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Swedenの政治への信頼

取り上げたいメインはビジネス関連なのですが、ちょっと横道。前回、Swedenの高い税負担への国民の納得感について、民主主義への信頼が根底にあるのではというコメントを頂きました。国、政治、民主主義に対する信頼について、Swedenの若者の政治参加意識と併せて所感を書きます。

選挙投票率87.2%


国政選挙(2018年)の投票率が87%と聞いた時には耳を疑ました。上の表がSweden、下のグラフは日本です。北欧以外にも投票率が高い国はあるのですが、多くは義務投票制(オーストラリア、ルクセンブルク、トルコなど)です。中には罰金・入獄など厳しい罰則がある国もあります。北欧諸国のほとんどが義務投票制でないのに投票率が高いのはなぜなのでしょう。


Swedenの選挙別投票率(18歳から24歳、全体)
上から、国政選挙・県選挙・地方自治体選挙・欧州議会選挙


日本2021年衆議院選挙年代別投票率

最初の地図は、OECE各国の自国政府への信頼度で、色が濃いほど信頼が高いことを表しています(https://ourworldindata.org)。スウェーデンは64.7%(2020年)、日本は49.5%(2020年)です。スウェーデンは日本と比べるとかなり高いですが、北欧他国(ノルウェー94.3%!!、フィンランド80.7%、デンマーク79.3%、いずれも2020年)に比べると低い(コロナ対策が賛否両論だった時期なので、その影響もありそうです)。これを見ると、必ずしも時の政権が圧倒的支持を得ているわけではなく、だからこそ、不満のある部分が次の選挙の争点となり、改善してくれそうな候補者に投票しに行く、という行動になるのかもしれません。これは、公約が守られること、言い換えれば、改善への期待値が高いことの表れとも言えます。

若年投票率高し


スウェーデン の18-24歳の投票率は平均よりやや低いですが、国・県・地方自治体とも8割を超えており、高いことには違いありません。日本のグラフは2021年の衆議院選挙。20歳代は36.5%、一番高い60歳代が71.4%なので、その差2倍。そして、年金・高齢者医療・介護が重視され、子育て・教育といった若年層のための施策が手薄になるわけです。

恐るべしSwedenの小学生

職場の同僚の家に皆で伺った時のことです。多国籍、多分野の専門家や実務家が集まり、話題はコロナ、ロシア・ウクライナ問題、日本企業とSweden企業の違い、教育、エネルギー、ごみ処理など、社会・経済・政治と多岐にわたりました。驚いたのは、11歳のお嬢さんがあらゆる話題に対して物おじせず自分の意見を言うことです。それもその場の雰囲気で同調するとかではなく、普段から考えているしっかりした主張です。お母さんが「ちょっと私にも喋らせて」と言うくらいの勢いで政治を語る小学生に初めて会いました。Swedenの小学生恐るべし、と私と同じように思ったのでしょう、ある人が聞きました。

「学校の友達はどう言ってるの?」
「何の話かわからないって顔される」

皆が皆そうではないらしい、と若干は安堵しつつも、彼我の差は凄まじい、と衝撃でした。Swedenの子供達が自分の意見を持つことや自分がやりたいことが何かを見つける教育を受けていることは聞き齧っていました。同一教科の教科書が複数パターンかあるとか、九九を覚えるとかしない、服装も自由、全般に強制されることがない、などです。
別の機会に、同僚に、環境保護活動家のグレタさんの活動についてスウェーデンの一般の人はどう思っているのか聞いたところ、「主張や方法には賛否あるかもしれないが、自分の信念を持って活動しているところを皆評価している」という回答でした。自分達に影響することなのだから、どうしたいか自分たちで考え、声を上げることを子供の頃から教えられているということでしょう。

学校選挙

学校選挙(実際の選挙の前に、18歳で投票権を得る前の学生による模擬選挙。投票・開票等全て学生主体で運営される)の貢献も大きいようです。日本でも複数大学の先生や団体が自主的に学校選挙の活動をされていますが(下記参照)、Swedenでは国の予算で学校選挙が全国的に行われています。ちなみに、この学校選挙も学校単位で生徒達が参加するかどうかを決めるので、強制ではありません。


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