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投稿記事で振り返る2022年(1)【まだまだ続く、共通テスト数学難化の余波】

2022年もあとわずか。年度単位で動く仕事ではあるものの、1年を総括するのは、やはり年末だなと感じます。

今日から年末まで、私の拙稿を通して、この一年を振り返ってみたいと思います。

今回は、年始早々に起こった大学受験に関わる一大ショック、共通テスト数学数学の難化です。

この時期、共通テスト数学について、いくつか記事を出していますが、やはりこの問題が大きいなと感じます。

上位者層を狙い撃ちしたかのような、難化は当然のように、共通テストでしか数学がいらない層にも影響を与えました。
結果として、点数を一定のバラツキに収束させるという選抜機能は、はたらかず、誰もが平均点付近の低得点という事態となりました。

大いに疑問があるのが、このような事態を予見できなかったのだろうかということです。

問題の決定がなされたプロセスが公開されていませんが、常識的に考えて複数の人間によって意識決定がされたであろうことは、容易に推測できます。ここで複数のチェックをすり抜けたことの衝撃は大きいです。

仮に、あくまで仮にですが、懸念を示しておられた先生の声を、偉い人がかき消したなどということがあったとしたら、私たちの日常で見かける問題でもあり、社会の病理といえるのかなと邪推すらしてしまいます。

また、↓でご紹介した大学入試センターの総括でも混乱への言及はたいして見られていません。

これは、もしかしたら、来年も同じことが起きるかもしれない、というまさかを否定できない点で、一抹の不安がなくもありません。ただ、政治が介入したので、常識的には平均点50点となる程度には回復するのではと見ていますが、どうなるのかは未知数です。

そのこともあり、模試や対策教材で一見すると淡々と勉強しているように見える高校生に明らかな戸惑いが見られています。模試でいい点を取ったことと共通テストで目的通りの結果を残せるかの相関は、例年以上にないことは明確に言えます。努力の方向性に確信が持てないことの影響は決して小さくないと思います。

こういう点を問うということを、昨年の問題に受験生へのメッセージとして伝えなかったことは、1年経った今でも混乱の源泉として横たわっており、昨年の難化の余波は続いているといえるのかなと思います。

共通テストは、3年目でいきなり正念場となったと見ています。再来年の大改革を控え、これ以上の混乱は無用に願いたいのが、受験生の頑張りと向き合っている現場の率直な感想です。


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