見出し画像

Swedenの税金と納得感

前回は高失業保障と教育費無料が、成長分野への労働力の移動を促しているという話でしたが、その財源はどうなっているのかというのが今回の話題です。

税金は3割から6割(2022年Skatteverket情報)


個人にかかる所得税の、地方に収める税金の率は年収540,700SEK(約700万円)までが地方税が平均で約32%、年収がそれを超えると国に収める税金(20%〜25%)が加算されます。収入額によって控除があるので、年収20,200SEK(約26万円って、ちょっとしたアルバイトで超えますね)までは課税なし、逆にそれ以上収入があると課税の対象になります。高所得者、例えば年収675,700SEK(約880万円)だと、地方税と国税合わせて60.1%になります。給与所得者は日本と同じで源泉徴収されるので、税金で持っていかれる感を個人がどれくらい持っているか分かりませんが、手取りが給与の4割というのは結構。。。。

一方、消費税はというと、通常の商品・サービスは25%。スーパーで買う食材(レストランでの食事はサービスなので25%)・ホテル宿泊費・交通費・衣類や革製品などの修理などは12%、書籍やアート作品(アーティストが直接販売する場合)・コンサートチケットなど教育・芸術関係は6%です。ちなみに、消費税のOECD平均が19%程度です。

国民は不満?


「そんなに税金が高くて国民は不満じゃないの?」という至極当然の問いが生じます。Sweden人に聞いて回ったところ、要約すると「税金の使い道に納得してるから不満ではない」というのが共通の回答でした。ただし、最近は高福祉が税金を払っていない移民に使われることへの不満などが出てきているとこのことです。税金の使い道は、県→医療、市→教育・福祉と決まっています。各県や市は詳細な使途明細を公表しており、下記のような民間の組織による税の使い道をトラッキングするサイト(Skattekollen)もあります。

民間団体Skattekollenの税の使い道監視サイト https://skattekollen.se

透明性と納得感



透明性重視は、政治家の公費支出にも求められており、支出の決済は専用クレジットカードで行い、その明細が公表されます。以前に次の首相候補だった議員が、チョコレート(スーパーで売っている普通のものです)をこのカードで購入したことが明細からわかり、対立候補に追及されて失脚するということがあったそうです。この話を聞いた時には、日本もそうすればいいのに(カード決済限定、明細公開)、と思いましたが、初回に書いた電子決済でほとんどのものが購入できる環境があってのこと。逆に、日本でキャッシュレスが進まないのは、電子決済で透明になったら困る、影響力のある人達の力が働いているのかも、と勘繰ってみたり。

税の使い道には、それくらい透明性があり、市民も関心を持って常日頃チェックしていること、学費不要、医療費補助、失業手当、奨学金といった身近に感じられるメリットがあることから、納得感ができているのだと考えられます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?