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「年内入試」の広がりによって起こる変化を学ぶ【総合型選抜入試がメインとなるほど現実は単純なのか】

夏の多忙期を経て、徐々に通常運転に戻りつつある日常ですが、夏の間、全く時間を取れなかった雑誌をチェックする余裕も出てきました。

いろんな雑誌をデジタルで読めるサービスに加入していますので、普段はあまり読まない雑誌を読むと刺激になります。

そこで、読んだのがこちら。

男性ビジネスマン向けの代表のような雑誌さんですが、この内容がなかなか興味深いんですね。

読者が高学歴であるという前提なのでしょう、お子さんも高学歴の人生を歩んでもらいたいという保護者の高学歴再生産ためのレクチャーとして書かれているのがよくわかります。

ここで当たり前のように強調されているのが、年内入試のメリット。
塾業界にいると、いろいろ示唆に富む内容でした。

まずは、やっぱり感が強い

「年内入試」シフトで一発逆転!

の大見出し・・・。まあ、そうりゃそうだわなと納得。記者さんもいろいろ取材して、「年内入試」の高コスパに驚かれたのかもしれません。

さらに記事内では、記者さんは、保護者(読者)の疑念を先取りしたかのように、年内入試への違和感に対して、

30年前の実体験を引きずり、大学受験をサポートする気がないのだ

と叱咤します。旧態依然の思考でどうする!とのことだと思います。

さらに特集の後半では、具体的な併願戦略までレクチャーされているありがたい構成です。

記事の趣旨からやむを得ないとはいえ、一般入試なんぞ過去の遺物と言わんばかりの内容で、最後は、総合型選抜入試の専門塾の代表の方から、

与えられたルートにただ乗るのではなく、そういうこと(※)に向き合うことを含めて試されるのが総合型選抜

というありがたいお言葉で締められています。
(※高校の担任の先生に調査書の発行を断れても粘く交渉すべきという事例が記事内で紹介されています。そんなことってあるのかな?と思いつつも拝読)

「与えられたルート」が何を指しているのか判然としないところはあるものの、これを一般入試と読むことも可能であり、

時代は変化しているのだ。「総合型選抜入試を考えない保護者は反省を要す」ということなのでしょう。

確かに、今後私立大は、間違いなく総合型選抜入試へシフトしていくでしょう。

総合型選抜入試がメインとなるほど現実は単純でもないのではと思っています。未来はこうなる系の予測はそう簡単には当たりません。未来予測好きの私には、そんな単純ではないことをいろいろ見てきていますし、それが未来予測の面白さでもある。

年内入試、とりわけ総合型選抜入試がメインの制度になると現実には何が起こるのかは大事な視点かなと思っています。

現在では、受験者数がまだ少ないので、手間ひまがコストに見合っていると思われますが、ただ、受験者が増えることが想定される今後はそう簡単な話ではないかもしれない。雑な選抜方法になり、それが批判される展開はあるかもしれません。

また、評価を数値化しないと公平ではありませんが、主観が入りやすい制度であるので、評価が安定しない問題点もあるかなと思っています。これは、不正入試の温床になるリスクをはらみます。

さらに、AIという難しい要素も絡みますし、外部の入れ知恵問題も評価の精度に関わってくる。

また一方で、予備校でも数千円で儲けがでるペーパーテスト(一般入試)による収入をそう簡単に捨てられるものでもないという経済合理性の問題もあるかなと思っています。この恩恵を受けているマンモス私大は、かなりあり、総合型選抜入試推しのW大などは大丈夫?とむしろ心配なくらいです。

総合型選抜入試は、今後どのような試練を経て成熟していくのかは興味があるところです。

一般入試が完全になくなることはないものまた現実でしょうから、一般入試がどのような形にで生き残るかも興味深いとも言えます。

一般入試による選抜であっても、大して勉強していない高校生が大挙して大学に押し寄せる現実はもうすでにありますから、総合型選抜入試がそれを加速する可能性もある。大学の世間的な序列のどのあたりまで、総合型選抜入試が入試として機能するのかも興味があります。

年内に進路が決まって、クラスの中で全然勉強しないグループが出現することに高校の先生が頭を悩ませるということもありそうです。

現実はどう動くのか。

今後も注視しておきたいと思っています。




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