大滝さんのお仕事(本日は大滝日和なのです。vol.3)
春分の日である3月21日は大滝詠一さんのファンにとっては特別な日なのです。
80年代にリリースされた三枚のアルバム
『A LONG VACATION』1981.3.21リリース
『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』1982.3.21リリース
『EACH TIME』1984.3.21リリース
すべて3月21日にリリースされています。
2013年12月30日に永眠された大滝詠一さんなんですが、『EACH TIME』以降、ニューアルバムは出ないままだったこともあって、3月21日になると、いろんな企画盤や記念盤がリリースされたりするんです。
当然、今年もリリースされてます。
『大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK』/『NIAGARA ONDO BOOK』
ほんといろんなとこからかき集めてきますね~
今回は "ノベルティソング"、いわゆるコミカルな系統の曲が集められています。なんと未発表の "新曲" も収録されるというんだから驚きです。
まあ、正直、本人がいない企画盤は微妙なんで、購買欲はそそられないんですが、やっぱり3月21日は大滝さん三昧したくなるんです。
「ポップスター」from『大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK』
このアルバムの収録曲の1つに「ポップスター」って曲があるんですが、ちょっと思い出深い曲なんですよね。(大滝詠一さんのボーカルが残ってるんですね~)
この曲、ある人への提供曲だったんですが、そのある人は、大滝詠一さんのプロデュースでアルバムも出してたりするんです。
ということで、今回は、この「ポップスター」が収録されていたアルバムも含めて、80年代以降、大滝詠一さんがプロデュースした3枚のアルバムについて "note" していきたいと思います。
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ご存知の通り、大滝さんってコミカルな曲も多いのですが、『A LONG VACATION』から入った自分としては、そういう "ノベルティソング" 系統には、あまり魅かれないんです。(すみません💦)
大滝詠一さんの80年代以降のプロデュースというと、植木等さんやクレイジー・キャッツをはじめ、トニー・谷さんらのアルバムが有名なんですが、そこら辺は聴いてないんですよね~。
でも、その他にも印象的なプロデュース作品はあるんです。
ラッツ&スター『SOUL VACATION』
1983.11.1リリース
1枚目は、ラッツ&スターの『SOUL VACATION』
もう、タイトルからして大滝プロデュースが意識されますよね。
このアルバムは1983年11月のリリースなんで、大滝さん的には『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』と『EACH TIME』の間のお仕事になります。
グループ名を ”シャネルズ” から ”ラッツ&スター” と改名した後の最初のアルバムです。
大滝プロデュースにジャケットデザインはアンディ・ウォーホルという気合の入った一枚なのです。
実は、当時、中学生だった自分はリアルタイムでは聴いてないんです。
自分がこのアルバムと出会ったのは1995年にCDによる復刻盤がリリースされた時なんです。
その頃は、大滝詠一さんの新作アルバムが出ないまま10年… もう新作がリリースされることはないのかも… と、大滝不足が深刻だった時期でした。
(収録曲)
「Tシャツに口紅」
作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一/編曲:井上鑑
まず、なんと言ってもこの曲ですね。
リアルタイムで聴いた時は、「め組のひと」の後のシングルだったこともあって、地味~な印象だったのですが、聴けば聴くほど味わいを増す曲なのです。
恋の終わりの際を描いた歌なんですが、ちょっと大人のやり取りがよいのです。
「星空のサーカス」
作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一/編曲:宿霧十軒
冒頭、佐藤善雄さんの低音ボイスで、♪ パーンチパンチ ドゥビドゥビドゥバ~って始まるのが最高のこの曲。
アルバムに収録されているもう1つの大滝ソングなんですが、これぞ ”ラッツ&スター” だし、これぞ大滝詠一さんという、両者の”らしさ”が融合した傑作だと思います。
大滝さんの曲はこの2曲だけなんですが、このアルバムはテレビショーのようにサービス満点で、ほんと楽しいのです。
「真夜中のダイヤモンド」
作詞:麻生麗二/作曲・編曲:井上大輔
”ラッツ&スター” のヒット曲をたくさん提供している井上大輔さんの曲ももちろん収録されています。
渡辺満里奈『Ring-a-Bell』
1996.3.21リリース
さて、2枚目は、渡辺満里奈さんのミニアルバムです。
前年の1995年に『ちびまる子ちゃん』のテーマソングとして提供された「うれしい予感」が縁で制作されたんでしょうね。
