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あることに手を付けることは、崩壊への序章。それは国であっても、塾であっても同じことでは?【政治家を応援する一丁目一番地は、この政策】

私はこれまで、いくつかの塾で仕事をしてきました。塾業界は、世間様のお仕事同様にそれなりに厳しい世界で、そこで見た現実は、時代の変遷という力の大きさや、人間や組織は苦境に立つとどんな思考となり、どんな行動をするものなのかを理解することにもなりました。

よって、そんな経験が形成したといえるあることが私の理解では「ゆるぎない真実だ」と感じることが一つあります。

それは、会社というのは、苦しくなると人件費に手を付けるというものであり、そして、それは確実に組織にダメージを与え、最終的には市場からの退場に向かうというものです。

もちろん、いろんな例外があるだろうと理解していますが、ただ、これは結構当たってるという自分なりの確信もあります。

ある会社が機能不全に陥るのは、間違いなく構造的な問題があります。そして、その問題の多くが、旧来のビジネスモデルの陳腐化です。

これは、とても大きい要因にもかかわらず、旧来のビジネスモデルに固執する例は本当に多い。
組織の構成員の成功体験というのものは、このように強固なものなのかと外様の私の目には強く印象付けられています。

問題が生じた会社は、問題の本質に目を向ける前に、あることをします。

それが先ほど述べたように、人件費の抑制です。

これには本当に例外がなかった。何かうまくいかないときは、会社は人件費に目が行く。普段から、高い人件費が常に経営のネックになっていると感じているのでしょう。

その結果、些細な点から人件費の見直しが行われ、「合理的な判断の結果、給与体系を見直しました」ということになる。

マネジメント側にいる人にとっては、ひとつの打開策として合理的だと思うのでしょうが、先ほど述べたように、ほとんどの場合、問題の根源である旧来のビジネスモデルの陳腐化には手がつけられないので、右肩下がりの要因は温存されたままです。

そして、時間の経過とともに、優秀な人材の離職が起き、資金の自転車操業よりも先に、人のやりくりの自転車操業が起きる。
労働集約型産業の塾業界にとっては、致命的です。
その後は、クローズまで1本道となります。

KADOKAWAの川上量生さんは、どこかで、
「会社というのは、なかかな倒れないもの」だとおっしゃっていたと記憶していますが、私もその通りであると思います。

しかし、右肩下がりの会社では、それは悪い方に作用する。

つまり、すぐに危機が表面化しないので、問題を軽く見るという事態が起こるのです。

「問題は大したことはない。いずれ回復する」という根拠のない楽観論であったり、広告宣伝費の積み増しで何とかなるという視点になる。
また、人件費を下げた新しいスキームを作る場合が起こるのも、このタイムラグの問題が大きいのではとみています。

そのような経験を経ると、人件費を抑制するというのは、破綻への思考の入り口だということを私は骨身に沁みています。

これは、塾というミクロなビジネスで成立するメカニズムであればいいのですが、国家というマクロなレベルでも通用しているのではと思うことがあります。

この国は、あまりに軽々に人件費抑制に転じてしまった。

非正規雇用の拡大の余波を受けた最初の世代は、中年から老年の入り口に入り始めています。それが無年金であったり、医療費問題を生じさせる要因になっていくことは、そんなに飛躍した予測とは言えないでしょう。

さらに人口ボーナスであったこの世代から生まれるはずだった将来の労働者は、人件費抑制の余波で幻と化した。

また、人件費抑制のダイナモになってしまったのが、法人税を下げて、消費税を導入し、その税率を上げたこと。
法人税は、人件費を引いた後に課税されると聞いていますので、人件費を下げないメカニズムが内包されていた。一方で、消費税は、人件費を下げると企業にうまみがあるとのこと。

経団連の会長が、自身の会社は大赤字なのに、消費税はもっと上げろ主張するのは、このようなメカニズムにから来ていると思いますし、その光景は、私には断末魔の叫びのように聞こえています。

それでも、人件費抑制するメリットがある(あった)というのであれば、それは何でしょうか。私には理解ができません。

政府が、賃金を上げるようにメディアを通じてパフォーマンスをすれば上がるようなものではないと私は理解しています。

上がる機能を社会システムに組み込まないと上がるはずはない。

私はそのように理解していることもあり、少なくとも消費税減税、または廃止する政治家を応援したいと思っているのです。



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