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まぁええか理論(初期仏教)

 僕は一応宗教学を専攻していることになっています。ですが、あんまり勉強する気も起きず、ぽけーっと授業うけたり(正直な話、授業もかなりさぼりました)、レポート提出2日前から文献読み始めたり、まぁそんな感じで堕落した大学生活を送りました。

 しかしながら、一応宗教学徒の端くれではあるので、今日も宗教について書いてみようと思います。うちの専攻では特定の宗教に限らず学ぶことができます。というのも、例えば仏教であればインド哲学科(略してイン哲)、イスラム教であればイスラム専攻が存在するので、一つを極めたいのならば、そちらに行けばよろしいからです。ただしキリスト教を専攻するところはたぶんないので、そのような方は宗教学研究室に入ることになるんでしょうね。それは宗教学が西洋ではじまったからなのでしょうか。あと神道もないですね。たしか戦前にはあったけど、戦争の終了により消えたとかそんなこと聞いた気がしないでもありません。

 自分はキリスト教には興味があまり持てず、聖書も出エジプト記あたりでぽいっとしてしまいました(キリスト教知るなら新訳聖書まで読まんといかんので、かなーり面倒ですね)。なのでイスラム教と仏教の授業をとることが多かったです。今日は仏教について取り上げようと思います。

 仏陀本人の語った教えを初期仏教と言います。日本では大乗仏教が盛んですが、大乗仏典は実は仏陀本人が語った教えとは異なる、というのが現在の通説だろうと思います。ですので、一般の人が抱く仏教のイメージと初期仏教とは異なる部分があるかと思います。
 僕が理解するところによると、初期仏教の教えはわりとシンプルなのかな、とおもいます。仏陀はこの世を生きる中で「苦」に気づきました。有名なのは四苦八苦です。四苦とは、生病老死を指します。病老死が苦しみであることに異論はないのですが、生をも苦しみととらえるのは斬新ですね。反出生主義が最近のブームみたいですが、仏陀はブームを二千年前から先取りしてたといえるかもしれません。また八苦とは、今の四苦に、
愛別離苦(あいべつりく)親・兄弟・妻子など愛する者と生別・死別する苦しみ。愛する者と別離すること
怨憎会苦(おんぞうえく)怨み憎んでいる者に会う苦しみ
求不得苦(ぐふとくく)求める物がおもうように得られない苦しみ。
五蘊盛苦(ごうんじょうく)五蘊(人間の肉体と精神)が思うがままにならない苦しみ
を加えたものです。
 僕が超絶ぎゅっとまとめると、仏陀は「この世って思い通りにいかんね」ってことに気づいたんだと思います。病気にかかりたくない、老いたくない、死にたくないのにいずれ病気して老いて死ぬし。好きな人は去り、嫌いな人がこの世に存在するし、ほしいものは手に入らんし。余談ですが、仏陀は王子様だったのでほしいものは手に入ったんじゃないでしょうか。知らんけど。仏陀はこれに気づいて「人生やってらんねぇや…出家しよ…」と決意し修行を始めます。
 その後、なんやかんやあり仏陀は次のことに気づきました。思い悩むのをやめたいのに、思い通りにいかない世界が存在するんだったら、内面を変えるほかないじゃん、と。お坊さんが言ってそうな言葉を借りれば、「ありのまま」を受け入れるという精神を形成すればいいのでは、と。ここで出てくるのが、「まぁええか」です。
 大学に落ちてしまっても、長ーい目でみれば一年のロスにすぎないので「まぁええか」と受け流す。こんな感じでしょうか。これを死ぬ瞬間まで続ければ、思い悩んで苦しむことはたしかになくなりそうです。
 しかしながら、人間そんな簡単に苦しみをムーディ勝山のように右から左へ受け流すことなんてできないと思います。このため、仏教では修行を通じてこの世の無意味さを悟ることが求められるのです。この世の価値を低くすれば、この世で起こる事象に対する精神の働きも小さくなり受け流せるということでしょう。じゃあ本当に修行すればこの世の価値を低くとらえることができるんですか、という問いについては僕は修行していないので知らないです。仏教を実践するというのも、これまためんどくさい話でして、悟りを得た師匠を見つけ(まず悟りを得てない者が悟りを得たものを見つけられないのではという疑問)、何年も、もしかすれば何十年も座禅したり、経典読んだりしてやっと悟れるかもしれない、という気が遠くなるような、可能なんかこれ?みたいなプロセスを経てやっと悟れるものです。僕はそこまで思い悩んでないので今のところやる気がないです。ごめんなさいm(__)m

 ただ修行して悟る、というレベルに達せずともこの仏教の考えは、思い悩んでいる人を救う手段になりうるのではないかと考えています。ただし副作用として、「まぁええか」を貫き通すと僕のように無気力人間が完成してしまうので、ほどほどに。

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