九州での法科大学院制度の終わりの始まりか【九大法科大学院の伊都キャンパス移転というトリガー】
九州大学法科大学院が現在、福岡高裁、地裁などがある六本松地区(福岡市中央区)から大学の拠点のある伊都キャンパス(福岡市西区)に移転するとのこと。
これは、九大の苦しい台所事情が反映されているとみるのが自然な考え方でしょう。
これまであった六本松地区は、裁判所、検察庁、弁護士会館などが並ぶ法曹エリアでした。都心からのアクセスも良く、天神地区からは、地下鉄で8分程度、博多駅からも15分以内であり、さらに大学院が入居する建物は、地下鉄の駅から徒歩0分の好立地でした。
とする理由に嘘はないものの、本音は別というところではと思います。
それは、伊都キャンパスが通学という観点からは極めて厳しい立地にあるからです。
九大にとって、法科大学院を伊都キャンパスに移す最大のメリットは、好立地にある現在の大学院にかかる固定費を下げることができることでしょう。
一方で、法科大学院に通う院生にとって、メリットは乏しく、特に社会人の方が仕事をしながら、都心からのアクセスという点では不便である伊都キャンパスに通うということは極めて大きい負担となります。選択肢として現実的なのかというレベルになったとも言えます。
九州の法科大学院(ロースクール)は、↓で書いたように、すでに九大のほかは、福岡大にあるだけです。
ここにきて、九州の法科大学院制度は正念場に来たと感じます。これでますます予備試験への流出が加速するのではと思います。
今回の九大法科大学院の伊都キャンパス移転は、九州での法科大学院(ロースクール)制度の終わりの始まりとなる引き金(トリガー)になるのかもしれません。
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