生きる表現
表現とは何なのか?
人は、産まれると共に泣き始める。
それは、何かを伝える原始の表現。
或いは、生まれる苦しみからの解放。
この刹那の咆哮は、
やがて感情への萌芽へと変遷する。
自己を吐露するその感情の熱量が、
他者の存在の出現によって、
爆発的二次曲線に膨張する。
そこには、喜怒哀楽あらゆる相剋する
渦巻く感情が永遠を刻み、
絶えず軋むその音は血潮となって流れていく。
その一音、一音が人間の表現となり、
その膨大な音の積み重ねはやがて、
温度となり、湿度となり、季節となり、
場所となり、時代となる。
天に向かって登り続ける山びとが、
自身の吐息が発した木霊に、
旅の終焉を悟る様に
その力弱い表現の静寂でその旅は終わる。
人は初めから終わりまで、
表現の爆発に産まれ、表現の静寂に没する。
それが何なのか、そして何だったのか
思考し、夢想し、苦慮し、或いは諦念し。
表現とは、生きる事その物。
やがて、そう思える最期が有るなら、
生きる意味は有るのか。
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