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【2つのポルトガル語】:「miúdo」の使い方と頻度(Chico Buarque の Trocando em Miúdosの和訳歌詞付き)

ポルトガル語に
「miúdo【ミードゥ】」という単語があります。

これは名詞だったり形容詞だったりもするもので、
次のように変化します。

           男性形単数:「miúdo【ミードゥ】」
          女性形単数:「miúda【ミーダ】」
    男性形複数:伯葡語:「miúdos【ミードゥス】」
         欧州葡語:「miúdos【ミードゥシ】」
女性形複数:伯葡語:「miúdas【ミーダス】」
     欧州葡語:「miúdas【ミーダシ】」

この単語の基本的な意味は、両葡語共通で
「細かい」(形)、「細かいもの」(名)
といったところなのですが、

ブラジルのポルトガル語(伯葡語)
ブラジル以外のポルトガル語圏のポルトガル語(欧州葡語)では
(毎度のことですが)
使い方や使う頻度が異なります。

普通に「小さい」・「細かい」という意味でも
その他の意味でも
この単語をより多く使うのは欧州葡語話者です。

「こんなにちっちゃい○○」
などと言う場合も、

欧州葡語圏の人は、

「○○ miúdo assim」
【○○ ミードゥ・アッン】
または
「○○ pequenino assim」
【○○ ペケーヌ・アン】

というのに対して
ブラジル人の場合は圧倒的に

○○ pequenininho assim」
【○○ ピキニーニュ・アッスィン】

というような印象があります。

それはともかく、
ブラジル人が一番面食らうのは
欧州葡語圏の人達が子供のことを
「miúdo」ということです。

「Os miúdos estão lá fora a bricar.」
【ウシミードゥジェシゥン・ラフォーラァ・ブリンィレ】
(=「子供達は外で遊んでいます」)

とか、

「Cadê os miúdos? Trouxe-lhes prendas!」
【カ・ウシ・ミードシ?トゥウシリシ・プンダシ】
(=「子供達はどこだ?土産を持ってきたぞ!」

とか、欧州葡語話者は
アメリカ人が「kids」というのと同じ感覚で
「miúdos」を用います。

一方、ブラジル人が
「kids」と同じ感覚で「子供」を表すには
純粋に「子供」・「児童」という意味の
「crianças」を用いるので、

ポルトガル人などが、子供を表すのに
「細かいの」という意味の「miúdos」という
単語を使うのを見ると、当初は強い違和感を覚えます。

❇❇❇

これ以外にも、
「小銭」のことも、
欧州葡語話者は「miúdo」ということが多いのに対して
伯葡語話者、つまりブラジル人は、
圧倒的に「trocado【トゥロードゥ」
(=「替えたもの」⇒「くずしたお金」)といいます。

私の記憶が確かならば、
ブラジルでも昔は年配の方で「小銭」のことを
「dinheiro miúdo【ジニェイル・ミードゥ】
という人もいたと思うのですが、
気が付けば、
最近はとんと耳にすることがなくなりました。

❇❇❇

では、ブラジルでは
「miúdo」を普段どのような意味で使うかというと、

一番よく聞くのは「モツ」という意味です!👀

「miúdo de frango【ミードゥ・ジ・フング】「鶏モツ」「miúdo de porco【ミードゥ・ジ・ルク】「豚モツ」
といった塩梅です。笑

次いでよく聞くのは、

「trocando em miúdos」

【トゥロンドゥ・イン・ミードス】
という表現で、

これは
「つまり」「要は」「言わんとするところは」
などと訳せるもので、

なんといっても、シコ・ブアルキの
名曲のタイトルになっていることでも有名です。

シコ・ブアルキの「Trocando em Miúdos」はこちら。


少し検索してみましたが、
まともな和訳が見つからなかったので、
私のバージョンの和訳を付けますね。

「Trocando em Miúdos」
「要は」

                                                                                                Chico Buarque
                                                                             
    (フリー和訳:Shiomin)

※1 以前の記事(https://note.com/smahof/n/n845acbeaa8e2 )でも紹介
   したことがある、ボンフィン教会でかつて売られていた首に掛ける
   タイプの「ミサンガ」。
※2 ピシンギーニャ(Pixinguinha)はブラジル音楽のショーロ (choro)の
   巨匠。「Trocando em Miúdos」は、1978年にリリースされているの
      ですが、当時はまだ「レコード」の時代だったのですね…。
※3 注釈を付けるまでもないかもしれませんが、このネルーダとはチリの
      詩人パブロ・ネルーダ (Pablo Neruda) のことです。

❇❇❇

というわけで、
ポルトガル語で会話をしている人達が
「miúdo」「miúdo」と言っていたら、

        ・何か小さなものについて話している。
        ・子供の話をしている
        ・「モツ」の話をしている。w
        ・何かの詳細について話している

という可能性がある…というお話でした! >爆!!
(恐ろしく役に立たない情報...!⤵)

なにはともあれ、

本日もお読み頂き、誠にありがとうございました!

※ 「ミウードシは?」、「3人ともソファーでおりこうにしてるわよ!」、否、
「3兄弟で遊びます ネコ」はこたつぶとんさんの作品です。


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