6曲収録のミニアルバムなんですが、これまた、楽しいアルバムだったのです。
(収録曲)
もちろん、メインとなっているのは「うれしい予感」なのですが、ライター陣を見てみると、いつもの井上鑑さんに、萩原健太さんや平井夏美(川原伸司)さんら、大滝さんとの関係が深い方に加え、佐野元春さんや杉真理さんも参加していて、さながら同窓会みたいな風情があるんです。
「うれしい予感」
作詞:さくらももこ/作曲:大瀧詠一/編曲:CHELSEA・井上鑑
決して伸びのあるボーカルではないですが、独特のガーリーな雰囲気を持っているのが渡辺満里奈さんなんですよね。
多分、その特徴を生かしたプロデュースで、聴いてると幸せな気持ちになるのです。
「ダンスが終る前に」
作詞・曲:佐野元春/編曲:多羅尾伴内・井上鑑
このアルバムで大好きだった一曲。
聴いてると、大滝サウンドそのものなんですが、やっぱり佐野元春さんらしい部分もあって、まさにナイアガラトライアングルを思い出しちゃうんですよね~、よい曲です。
「あなたから遠くへ」
作詞・曲:金延幸子/編曲:多羅尾伴内・井上鑑
ボサノヴァ風味のアレンジが心地いいこの曲ですが、金延幸子さんという、70年代のシンガーソングライターさんのカバーなんです。
…このマニアックな選曲、そこが大滝プロデュースならではなのです。
市川実和子『Pinup Girl』
1999.8.4リリース
さて、最後の3枚目は、あまり知られてないかもしれませんが、女優の市川実和子さんのアルバム『Pinup Girl』です。
市川実和子さんって、もともと人気のあったモデルさんで、当時、雑誌やCMとかにもよく出てたんですよね~(ちなみに市川実日子さんは妹さんです。)
そして、突然、大瀧詠一さんのプロデュースによるシングル「ポップスター」が1988年にリリースされるんです。
「ポップスター」
作詞:小野小福/作曲:大滝詠一/編曲:Bannai Tarao
いい曲なんですよね~大好きでした。
決して歌が上手いわけではないんですが、軽快で楽しい曲です。
記事の冒頭で『大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK』に収録されてる「ポップスター」は、実は市川実和子さんに提供された曲でした。
何とも言えない取り合わせなんですよね~、女子に大人気だった売れっ子モデルさんに、どこか郷愁も感じさせる軽快な大滝さんの曲を歌わせるなんて、かなり意外で印象的だったのです。
大滝詠一さん自身、渡辺満里奈さんの「うれしい予感」以降、活動が活発になって来てて、1997年にはご自身の久々のシングル「幸せな結末」をリリースしたりして、いよいよ新作アルバムもあるかもと期待していた頃でもあったので、このコラボは驚きでした。
もしかしたら、提供曲としては最期の方の作品でしょうね。
そして、その勢いのままアルバムもリリースされてます。
(収録曲)
このメンバー…
平松愛理さんという新味はありますが、盟友、鈴木慶一さんや細野晴臣さんに加えて、なんと筒美京平さんまで名を連ねてるんです。
これまた、同窓会といった風情ですよね。
顔ぶれを見ただけで楽しくなってきませんか?
「雨のマルセイユ」
作詞:小野小福/作曲:大滝詠一/編曲:Chelsea
「ポップスター」と同じく、大滝さんの曲です。
「冬のリビエラ」なんかと同様の歌謡ポップなんですが、市川実和子さんの音域には合ってない感じもあるので、これは大滝さん自身のボーカルで聴きたかった1曲ですね。
「愛の干物」
作詞:小野小福/作曲:筒美京平/編曲:井上 鑑
1曲だけ収録されてる筒美京平さんの曲です。
洒落たサウンドで仕上げてるんですが、歌詞がなかなか個性的で面白い曲になっています。
その詞を書いた ”小野小福” という人なんですが、豪華なソングライター陣の中、全部の作詞を担当してますが、この作詞家さんの正体については諸説あります。
もちろん大滝さん自身というのが定説(もともと ”多幸福” 名義で作詞してますし)ですが、アルバム丸ごとなんで、共作者がいるんじゃないかと噂されています。
その共作のパートナーには松本隆さんの名前も上がるんですが、個人的には詞の傾向から松本さんではない印象を持っています。
と、思うんですが、果たして、真実はどうなんでしょうね。
そんな謎の部分もありながら、肩の力が抜けたプロデュースが魅力的なアルバムなのです。
残念ながら、すでに廃盤になってるし、サブスクでも解禁になってないという、今では幻のアルバムになってるんですが、見かけた時は、ぜひ聴いて欲しいアルバムなのです。
(追記)
大滝プロデュース作品といえば、1981年10月21日リリースの松田聖子さんのアルバム『風立ちぬ』(A面のみのプロデュース)も知られていますが、昨年の「大滝日和」で記事にしてますので、今回は割愛しています。
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ということで、3月21日にちなんで、大滝プロデュース作品を紹介しましたが、皆さんにそれぞれの楽しみ方があると思いますので、いい「大滝日和」をお過ごしください。
「夢で逢えたら」
(関係note)
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