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"夢のカリフォルニア"を口ずさむシーンが忘れられない映画『ステラ』

 Stella Dallas


 昔から映画は好きだったのですが、高校生ぐらいまでは”アクション映画”や、”SF映画”ばっかり観てたような気がします。

 ただ、大学ぐらいからは、過去の名画や、ちょっと文芸的だったり、人間ドラマ的な映画も観るようになったんですよね。

 そんな20代はじめの頃に観た映画で、最近、観たくなって探しまわったが、1990年に公開された、監督:ジョン・アーマン、主演:ベット・ミドラーの『ステラ』という映画です。
 まあ、何かの賞を受賞したわけでもないし、いわゆるミニシアター系で話題になったわけではなかったんで、ちょっと地味な映画かもです。

 ただ、この『ステラ』、自分は映画館でボロ泣きしちゃった映画なんですよね~。


 バーテンダーとして働くステラ(ベット・ミドラー)は、名家の出の医大生スティーヴンの子どもを身ごもったことから彼のもとを去り、女手ひとつで娘ジェニーを生み、育てることに。
 やがて年頃になったジェニーを今の環境のまま置いておいてよいか悩むようになり……。


 内容は、ベット・ミドラー演じるシングルマザー・ステラの、娘誕生から子育て、そして娘が結婚していくまでを描いたものなんですが、娘の幸せのためステラがいろんな決断をしていく展開のドラマなのです。

 自分としては、こういう人間ドラマ系の映画は決して得意ではなくて、当時、なぜ観ようと思ったのか、あまり憶えていません。
 恐らく、シンガーとしては知っていたベット・ミドラーの演技を観てみたかったのか、前作『フォーエバー・フレンズ』の評価が高かったのか、何か魅かれるものがあったのだろうと思います。

 ただ、いざ観てみると、映画の後半は苦しくて苦しくて、なんでそこまでしなくてはならないのかと、ずっと考えてました。
 きっとステラにとってはハッピーエンドなんだろうけど、最後の最後までなんか悲しかったんですよね。(どっちだかわからない表現ですみません💦)

    泣けたんですが、スッキリの涙じゃなかったのです。最後はもっとハッピーなのを期待してたのに、想像以上に悲しすぎたのです。


    中盤には、ほっこりするいいシーンもあるんですよ。

 洗濯物をたたむステラと、机について勉強してる娘が、「夢のカリフォルニア」を口ずさみながらコーラスする場面なんですが、それだけで、二人が積み重ねてきた確かな時間を感じることができますよね。
 とっても好きなシーンで、映画の帰りに「夢のカリフォルニア」の入ったCDを探しに行ったのを憶えていますね。

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All the leaves are brown (all the leaves are brown)
And the sky is grey (and the sky is grey)

I've been for a walk (I've been for a walk)
On a winter's day (on a winter's day)

I'd be safe and warm (I'd be safe and warm)
If I was in L.A. (if I was in L.A.)

California dreamin' (California dreamin')
On such a winter's day

 歌詞の内容は、冬の寒い日に暖かなカリフォルニアを夢見るって感じなのですが、この映画の中で聴くと、さらに染みるんですよね。

 その時、見つけたのは”ビーチボーイズ版”だったのですが、原曲はママス&パパスが1965年にリリースした曲です。


 ふとした時に、この曲を口ずさむ親子って、なんか素敵だと思いませんか。


 この映画を初めて観た時は20代でしたが、先日、30年振りに観てみたのですが、やっぱり胸が締め付けられるような気持ちになりました。

 それでも、自分も親の立場になったせいか、前に観た時よりも、ステラ(ベット・ミドラー)の気持ちが理解できるような気がしました。
 自分が同じ立場だったら、ステラのように考えたかもしれません。

 親って、そんなもんなんですよね...

    なんかモヤモヤする時は、ベット・ミドラー演じるステラと一緒に笑ったり、怒ったり、時には泣いたりするといいかもしれません。

    ただ、母娘の二人で観ると大変なことになるかもなので、ご注意ください!


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 主演のベット・ミドラーは、決して美人とは思えないんですが、コケティッシュな魅力があって、この『ステラ』でも、だんだん好きになってくんですよね〜、魅力的です。
 映画の後半は、悲しいんですが、ベット・ミドラーの見せる表情のひとつひとつがいいんです、特にラストの表情は忘れ難い余韻があるのです。


 役者としてデビューしたのは、ジャニス・ジョプリンをモデルにした1979年の『ローズ』で、ベット・ミドラーは主役のローズを演じるとともに主題歌を担当しています。


『The Rose』by Bette Midler

    もはやスタンダードナンバーですよね。

 また、『ステラ』の2年前、1988年の『フォーエバー・フレンズ』でも主役を演じています。(これもいい映画なんですよね~)
 その時も、自ら主題歌「愛は翼にのって」を歌っていて、大ヒットしてました。


『Wind Beneath My Wings』by Bette Midler


『ステラ』を観るきっかけは、この歌を耳にしたからかもしれませんね。