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マイナンバーカード問題に潜む恐ろしい「思考」(9)【実務能力のない人に共通する「ある概念」のなさ】

マイナンバーカード問題について考えています。

この問題を考えると、現代社会に生きる私たちの思考に潜む問題を感じるようになりました。

前回はこちら。

今回は実務能力と概念について書いてみます。

亡くなった父は、安全運転の人でした。細かなものを除けば、事故は皆無。もう少し父から運転について学んでおけばよかったなと感じる程です。

ただ、この父の運転の歴史は、ちょっと面白いのです。
まだ無免許だったころ、友人と日帰りの予定で、県外のお祭りを見に行ったときのこと。

お祭りがあまりに楽しくて、友人が1泊すると言い出した。翌日仕事があった父は、それは困るというと、

「じゃあ、車を貸してやるから、運転して帰れよ」と言われたとのこと。

それから100km近く、父は「無免許運転」で家まで帰ります。

それで、ある程度の運転に自信を持ったこともあり、運転免許試験場で免許を一発取得します。

今では考えられませんね(^^)

そんな、父の運転への考えで、忘れられないのが、

「ブレーキは、1万回とか、10万回に1回は作動しないかもしれないものだ。だから、止まる前に作動確認しろ。減速もするので、よいことしかない」

というポリシーでした。

実業家として、これでもかと実務能力を問われ続けた父らしい人生観が反映した言葉だと思っています。

ここに、実務における重要な概念が入っています。

それが、フェイルセーフという考えです。

マイナンバーカードにおける問題でこのフェイルセーフの概念がことごとく無視されている点は、とても重要だと思っています。

これからの社会はデジタル化抜きにあり得ません。この流れは誰にも止められない。

だから、こそこのフェイルセーフの概念はより重視されなければならない。

ところが、この概念への無理解が時々問題を生じさせます。

システム統合で醜態をさらし続けたみずほ銀行は、その象徴です。

私は、みずほ銀行と関わりがないので、対岸の火事でしかありません。

しかし、マイナンバーカードに保険証が紐づけられると、当事者として巻き込まれます。

マイナンバーカードのシステム構築は、みずほ銀行の対応より酷いことが現時点でいろんな点から見えてきている。

全国民を巻き込むプロジェクトとしてあまりに雑な思考は、これでまでいくつか問題を指摘していますが、いずれもフェイルセーフの概念が入らないことで生じていているとも言えます。

何より問題なのが、批判を真摯に受け止めず、制度の向上に反映させようとしない政治の在り方でしょう。

社会で仕事をしていて、痛感するのが、実務能力のない人に共通するのが、このフェイルセーフの概念がないことだと思っています。

問題を発見する能力、問題への対処する能力、解決策を考える能力に直結するため、フェイルセーフの視点の欠如は、実務において致命的なのです。

その意味で、担当大臣の言動は、フェイルセーフをあまりに軽視していると言えると判断しています。

メリットの話でも、説明の話でもない。

万が一が問題が起こったとき、それがしっかりとリカバリーされるのかどうかの話。

それがなぜ重要なのか理解できないのでしょう。

万が一は起こりませんからw

のような思考は、あり得えない。そんな話じゃない。

今の政治家は、どの程度このフェイルセーフの概念が理解できているのか、本当に心もとないと感じています。

重要なのは、システム不全が生じたとき、それを前提とした代替ルートを確保することです。これをしないまま、制度を強行すれば、確実に問題が生じる。

その時は、「想定外でした」と言い訳するのでしょうが、それは彼らが無能であることの証明でもあると断言できると思っています。


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