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美徳とキャパのせめぎ合い【完食教育について】

最近なにかと話題になることが多い完食教育。Yahoo!ニュースのトッピクスでも毎日討論されるくらいには騒がれてますね。

私は完食教育が嫌いです。
小さい頃から少食で、お子様ランチすら完食できない程でした。小学校に入ると食が細いのも関係なく一律で配膳される給食が苦痛だったのを覚えています。

私の場合は教師からではなく、父から完食教育を受けました。普段優しく怒らない父なのですが、食事を残すことには厳しくて。父は定期的に「給食残さず食べてる?」と小学生の私に聞くんです。いつも嘘がバレるじゃないかとヒヤヒヤしながら「残してないよ」と答えたのを覚えています。外食に行っても完食するまで店を出ることは許されず、当時小学生だった私にとって父との外食は苦痛でした。子供用のメニューがない店なんか絶望で走って逃げようかと思いました。

そのような教育を受けて育った私ですが、未だに人前で食べるのは緊張します。特に初対面の人と食べる時は、少食で変に思われないかな?少ししか食べなかったら相手を不快にさせてしまうかな?と不安が脳内を駆け巡ります。そうすると不思議なことにどんどん身体が食べ物を受け入れなくなっていくんですよ。喉がきゅっと狭まり、食べ物を口に運んでも上手く飲み込めない。お腹は空いてるはずなのに、文字通り食事が喉を通らないんです。

父のことは大好きですが、完食教育は今も呪いのように体の奥深くに染み付いています。普段の食事はなんともないのですが、ふとした瞬間に甦って体が拒絶反応を起こしてしまう。そんな感じ。

ある日、自分と同じ思いをしている人がいるんじゃないかと思ってネットで調べたんです。「人前 食事 苦手」と。そこで会食恐怖症という言葉に出会いました。人前で食べることに不安を感じ、身体に影響を及ぼすことだと。ネットの記事を読み進めて、これは自分だとしっくり来ました。自分以外にも同じような人がいて、名前までつくほどポピュラーなことなんだと安心したのを覚えています。完食教育等に興味がない人も一度くらいは聞いたことあるんじゃないでしょうか?

食べ物を残すのはもったいない、作った人への感謝が足りない。そんなのは百も承知です。でも人それぞれ受け入れられるキャパは違います。そんなの分かってるよって思うかもしれません。でも自分が想像する以上にキャパが小さい人がいるのです。そしてその人はおそらく自分の限界まで食べた上でギブアップをしていると思います。
でも、他人の限界が分からないから、まだ食べれるでしょと思ってしまうんでしょうね。

完食教育は、想像以上にダメージがありその後の人生に影響を及ぼします。私も完食教育によって人と食事を共にして嫌な思いをしたし、相手に不快な思いをさせたと思います。
なので食べることに関してもう少し広い目を世の中が持ってくれたらいいなと思います。そして自分みたいな思いをする子供が少しでも減りますように。

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