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入試の現場から見える、旧AO、旧推薦入試の風景(1)

ここのところ、私の中でモヤモヤしている一般入試と推薦入試の乖離について、じっくりと考えたいと思うようになりました。

などで、旧AO入試(総合型選抜)、旧推薦入試(学校推薦型選抜)へ厳しい目を向けているのは、私の体験によるところが大きいです。

私の体験した極々少ない事例ではありますが、ここで書いていければと思います。

まず、お断りしておきたいのは、
・非一般入試を選択する受験生を批判している訳ではないこと。
・総合型選抜、学校推薦型選抜入試をサポートされている先生方を批判している訳ではないこと。

については、ご理解いただけるとありがたいです。

私が厳しい目を向けているのは、この入試選抜における制度設計の問題です。
また、この入試選抜方法について、継続して検証されている大学の先生方を非難してもいません。この入試制度が過渡期であることも理解しているつもりです。

では、私の体験を書きたいと思います。

私は、プロフィール欄にあるように、元プロ家庭教師です。このブログを書いていることからもおわかりのように、書くことが好きなこともあり、小論文も機会があればやりますと、当時所属していた家庭教師派遣会社には伝えていました。また、福岡県の公立高校入試では国語で作文が課されている(いた?)ので、文章指導は結構やっていました。

そこで、ある男の子を紹介していただきました。中堅公立高校に通う野球部の子でした。勉強はあまりしておらず、AO入試で、ある私立大を志望しているとこのこと。
その大学は、多数の留学生が通う国際性がアピールポイントの大学でした。
ブランド大とは言えないものの、世間体は悪くない学校です。
一般入試では多分合格できないので、AO入試で挑戦したいということでした。

この大学のAO入試のやり方は、志望理由書の提出とその志望理由書に基づくプレゼンで決まるものでした。

まず、最初の指導日で、彼が書いてきた志望理由書を見せてもらいました。まず、文章になっていません。構成という視点がなく、話しもまとまっていません。正直、これは厳しいなと感じました。ただ、彼のこれまでの高校生活で、文章を書くことはほとんどなかったのだろうから、これが現実なのかなとも感じました。

また、志望理由書では、大学でやりたいと思っていることを具体的に書くことが求められていました。彼に、大学でやりたいことを聞いても、普通の高校生が思い描く大学生活以上の想像力はなく、志望理由書に書けるようなものがありません。そもそもそんなことは考えもせずに、これまで高校生活を送っているのですから当然とも言えました。

私は、この二つの問題に頭を抱えました。書くことは、文章教室的な指導で何とかできるかもしれませんが、大学に入ってやりたいことは、どう書いていくか・・・、こちらは大問題かなと思いました。

散々思案したのち、私はある行動を起こします。

(次回につづく)


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