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それなりに淡々と、という生き方〜手帳の佇まい(14)

今の状態を当たり前と思ってしまうと
何らかのマイナスの変化があった場合、
人は嘆き、不安になる。
その愁いは当然の反応であるし、
僕もそうだ。人は弱い。
未経験のことに、たじろぐ。

先月の朝日新聞に、
建築家安藤忠雄さん(80)の言葉がある。
その語りを拝読していると、
今の自分がどれだけ恵まれているかと、
心底、感謝で満ちる。
そして、今後どんな変化が訪れようと
それなりに生きていく覚悟が
少しずつ定まってくる。

安藤さんは2度の手術で5臓を全摘出した。
胆嚢、胆管、十二指腸、膵臓、脾臓。
この状態でこの8年、
毎月の検査や処置だの面倒にも対応、
生きていることに感謝し、
医者の言いつけを守り、
諸々注意深く、1日1万歩、昼食1時間、
そして全力で仕事をしている。 

手帳遣いの達人でもある。
生き抜く軌跡が
ページにぎっしりと
刻まれているのだろう。

建築の仕事を通じて社会と繋がる。
これが安藤さんの希望であり生きる誇り。
手帳の紙面は光に満ちる。

今後どんな変化があっても
こういう覚悟と度胸が必要だと知る。
今あるものを当たり前と思うべからず。
今あるものに感謝を尽くすべし。

この姿勢は仕事についても当てはまる。
日頃の努力を怠らず懸命に臨んでも
何かを失う状態になるのなら、
それを全て受け入れる。

ないならないなりに、その範囲で
最善を尽くすしかない。
ひたすらに目の前の事、
一つひとつに気を注いでいく。

不安もざらつきも、モヤモヤも
全て手帳に書き込む。
言語化してその正体を
明らかにしていく。
それは思考の解明でありながら、 
その実、心の作業でもある。

そこから新たな知恵や能力、
打開のヒント、成長に繋がること、
周囲の目の変化も期して。

この記事の大見出しは
「5臓がないなら、ないように生きる」
僕の宝物だ。


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