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ショーペンハウアーから学ぶ”自分の考えを作る読書”

1.読書とは

自分の頭で考えることだー

30歳に差し掛かった時、ふと気がついた「自分の読書は身になっているのだろうか?」と。
元々、本を読むことは嫌いだった。だが大学生になってからなんとなく手に取ったビジネス本が少し面白かったし、世の中を知らない自分には、それらのビジネス本が新鮮で魅力的だった。
数年間で100冊くらいは読んだだろうか。たぶん、それくらいは読んでいる。だがふと思った「自分の読書は頭には入ってくるが、実際には腹落ちしていないし、役に立たない。」
それはまるで「素晴らしい健康器具」だと思い即購入したが、使い終わって気付いたら、引き出しの奥深くに眠っているモノと全く変わらない。それが今までの「読書」のやり方だった。

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そんな時に出会ったのがショーペンハウアーが書いた「読書について」だ。ショーペンハウアーの名前を知らない人は多いと思うが、自分もその一人だった。ショーペンハウアーはドイツの哲学者で、「読書について」は「余録と補遺」という著書から訳出されたものだ。ハウアー節で書かれたこの著書は、本を読んでひたすら「自分の頭で考える」ことの大切さを説いている。読書は他人の思考に浸るのではなく、自らの考えを創造するためものだと熱弁している。

2.間違った読書、陥りやすい読書

自分がやっていた読書はどうたったのかー。
今までの読書を振り返ってみると、ビジネス本の新刊が出る度に、その本に飛び付き読んでみる。ノートに纏めたりするが 、自分のものにできてない感じがする。何故だろうー。
答えは簡単で、読書そのものが他人の思考であり、他人の思考をそのまま受動的に受けているからだ。これは他人の思考によって固められたレールの上を走る列車のようであり、自分が曲がりたくも曲がれないような状況と同じだ。

こんなことはないだろうか?良書だと思い、内容にフムフムと納得し、知識としては吸収はするも、いざ大事な場面では自分としてのアイデアや考え、意見がなかなか出て来ない。これがまさに間違った読書の弊害だ。結局は読書をして知識人となったような感覚に陥っているだけで、そこには思考もアイデアもない空っぽな自分が残る。
ただ、1つ注意したいのは知識を取り入れることを悪いと言っている訳ではなく、そこから自分の考えを作らず、他人の思考に浸りきってしまっていることが悪いと言っている。

3.新刊では学べない

ついつい飛びついてしまう新刊。だが、はっきり言って80%は中身の薄い本である。と言うよりかは、新刊もまた誰かの知識をそのまま書き起こしているに過ぎず、名著のコピー に過ぎない。そんなコピー 本を読んでも、実際の名著で語られている考えやアイデアや背景、雰囲気を味わうことは難しい。これは大学生のレポートと一緒だ。本当に価値のある論文は、分析や思考をめぐらした上で何かしらの結論を出しているが、ほとんどの大学生のレポートは他の研究者のコピペである。そんなことをやっている間は自分の核となる考えやアイデアは浮かばない。

自分の頭で考えてたどり着いた真理や洞察には100倍の値打ちがある。

だからこそ、古典や名著を読んで、著者のセンテンスから学び、考え、自分の血肉とすることを勧める。古典や名著が令和の時代にもなって評価されていることは、混沌とする社会を生きる私たちにも通用するそれなりの理由があるからだ。
昔から「悪貨が良貨を駆逐する」言うコトバがあるが、読書にも同じことが言える。「悪書が良書を駆逐する」。何故なら駄本をつかまされたら最後、あなたは大事な時間をその駄本に費やすからだ。本を選ぶのは自由だし、面白そうなものを選ぶのも良い。だが少し読んでみて中身が薄ければ、その本をそーっと閉じることは、愚行ではない。むしろ今後の読書を良いものにする行いであることを認識してもらいたい。

4.真の理解とは

ショペンハウアーが説く真の理解とは、「自分と対象との関係性を把握することだ」と述べている。2つの異なる事象に同一の関係性が成り立つことを把握することで、より深く完全な認識を手に入れることができるとしている。言い換えれば、アナロジー思考である。
アナロジーとは、日本語で言えば「類推」にあたるのだが、複雑な事象に潜む本質的な構造を見抜き、それを別分野に応用することである。
19世紀のアメリカを代表する哲学者・心理学者であるウィリアム・ジェームズは「才能の最良の指標はアナロジーに気づく能力である」と言う言葉を残している。
読書から学び、思考し、本質的な構造を見抜くことで自分の人生や仕事、社会、コミュニティ、教育など、あらゆる場面で応用することができるのだ。

例えば、最近「生物学」の本を読んだのだが、その本には多様性が高ければ「生態系は安定する」と記されていた。この構造は会社や組織にも応用ができるのではないかと悟ったのだが、全く同じような思考の人間を集めても、会社や組織は機能せず、実は全く違った人材を集めてくることにより、企業や組織はより安定的に存続できるのではないか?と考えるようになった。これが正解、不正解にせよ、自分の考えを作ることが非常に大事なのであり、これがショーペンハウアーの言う、自分の頭で考えることだ。

5.オススメの読書本

最後にオススメの読書本を紹介しておきたい。読書は人それぞれのやり方があり、単一ではない。だがきっと読書の概念を変えてくれる本であるし、どれも一読しておくべき価値はあると思う。

1、「読書について」/ショーペンハウアー
https://www.amazon.co.jp/dp/4334752713/ref=cm_sw_r_cp_api_i_iSH7EbD7DEB4H
2、「本を読む人だけが手にするもの」/藤原 和博
https://www.amazon.co.jp/dp/4480436677/ref=cm_sw_r_cp_api_i_TZH7EbZX3A93M
3、「読書を仕事につなげる技術」/山口 周https://www.amazon.co.jp/dp/4046011912/ref=cm_sw_r_cp_api_i_I1H7EbRAND0DG
4、「知識を操る超読書術」/DaiGo https://www.amazon.co.jp/dp/4761274565/ref=cm_sw_r_cp_api_i_a2H7EbGC772XB
5、「本の『使い方』」/出口 治明https://www.amazon.co.jp/dp/4046043792/ref=cm_sw_r_cp_api_i_H2H7EbM4B1HYE



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