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すきでたまらない

彼女のことが、好き。
世界でただ一人の、私の恋人。
かけがえのない存在。

彼女の好きなところをあげていくときりがない。
彼女により沿って、過ごしていたい。
瞬きするのさえ億劫になって、あたたかいぬくもりに包まれたまま眠りにつきたい。

このあいだ二人で飲んだお酒は、今ままで飲んだ中で一番楽しかった。
知らない遠い土地に、私が愛する人が確かにいて、
私が知らない間に調べてくれた居酒屋にそれとなく入って、
よくある南国っぽいトロピカルなお酒を頼む。

「どれが飲みたい?」

って聞いてくれるのはいつものことで、
私が二番目に飲みたいものを言うとそれを頼んでくれる。

「飲んでみる?」

と聞いてくれて私が気に入ったのがわかると、私がそれまで飲んでいたものを「これもおいしいね」なんて言いながら交換してくれる。

出てきた料理をほおばると、急に安心感が出てきた。
お酒も相まって、瞼が重い。

それでも必死にこじ開けると、目の前には大好きな彼女が心配そうにこちらを見てくれていて、私がこれがいいと言って頼んで残した食べかけをちまちまと口に運んでいる。

ああ、今、この瞬間に死んでしまいたい。

彼女と二人で、幸せだって、もう、それだけの気持ちのまま。

世間とか、普通とか、何も考えないまま、
この瞬間が、永遠であってほしい。

恥ずかしくない。
痛みも感じない。
いまなら何にも怖くない。


彼氏がいるのか聞かれる。
恋バナをする友人の相談に乗ると、「いや、お前のはちょっと違うじゃん」と言われる。
絶対別れた方がいいと色んな人からアドバイスを受ける。
母親を困らせる。

ちやほやされたいわけじゃない。
自慢したいわけでも、ひけらかしたいわけでもない。
心配されたいわけでもない。

同性で付き合っていると、付き合っていること自体が、お互いやその周りを不幸にしてしまっているんじゃないかとひどく不安になる。
彼氏がいるのかと聞かれて、「いないよ」と平気な顔で答えるのに、一瞬でも彼女の存在を全くないものとするのには、まだ慣れない。
こんなにも私のことを大切に思ってくれている人がいる。
紳士で、やさしくて、かっこよくて。
心の底から手放したくない人が、私のことを好いてくれているという、自分にとってもこの上ない事実を、伝えたい人に隠し続けて、時には心無いことも言われたりして、生きている。

たまに、どうしようもないこの環境に、言葉も出ないほど落ち込む。
私と彼女のこの関係は、なんなのだろう。
友達じゃないんだ。
恋人なんだ。
抱きしめたいとか、キスしたいとか、その先のことも、したいって思うんだよ。
心から信頼しているし、二人で生きていきたいって思うんだよ。

大好き。大好き。

私は思考回路が単純だから、こんな気持ちが集まったら結婚したいって考えちゃうけど、
今はまだ、もう少し、このまま。
きっとそのほうがいい。

リアルな人に、私たちの事実を知らせるのはかなり危険だということがわかってきた。
リスクが大きすぎる。

でも、事実を言わなければ、私たちの世界を、けがされることはない。

「早く彼氏作りなよ」
「彼氏も作らないで何してるんだ!」
「そんなんだからもてないんだ」

言われるのはたいていこういう感じのこと。

「はは、すみません。」

それでいい。今は。

私があなたを愛する気持ちは日に日に大きくなって、
やがて、あなたを守る何よりも大きな盾になる。




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