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演じるということ

「BIG BOSS」を携え
意気揚々とした就任会見で
パフォーマンスを魅せた、
日ハムの新監督、新庄剛志さん。
その華やかさとエンタメ色は、
時代の移ろいと来年への期待を誘った。
新庄さんの監督としての器に注目だ。

将の器と言えば、先月、悲報があった。
人間国宝、歌舞伎の中村吉右衛門さんが逝去。
30年に亘り「鬼平犯科帳」の主人公、
火付け盗賊改の頭、長谷川平蔵、
通称、鬼平役を演じられた。
池波正太郎氏の小説をドラマ化し、
鬼平役は初代松本白鸚さん、
丹波哲郎さん、萬屋錦之介さん
といった大スターから、
吉右衛門さんに引き継がれた。

こうした大俳優に比べ
吉右衛門さんは一見、線が細い。
しかし、結果的には
鬼平=吉右衛門の貫禄、
歴代の中では群を抜く、
圧倒的な存在感であった。

鬼平が悪を退治する冷静さと怒り、
弱者に温かな眼差しを注ぐ慈しみ、
部下の失敗を大きく包み込む労り、
江戸っ子気質で天真爛漫な心の粋、
美味いものと日本酒に目がない嗜好。

理想の大人、大きな度量を
僕らに示してくださった。

僕らも日常、仕事場で   
あの理想に近づけるかもしれない、
演じることで。

苦しいときこそ、
あるべき姿を演じる。
そもそも誰もが
自分の役割を演じている。
特に公式な場では素を出さない。

吉右衛門さんの笑顔、鬼平の背中が
大人の佇まいを教えてくれる。
大人の大きさを。

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