見出し画像

ジャガイモの熱量、「コロッケの青春」

コンビニのレジ横、
保温ケースに並べられた
揚げ物や肉まんなどが
恋しくなる季節。

僕はわりと頻繁にコロッケを買う。
コンビニコロッケは、実は物凄く美味い。
分けてファミマの「ファミコロ」は
塩分が丁度良く、香ばしくて最高。
セブンイレブンのコロッケも、
ジャガイモの個性、旨味を
これでもかと主張、その納得感に満ちる。
当然に、絶対に、
ソースや醤油をかけずに食すのが
礼儀のような気さえしてくる。

コンビニから急ぎ帰って直ぐに、
皿に乗せてレンジでチン。
僕は香ばしさを残したいので
ラップはしない。

30秒で取り出したコロッケの皿。
本体、コロモから湯気が立っていない。
しかし、油断して、がぶりと噛めば
大きな後悔が待ち受けている。
口の中が火傷する位、
中身は熱をもっているのだ。

コロッケのコロモは侮れない。
何かを秘めたような
だんまりを決めこむ風情、
冷静沈着、泰然自若な存在。

でも中身は、マグマだ。グツグツと。
この情熱とも言える脈動感は何だ。
でも、その代表選手は
カニクリームコロッケだろう。
子どもの頃、何度痛い目にあったことか。
その名を聞くだけで、今でも身構える。
でも僕は気取りのない、
コンビニコロッケのほうが好きだ。

気取りのないと言えば、
僕はハンバーグより断然コロッケ派。
特段派閥を作りたくはないが
コロッケには僕なりの郷愁が宿る。

小学校低学年の頃、
帰り道に、肉屋さんで
10円コロッケを1枚買って、
持ち手部分に
薄い油取り紙(スリーブ)を着けて、
歩きながら食べたものだ。

肉屋さんなのに、
挽き肉など微塵も入っていない、
ジャガイモ100%の
それはそれである意味立派な、
純正イモコロ。10円なので納得だ。

コロッケなら、今でも
毎日食べても飽きない。
なんて安上がりな男。
やはり派閥を組成すべきか…。

口数の少ない静かで朴訥そうなやつ。
だけど実は物凄く熱く、何か秘めている。
今度、そんな人に出会ったら、
「君、コロッケの青春だね」
と言うつもりでいる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?