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<創薬系オープンイノベーション支援>デジタルサービス局で創薬系スタートアップ支援!?東京の強みを活かしてオープンイノベーションを促進!

 皆さんこんにちは!スマートシティ推進担当です!
 今回は、デジタルサービス局で取り組む「創薬系オープンイノベーションの支援」の計4事業のご紹介と、うち、「創薬・医療データ科学イノベーション人材育成」事業において今後開講を予定している講座「デジタルヘルス人材育成プログラム」の予告を行いたいと思います。

 そもそもデジタルサービス局で創薬系スタートアップ支援を行っていることに驚かれる方もいらっしゃると思います。実は、創薬・医療領域では、近年、データを活用した研究開発が盛んに行われており、たとえば、人工知能(AI)やウェアラブルデバイス、ビッグデータ解析などに代表されるように最新のデジタル技術を活用して、医療やヘルスケアの効果を向上させる「デジタルヘルス」に注目が集まっています。
 また、記憶に新しいところですと、海外の創薬系スタートアップ発の研究が新型コロナウイルス感染症のワクチン開発をぐっと後押しするなど、創薬の領域は最先端なイノベーション分野の1つなのです。

創薬系スタートアップの特殊性

 創薬系スタートアップは、大手製薬企業がカバーできない希少疾患へのシーズの創出など、独自性の高い技術力によって実用化が期待される一方で、たとえば、一般的なITスタートアップと異なり、より学術・専門的な研究がイノベーションの源泉となります。
 そのため、創薬系スタートアップが成長・拡大していくにあたっては、
① 開発に必要な多額の資金調達のため、赤字先行型の特殊な経営手法が求められる。
② 再生医療やデジタルヘルス等の最先端・新領域の研究、薬事対応や知財戦略をはじめ、高度で専門性の高い知見を要する。
③ 実用化や事業化には各段階に応じた適切な対応が求められ、臨床研究や治験に長い時間を要する。
などという点に、その特殊性が見られます。

以下、比較のイメージ図

スタートアップにおける「死の谷」のイメージについて、AMED 死の谷(Death Valley)障壁解決に向けた取組を基に作図

「東京の強み」とは

 さて、ここで質問です。皆さんは、創薬系スタートアップは国内に何社あるか、ご存じでしょうか。
 一般社団法人バイオインダストリー協会が2019年10月に発行している「国内バイオ関連ベンチャー総覧」によれば、創薬系スタートアップは国内で約1400社あると言われています。実は、そのうちの571社が東京に集積しており、割合としては約40%に上ります。加えて都内には、創薬系スタートアップが成長していく過程で関わる、大学・研究機関、製薬企業や投資家等の多彩なプレイヤーが集まっています。
 このように東京は、創薬のオープンイノベーションを育む土壌として高いポテンシャルを有しているのです。

創薬系オープンイノベーション支援事業の取組について

 こうした背景のもと、都は、これまで創薬系スタートアップ支援として以下の4事業に取り組んでおり、簡単に支援メニューをご紹介させていただきます。
① 創薬・医療系スタートアップ育成支援
  Blockbuster TOKYOと称して、創薬・医療系スタートアップや起業を目指す研究者等を対象として起業や運営に関するサポート、資金調達や事業会社との提携に向けた支援を行っています。
  2018年から始まった本事業で、これまでの73の創薬系スタートアップに対して、アクセラレーション支援を行ってきました。今後は、これまでのBlockbuster TOKYOでの実績・ノウハウを踏まえて、エコシステム形成を視野に入れた創薬系スタートアップ支援を実施していく予定です。
  ※令和4年度の事業は準備ができ次第、デジタルサービス局のホームページでお知らせします。

② 創薬・医療データ科学イノベーション人材育成
  東京医科歯科大学と連携して、データ科学の知見やビジネス展開力を身に付け、創薬・医療分野のイノベーションに貢献する人材を育成する取組を実施しています。令和3年度にトライアル開講し、今年度から本格実施しています。現在、学生及び社会人を対象とした「アントレプレナー育成プログラム」を開講(8月から12月まで。一部は3月まで)しており、50名を超える多くの方々に受講いただいています。
  今後は、主に創薬系領域での実務経験を有する社会人やこの領域での起業等を目指す方々を対象とした「デジタルヘルス人材育成プログラム」の開講(11月から3月まで)を予定しています。

■参考
東京医科歯科大学統合教育機構イノベーション人材育成部門

③ 大学保有機器等の共用促進
  創薬・医療分野研究者や創薬系スタートアップが有する技術やアイデアの実用化に向けた後押しを行うため、大学が保有している研究機器等の共用を促進する取組を東京医科歯科大学と連携し、実施しています。
  希望者の利用目的が、貸し出し条件に適する場合には、東京医科歯科大学の学内料金と学外料金の差額分を都が負担しています。見学会や機器の利用説明のサポート体制も充実しており、これまで多くのスタートアップや研究者の方々に活用いただいています。

■参考
東京医科歯科大学リサーチコアセンター 

④ 研究開発に関する施設(ウェットラボ)への入居補助
  創薬・医療分野において実用化が期待されているシーズを有している方々の研究開発に資する施設(ウェットラボ)への入居を支援しています。これまで30を超える創薬系スタートアップを支援しており、現在は14社を対象に助成を行っています。
 ※募集は終了しています

■参考
デジタルサービス局ホームページ 創薬系オープンイノベーションの支援

 今後も、「未来の東京」戦略で掲げるように、2030年までに大型資金獲得等の成功事例を5社輩出することを目標にして、創薬系スタートアップの支援、またその環境整備に向け、関係機関とともに取り組んでいきます。

【予告!】デジタルヘルス人材育成プログラムが開講します!~受講生の募集~

 上の段でも触れたとおり、東京医科歯科大学と連携し、開講する「デジタルヘルス人材プログラム」ですが、秋の開講に向けて、現在、鋭意準備中です。
 主な対象は、医療・創薬・デジタルヘルスの領域での起業や新規事業開発を目指す方を想定しており、ICT概論やデジタルヘルス事業特論など、デジタルヘルス人材の育成に資する内容を盛り込んだカリキュラムとなる予定です。
 現状、デジタルヘルスについて体系的なプログラムが多くない中、このプログラムでは、この領域の第一線で活躍する実業家や研究者をお招きして、集中的に学ぶことができる内容となっております。
 昨年度のトライアル実施においても、募集して間も無く、満員御礼となったプログラムですので、創薬などのライフサイエンス領域の実務経験者や、この分野での起業を目指したい方がおりましたら、奮ってご応募ください!!
※詳細はデジタルサービス局ホームページのほか、東京医科歯科大学の特設ホームページをご覧ください。

おわりに

 今回は、創薬系オープンイノベーション事業の紹介とともに、今後開講予定の「デジタルヘルス人材育成プログラム」の予告をさせていただきました。これからも創薬・医療系のオープンイノベーションの活性化に向け、一層の支援を行い、東京における経済の活性化、都民・国民の健康長寿に寄与することを目指して、担当一同、取り組んでいきます!

■参考