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この国の政治家が学んだリスクヘッジ【アニメ『推しの子』第6話が暴く「世論」のリアリティ】

盛山文部科学大臣と旧統一教会との接点についての報道が止まりません。
朝日新聞が連日スクープしていますが、

という記事が出てくるのも当然かなと感じます。

当の大臣さんは、どんな報道が出ても私が知る限り、事実関係を認めることはありません。

これはある意味当然なんだろうと思います。

内田先生も別の事案について指摘されておられますが、SNSが普及した今の環境では、問題を認めることは、自殺行為だからです。余談ですが、遁辞は「とんじ」と読むそうで、逃げ口上という意味だとか(^^;

それをしっかりと描いているのが『推しの子』(集英社)です。
※以下一部ネタバレになります。ご注意ください。

アニメ版の第6話「エゴサーチ」で、恋愛リアリティショーに出演するキャラクターが地獄をみることでそれは表現されています。

本編の中で、問題を起こした(ように見える)あかねという女性キャラクターは、SNSで問題について謝罪します。

すると、そこから凄まじい暴言の嵐に巻き込まれます。いわゆる炎上です。

そして、ユーチューバーでもあるMEMちょ(めむちょ)という女性キャラクターは、昨今の炎上について、独自の見解を披露します。

人は謝っている人に群がる。謝ってるってことは、悪いことをしたと認めること。悪いことをしたのなら、石を投げてもよい・・・となる。
謝罪は、日本人の道理的には正しいが、炎上対策としては下の下である。

そして、こう付け加えます。

炎上は、まじめな人ほどダメージが大きいのだと。

この大臣さん、若くしてお父様を亡くされ、ご苦労されたのはまちがいないのではと思います。灘高校から東京大学に進学し、運輸官僚を経て、衆議院議員になられたようです。
しかし、都市部の政治家あるあるで、小選挙区で3度落選している。
選挙に勝つためには、藁にも縋るということだったのではと推察します。

私は、この方が悪人にはとても見えません。経歴は、人の痛みを理解できることを証明しているのかなとさえ思えます。なので、ある意味、普通の方でしょう。そこまでメンタルも強いとも思えない。

しかし、誠実であることは許されない。どんな事実が世に出てこようとも、事実関係を認めて議員辞職することは、できない。しないのではなく、できない。

なぜなら、私が悪うございましたと認めることは、世間に向かって燃料を投下することになるのは明らかだからです。

私は今の自民党に自浄作用を期待することは、構造的に難しいのではないかと思っています。どんな不祥事が表出しようとも、世論と乖離しようとも、SNSが作り出す「世論」の影響力が恐ろしくて、間違いを認めることができない政党になっているように見えるからです。

そして、それは恐らく滅びの道でもあるのではないか。
そう思ってしまいます。

自民党は解体すればよいという主張の方は、このまま放置すればいいのではと思います。このままでは、私はそうなると思っています。
私は、誰かがブレーキ役になってほしいとは思いますが、この政党の中にそのような人たちが極めて少ない以上、このままなのかなとも思っています。

今はいいかもしれませんが、どこかでこのようなスタンスについて方針転換しないと未来はない。それが今の自民党なんだろうと思います。


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