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ブラジルワインの歴史...の裏話(笑)

トップ画像:Photo Mix による Pixabayからの画像

以前 ↓、そのうち書くと言っておきながら放置していた話です。

時は1970年代半ば、
私は17歳で生まれて初めてアルバイトをしました。

母の知人の広告会社で、
ブラジルの長い夏休み(12月初旬から2月の半ば)のあいだ、
翻訳要員として働かせてもらったのです。

そこで巡り合ったのが、ブラジルワインの歴史でした。

具体的には、
日系人が営むワイナリーの宣伝パンフの
日本語版作成のお手伝いだったのですが、

まだワインを飲んだことすらない
17歳の女の子が
メインの翻訳を担うということで、
一度電話でワイナリーの方から
お話を伺うことになりました。

そのとき聞いた話です。

*****

ブラジルのワイン生産に最も貢献したのはイタリア移民です。

イタリアからブラジルへの移民が最も盛んだったのは
1880年代から1930年代頃と言われていますので、
その少し前のことかと思われます。

イタリアの良質なブドウの種子を携えた
イタリア移民がブラジルの地に降り立たった頃、
ブドウ栽培に最も適しているとされる
南部サンタカタリーナ州には
一歩先に渡伯した
ドイツ移民のコロニーが既に出来上がっており、

自然に押し出される形でイタリア移民は
その更に南の
リオ・グランデ・ド・スール州
入植することになりました。

リオ・グランデ・ド・スール州は
ブラジル最南端の州で、
この州の南部では、
時には雪が降ることすらあります。

しかも、ブラジルは四季の巡りに
日本のような統一性がなく、
時期外れの霜が降りるようなことも
しばしばあります。

そんなリオ・グランデ・ド・スール州での
ブドウ栽培は容易ではなく、
ある年、収穫前に霜が降りて
イタリア移民が持ち込んだブドウが
全滅してしまいました。

途方に暮れたイタリア移民は
慈悲深いイザベル王女
(当時のブラジル帝国の皇帝ドン・ペドロ二世の娘)
に助けを求めます。

すると、
ちょうど友好国である英国へ向かうところであった
イザベル王女がこの声に応え、
帰国の際に低温に耐性があるとされるブドウの種子を
大量に持ち帰り、

イタリア移民を窮地から救いました。

ところが、
このブドウがいけませんでした...!

命拾いしたイタリア移民が
このブドウを栽培してみたところ、

これはあらゆる意味での耐性があり、
何もしないでも
まるで雑草のように繁殖する代わり

品質は最低!


といった代物で、

これが、あれよあれよという間に
ブラジルにおけるブドウ栽培を
牛耳る存在となってしまいました。

こうしてブラジルは、

「世にもマズイ葡萄酒しか作れない国」

として世界に知れ渡るようになり、

その汚名が
ナント!

1970年代当時でも続いていたのです。

ですから、

私がこの話を聞いた当時は、
1960年代後半より
フランスなどから輸入した
良質なブドウの栽培が始まり、
ようやく
「このような素晴らしいワインもできるようになりました!」
ということを
世界に知らしめていこうという
試みがなされ始めた時代だったのです。

結局、

美味しいワインはできるようになったものの、
実際これが輸出できるほど
大量生産できるようになったのは
1980年代半ば頃からで、

そのような汚名があったことも知らない代わり、
そもそもブラジルワインなどというものが
存在することすら知らない人が大半
という状況が、

残念ながら、今でも続いている

というわけです。

*****

当時作成されたパンフには、
さらっとこのことも記されたと
記憶しておりますが、

今の時代、ネット検索したところで
ブラジルワインの歴史はもう少し美化されており、
こんな「裏話」的なことを
綴っているところはないかと思われます。

ですから、

この話、信じるか信じないかはあなた次第です!(笑)

なのですが、

私はワイン業界の人から直接聞いた話なので、
「そうなんだろうな」
と信じ切っている次第です。

*****

ちなみに
前回ご紹介したものは、
「世にもマズイ葡萄酒しか作れない国」
だった頃から存在するワインでしたが、

日本で手に入る
「美味しいワインもできる国」
になってからの
ブラジルワインと言えば、
例えばこのようなものがあります。↓

無論、もっと高級なものも
今は日本でも手に入るようです。

当時、
たまたま歴史の一端を
知ってしまったが運のつき、
愛着を抱いてしまった
ブラジルのワイン達です。

機会があれば、試してやって下さいね♪

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本日もお読みいただき、ありがとうございました!

※ 猫の落語家はイラストレーターのこたつぶとんさんの作品です。


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