介護事業者、最多倒産の衝撃【国(厚労省)は、誤りを認めて方針転換しないと大変なことになると思う理由】
昨日(7月26日)の朝日新聞(西部本社)の一面は、こちらの記事になりました。
(プレゼント機能を使っています。7月28日9:10 まで上記リンクで読めます)
一面に相応しい大きなニュースです。
今この国は経済をはじめ、いろんなところで軋みが表面化していますが、このニュースで報じられている介護の現場で起こっていることは、異常事態だと思います。
なぜなら、経済の原則から考えるとありえないことが起こっているからです。
企業というのは需要を求めて動く存在です。
この国の人口最大のボリュームゾーンは、団塊の世代です。
現在70歳台半ばあたりのこの世代は、今後「介護需要」という意味では、今後最も市場性のある存在です。
そんなプラチナチケットが目前に迫っている中での介護事業者の倒産が最多というのは、経済の原則から考えるとどう考えても不合理です。
それを説明することになる分析が介護事業者への報酬の改定のようです。
これでは、官製倒産と言われても仕方ない状況ではと思います。
さらに全産業的に追い打ちかけているのが、労働人口の減少です。この影響も、新卒採用が奪い合う状況になる一方で、非正規雇用の依存体質に追い込まれた企業は、高齢者や女性を安く雇入れるということも行っており、その場限りの未来のない対応から抜け出せない状態になっている。
そんな労働環境において、エッセンシャルワーカーの一つとも言われる介護ヘルパーさんを増やす原資となるべき国の補助は極めて脆弱と言っていいのでしょう。
公立学校の教員不足もヘルパーさん不足も原因は同根で、報酬の少なさが共通していることは明らかでしょう。
人件費抑制は、死への道であることは、私の人生でみてきたものでもあり、
早急に手を打つべきだと思います。
そもそも、訪問介護の場合、高齢者を自宅でみておられるご家庭のサポートであると理解していました。そのような選択をされているご家庭は、国の介護政策の貢献者でもある。にもかかわらず、ささやかなサービスを打ち切る危機に陥れるこの政策はあまりに非道です。
老後を幸せに過ごしたいなら、80歳くらいの段階で、自己資金数千万円くらい残して、有料老人ホームに入れというのでしょうか。
そういうのは勝手ですが、現実はそんなにうまくいくはずはない。あたりまえのことです。資本主義社会では、裕福な人がいれば、かならずそうでない大多数を生み出す側面があるからです。
厚生労働省は、政策の誤りを認めるべきだと思います。
そうしておかないと、今後介護に需要が生まれていく必然的な構造があるのに、その前段階で事業者を潰してしまえば、供給不足による介護費用の自己負担は当然増加するでしょう。
結果として家族の負担が増え、介護離職も増えていく可能性がある。
認知症になれば、仮に首から下が健康であっても、介護の手助けが必要になります。認知症のリスクは、80歳台後半になると3人に1人とも言われています。
そんな潜在的なリスクがあることがわかっているのに、介護事業者を追い詰める政策を平然と行うことができる神経は私には理解できません。
政策の担当者たちは、どんな目で社会を見つめているのでしょう。
このニュースは、相当な破壊力を持つのではと危惧しています。国民を追い詰めて何が楽しいのでしょうか。国を挙げてディストピア建設でもしているのでしょうか。
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