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【第24話】フィルムカメラ末期のNikon F100を手に入れた理由

ニコンには名機や銘玉と呼ばれる機材は数々あるが、1980年代のフラッグシップNikon F3は間違いなく、そのひとつだろう。

仕事道具としてはとても使い易く頑丈だったが、最近、趣味カメラを本格的に始め、改めて良き寫眞機だと感じている。

ニコンF3の登場は1980年。2000年に生産が終了するまで、約20年も現役として販売された人気モデルだった。ジウジアーロ氏のデザイン性も相まって、現在でも中古市場で人気を維持している。

前回のコラムで、私が40年前にNikon F3をローン(当時13万9000円)で購入した話を紹介したが、あれから40年後、いまは2〜3万円もあれば、程度の良い中古が手に入る。

その情けないほどの安さに、数年前、美品を一台追加購入した。古いF3はオーバーホールしたものの、完全復活できず、さすがに寿命が近そうだったからだ。

普段はミラーレスやデジタル一眼レフで撮影しているが、デジカメの画像に食傷気味になったとき、モータードライブにF3を装着してシャッター音を味わいながらスナップを楽しんでいる。

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(上記写真はいずれもNikon F3 + MD-4 + Ai NIKKOR 50㎜ f1.4で撮影)

フィルム撮影にF3は何ら不満がない。むしろ、十分以上だ。ただ、私は1990年から2000年代の間、現場を離れ、ブランク、穴がある。

この間生まれたカメラやレンズ、とりわけ、AF搭載のフィルムカメラで撮影したかった。

いろいろ調べた上で購入したのは、F3が現役引退する直前、1998年に登場したF100だった。もうすでにデジタル時代の足音が聞こえてきたフィルム末期のカメラでもある。

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(写真左がNikon F100、右がNikon F3。ともにバッテリーグリップ・モータードライブに装着。なかなかの男前である)

1996年発売のフラッグシップF5はバッテリーグリップ一体型で大きく重すぎるという声もあり、F100はその2年後にバッテリーグリップ分離型、ほぼ同スペックで登場した。それゆえF5ジュニアとも呼ばれている。

F100はプラボディではなくF5と同じマグネシウム製なのでチープ感はない。重さは単3エネループを入れたバッテリーグリップ込みで、F3が1400g余り、一方のF100は約1100g、300gほど軽い。

F100は発売当時19万円だったが、いまや、ボディ単体で1〜2万円で買える。私はバッテリーグリップ込みの個体を1万円台で購入した。

梅雨時なので、まだ撮影に持ち出していないが、思いのほかAFが速いというのが第一印象だった。非Ai以外、Ai以降のG、Dレンズが使える。残るはAFの精度だが、近々、撮影に持ち出し、写真を見て確認したいと考えている。

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(写真は左がF100 + Ai AF NIKKOR 50㎜ f/1.4。右がF3 + Ai NIKKOR 50㎜ F1.4)

ニコンのフィルムカメラは、F100のあと、2004年にフラッグシップF6(バッテリーグリップ分離型)が登場したが、それも昨年2020年には販売を終了。フィルムカメラの歴史は幕を閉じた。

ただ、趣味としてフィルムカメラを考えた時、感傷的になる必要もないと思う。

なぜなら、時が経過した今だからこそ、親子ほど歳の離れたカメラを格安で手に入れ、その感触や進化を体感し、楽しむことができるからだ。

フィルムとデジタル、どちらが優れているか論じるのはナンセンスだ。

カメラを通じて過ぎ去った時代の空気を感じる。デジタルに飽きたら、気分転換にフィルムも嗜(たしな)む。こんな写真生活も趣味カメラの醍醐味だと考えている。

(追伸)次回はフィルム時代に誕生した銘玉ニッコールを取り上げたい。

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