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さよなら、ほんとにさよなら

「さよなら、本当に、さよなら。
許されるのなら、この心に
貴方のほほえみ消さないまま」

さよなら、最後のさよなら
涙にはしない願いを込めて
貴方のほほえみ消さない」

安全地帯「ほほえみ」

小学生の頃だった。
人はいつか死ぬから、
大好きな父もいつの日か
死んでしまうことを考えると
辛くて苦しくて、
泣いて悶々とした日々が続いていた。

そんな夜、それを見かねた父が言った。
「つまんないこと考えないで
町内を全力でマラソンしてきなさい!」

僕は夜の公園を走った。
がむしゃらに。
それで救われた。

その十数年後、成人してから
僕は安全地帯の「ほほえみ」
という曲を知った。

♫「さよなら、本当に、さよなら。
許されるのなら、この心に
貴方のほほえみ消さないまま。」

さよなら、最後のさよなら
涙にはしない願いを込めて
貴方のほほえみ消さない」♪

安全地帯「ほほえみ」

もう二度と会えない、あの人への詩。
恋愛の歌ではあるが、
僕は成人してからは
大きな失恋をしていないので、
別れがどうしても辛い対象として
父を思う。

この曲を聴くといつも、
父がいつか死んでしまうと悩んだ、
あの遠い日々を思い出す。

父は17年前に亡くなった。
直腸がんや大腸がんの手術を受け
最後は腰が辛いといって
何日間も苦しんでいた。
そして、僕が41歳のとき、
父は75歳で長き闘病生活を終えた。

あの日、父が病院で息を引き取ったとき、
僕は
「お疲れさまでした。
父さん、やっと楽になれたね。
本当にお疲れさまでした」と、
声をかけた。

「父さん、死なないで、
お願いだから、死なないで」
ではなく、号泣もしなかった。

玉置さんが作ったこの曲は
親子愛の歌ではないけど
最後の歌詞も沁みわたる。

♫「いつでも、この空に2人、
包まれているさ離れていても
貴方のほほえみ、忘れない」♪

こんな歳になって恥ずかしながら、
父さんは空の上から
見ていてくれる、と思う。

父との惜別から17年を経ても今でも 
この曲は、そう思わせてくれる。

安全地帯ソングスで我がベスト1。
こんなにも心にくる歌を他に僕は知らない。

聴くだけで会える。
心のなかでいつも。

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