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身体のことだけを考えた食事は、本当に健康になるのか

こんばんは。
ゆっくりおいしいねむたいなの左近です。

いつもは、レシピを投稿することが多いですが、今日は食にまつわるコラムです。

大学生の頃に受講していた<健康学>という「自分の健康とどのように向き合うか」が主軸の講義なのですが、その教授が、講義の余談でこのような話をしていました。

「栄養を補うサプリメントってありますよね?
ビタミン、カルシウム、鉄、亜鉛、ミネラルなど、人間が生きていくために必要な栄養素を簡単に摂取することができます。
昔、自分の身体を実験台にして<サプリメントや点滴のみで栄養やエネルギーを摂取しても生きていけるのか>という研究をした人がいました。

1日に必要な栄養をきっちりと毎日摂取して数年実験した結果、どうなったと思いますか?
なんと、一定の期間を過ぎると歯が抜け落ち始めたそうです。歯を使わなくなったことが原因とされています。


摂取した栄養素だけを考えると健康的なものかもしれませんが、身体の変化と食事全体から得られるものを考えると果たして健康的と言えるのでしょうか。


この話題は、あくまでも余談で講義の中で重要な話ではなかったと思います。
しかし、10年経った今でも記憶に残っているほど私にとっては印象的でした。私が印象に残ったのは、「歯は使わないと抜け落ちること」ではなく「摂取するものだけが健康に繋がるのか」という問いです。
その問いに対して、私の中では答えがあります。


「健康」とは身体だけではなく心の状態も含まれるため、摂取するものだけが健康に繋がるとは言えない


「健康」と聞くと、主に「風邪をひいていない状態」「怪我をしていない状態」といった身体の健康をイメージしますが、心と身体の繋がりを考えると「心が健やかである状態」も言葉の意味に含まれていると思います。

先ほどのサプリメントのみの食事を例にすると、食べることが好きな私にとって、そのような食事は精神的苦痛でしかありません。肉や魚、新鮮な野菜を食べたいと思いますし、味のない、食べた気のしない食事だと疲れた状態を癒すこともできず、元気もやる気もでません。英気を養うことができなければ、身体の健康にも支障がでてしまいます。そのような状況で「私は健康だ」と言えるのでしょうか。

サプリメントのみの食事は非現実的なので、より現実的な例えで考えてみましょう。仮にカロリー制限をしているとして、夜に脂身の少ない鶏肉と野菜を食べようとした時に、

<A>
コンビニで買ったサラダチキンと、キャベツの千切りサラダを袋のまま食べる
<B>
冷蔵庫にあった鶏むね肉とキャベツを切って、レンジで蒸し、味付けをして食べる

といった選択肢があったとします。
この<A><B>は、添加物のことは抜きにすると、食べている食材は同じです。
ただ、食べ終わったあとの満足感、鶏肉の美味しさ、準備や片付けの面倒具合、安さなど、さまざまな比較ポイントがあります。
その比較ポイントを踏まえた上で、みなさんはどちらを選びますか?

私の場合は、<B>の方が温かいご飯で食べ終わったあとの満足感があるので、<B>を選びます。きっと、人によっては<B>は手間がかかり、<A>の方が簡単で洗い物もないから良いと言う方もいっらっしゃると思います。私は<B>を選びましたが、惣菜やコンビニ飯、冷凍食品、インスタントが悪いものだと思っていません。

<A><B>のような選択肢があった時に今の自分にとってどのような食事がストレスがなくて心も満たされるのかを考え、何を食べるかを決めることが重要なのです。

「今日は何もしたくない」と思うほど疲れた時に、無理をしてごはんを1から作ろうとすると、ごはんを食べて元気になるどころか、かえってさらに疲れてしまいます。身体だけのことを考えると、ごはんを自分で作る方が良いかもしれませんが、心の余裕を考えると負荷をかけることになります。そのような場合は、自分の心の余裕を考えて惣菜などの出来合いのものを使い、手間をかけない方が相対的にみると健康的な食事だと思います。

そして、心が満たされる食事は食べ方だけではなく、自分の欲求を満たせるか、1人で食べるか、誰かと食べるか、どこで食べるかにも左右されます。先ほどは、わかりやすく<A><B>の2択にしましたが、外食や作り置き、デリバリーなど実際の選択肢はたくさんあります。スーパーで買った惣菜でも、そのまま食べる場合と、少し調理を加えたり、お皿に盛りつけたり、温める場合では得られる体験は異なります。

「お腹が減ったから何か食べよう」と思った時に、我慢をし過ぎたり、なんとなく食事をするのではなく、まずは「心も満たされる食事」「自分の心の余裕」を考え、身体だけではなく、心の健康のバランスも意識することが、本当の健康に繋がるのではないでしょうか。

ただ、心の健康と言いながら行きすぎた食欲を満たすことは健康ではありません。
それは、心の健康ではなく「食への依存」になってしまいます。「何事も依存は良くないぞ」と自分に言い聞かせながらも、私は晩ご飯のあとにアイスを食べるかどうか悩んでいます。

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