書としての体を成していない以上、AO入試も厳しいとも思いましたので、不合格になる可能性も考えて一般入試の勉強をするようにもアドバイスをしていました。

一方で、この仕事を引き受けた以上、志望理由書に書けるようにもしなければなりません。

そこで、私が取った作戦は、徹底的なインタビューでした。

・この大学がいいと思った理由を些細なことであっても聞き取る。
・実現可能かどうかは別にして将来の夢や希望を聞き取る。
・幼少期から野球を続けてきたとのことなので、野球によって得られたことを聞き取る。

このようなことをしつこく聞きだしました。

言語化できるほどではないものの、彼がこの大学を選んだ理由には確たる理由があるのではと思ったからです。
救いだったのは、彼が志望していたのは、いわゆるブランド大ではなく、アピールポイントがハッキリしている大学だったので、志望理由書に繋がることが見つかりやすかったことです。

すると、薄っすらと彼の頭の中にあった何かの輪郭が出てきました。
・海外で仕事をしてみたいという希望があり、そのために国際性があるこの大学に魅力を感じたこと。
・海外と言っても、欧米ではなくむしろ東南アジアの方に興味関心があること。
・得意ではないけれど、英語が一番好きな教科で、今後もしっかりと勉強したいと思っていること。
・今後も野球を続けたいし、将来は指導者にもなってみたいとのこと。
・起業という程の大袈裟なものではないが、サラリーマンのような生き方ではなく、自分の力で未来を開拓してみたいと思っていること。

私は、彼へのインタビューを整理し、資料として提示しました。
彼の中にある漠とした将来像から、見えてくる何かがあるのではと思い、この資料を基に、自分の将来を考えてみて欲しいとお願いしました。

将来のことが見えてくると、大学で学ぶことが見えてくるだろうと思ったのです。

次の指導日、彼は、実現できるかどうかは、わからないけれどと前置きした上で、
東南アジアの子供たちに野球を教えてみたいと思うようになったと言ってきました。

これは、何とかなるかもしれないと思いました。そこで、彼と一緒に、その希望を軸に議論を重ねました。

すると、野球用品を取引する貿易の仕事をやってみたい。その一環として野球の指導もしてみたいという現実的なプランが出てきました。

その目標に必要なことは、何か。大学で行くことでしか得られない学びとは何かを絞り出していきました。

ここまで来ると志望理由書が書けると思いました。

そのようなプロセスを経て、志望理由書を何とか書き上げました。
内容的には悪くはなく、プレゼンも練習して、AO入試に臨みました。

私は、ここで現実の壁にぶつかります。

(次回へつづく)


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