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DJブース構築 2:DJブースを作る(オーダー)

さて、前回の記事で大体DJ機材そのものは選定ができました。
次に、それを配置するDJブースについて検討を行います。
我が家の場合、東南アジア在住につきオーダー家具が非常に安く作れるためオーダーをすることにしました。(確か当時のレートで4万円くらいで作れました)

現在のDJブース全景

ブースを成り立たせる機材は他にもケーブル・電源・アンプ・スピーカー・スピーカープロセッサーなどがありますがそのへんは音の好みのさが大きく私もまだ道半ば。という状況のため次回以降においておきます。

横幅と奥行きの計算と好みの配置

まずDJブースを作るには機材がおける横幅と奥行きについて考える必要があります。
下に代表的な機材の横幅x奥行きを書いてみました。要するにCD2台、ターンテーブル2台、ミキサーがおける横幅で一番奥行きが大きい機材を置いて多少余裕がある程度の奥行きを確保できればよいわけです。

この後、度重なる機材アップグレードが起きます
  • CDJ(例:CDJ-3000):W 329 mm x D 118 mm

  • ターンテーブル(例:SL-1200MK3D):W 453 mm x D 353 mm

  • ミキサー(例:DJM-A9):407.4 mm x 107.9 mm

ここで問題になるのがターンテーブルの置き方には宗派が存在する。という点です。
まぁ宗派というかスクラッチなどをする場合、通常の場所にアームがあると触れてしまい音を飛ばしてしまうリスクがあるためターンテーブルを縦に置くことがあります。
また、DJブースは想像よりも遥かに横幅をとるため横幅の節約としてターンテーブルを縦に置く文化があるのです。
この場合は横幅よりも奥行き側に気を使う必要があり、最低でも46cmの奥行きを確保する必要があります。実は今のDJブースを作る前、簡易DJブース時代は幅を取りすぎるため私も縦置きでした。
とりあえずここではオーディオ趣味の一環としてのDJブース構築ですからやはりターンテーブルは正位置で置き、ピッチコントロールが扱いやすいようにする前提とします。
また、「今の機材」に合わせてきっちり作ってしまうと、将来機材の入れ替えをしたときにスペースが足りない。ということにも陥ります(私も2chミキサーから4chロータリーにしたので横幅がギリギリでした)
そのため横幅も上記で測った横幅よりも多めに余裕を持っておいたほうが間違いはありません。

このように色々考えると上記例に上げたスタンダードな機材を正位置で横に並べた場合、最低でもCDJ(329x2)+ターンテーブル(453x2)+ミキサー(408)=1,972mm 機材間のスペースや余裕のある横幅。なんて考えるとたいてい2mを大きく超えてきます。Ureiのような1u対応のミキサーなんて配置するととんでもない大きさになってしまうのです。

エフェクターの設置なども考えて板で2段目を作成

そのため、家や設置予定のスペースをもとに検討して2段にしてCDJを浮かす・ミキサーを手前側にマウントするような形にする。
などのデザインが必要になってきます。
我が家はCDJ3000ではなくXDJ700のため少し横幅が小さくギリギリ収まるサイズで1,900mmで作りましたがあまりに横幅の余裕がなく他の物が全くおけないので後に改造してCDJを置く台を自作して2段式に変更しました。
安心と実績のKIKUTANIが販売する頑丈なCDJスタンドもありますのでそういったものを利用してスペースを確保するのも一つの手段だと思います。
あまり揺れない台であることをおすすめします。そこそこ高いCDJをグラグラの台に置くのは精神衛生上良くないですし、そもそもボタンを押したりスライダーをグリグリしたりするのでイライラします。

DJブースの高さはどれくらいが適切なのか?

当初使っていた簡易ブース(人物は友人)

諸説ありますが、まず「利用者の身長による」という前提があります。
しかし、通常のダイニングテーブルや勉強机などで一般的な700〜750mmだと一般的な男性である160cm台後半以降の身長の人にとっては現実的に低すぎてかがんでDJをすることになります。2時間〜4時間ほどいじっているとあっという間に腰が砕けて死に至ります。
高ければ足場を置けば調整できますが、低いのを無理やりかさ増しすると方法によっては安定感がなくなりターンテーブルの設置に制限がでたりしてしまいます。
そのため、多少高めな方に合わせるとよいでしょう。
私は天面まで90cm強としましたが、172cm程度の私にとってはちょうどよいです。
現在ターンテーブルをコンクリの板の上に乗せるようにしようかと検討しているのでその場合は5cmほど高くなる予定ですが特に操作には問題なさそうです。
私も設計時に色々と調べたり周りに聞いてみたりしましたが、おしなべて90~95cmくらいが標準的なようです。

アパート時代、横幅節約のためターンテーブル縦置きなのが不満でした

しかし横幅2m、高さ90cmの机というのは既製品ではほとんどありません。
多くの人の家庭内DJブースではスチールラックやカラーボックスなどの棚を積んで利用している人が多いかと思います。奥行きも案外460mm以上でたわまない・揺れない頑丈なものとなると選択肢がかなり限られてきます。
そのためオーダーして作る、もしくはDIYで作るということにモチベーションが出てきます。

デザインと意匠

DJブースのもとになったデザインのダイニングテーブル

次に見た目、オーディオは見た目が8割です。
オーダー、もしくはDIYで作るとなると、やはり基本的には木材で作ることが多くなると思います。
木材と鉄などの角パイプを組み合わせて強度を出す事が多いようには思いますが、私の場合は住んでいるエリアと自分の好みによりかなり厚めの木の板を組み合わせて工場に発注をかけました。(私が住んでいるところでは既成品よりもオーダーのほうが安いのです)

デザインはインターネットで見つけてきた参考写真と手書きの設計図(といっても簡易的な奥行きと幅、中のシェルフ部分の段数と縦幅など記載した簡易的なもの)を作成し作ってもらうことにしました。
実際は色々と適当に作られてしまい横幅も奥行きもなぜか全体的に小さく、微妙に仕様も違うものが出来上がってきました。(東南アジアあるある)
しかし数ヶ月待っていた上に割と根本的な修正となるので悩み、一応なんとか機材は設置できたことと頑丈さは確かにあったため受け入れることとしました。
意匠デザインに関しては家具なし一軒家に住んでしまったがばっかりに一番最初にオーダーして作ってもらったダイニングテーブルのデザインが気に入っていたためそれに習うように写真を送ってこちらも適用してもらうようにしました。正直もっとニュートラルなデザイン、シンプルにしておけばよかったかな、とたまに思います。

これは5年ほど前にお願いしていたためこのような参考資料を手書きやネットで拾った写真をもとにバラバラと用意する形になりましたが、今であればBlendarなどを利用して簡易的な3Dモデルを作成してお願いしたほうが間違いがないかもしれません。

中にレコードが入るようになっています(多分1,000枚近くはいる)

また、私はせっかく下に2000mm x 900mm近いスペースがあるのでレコードや小物なんかを2段x3列ので収納できるようにシェルフにしました。
これによって縦に2つの板がはいるため強度も増すことができます。
レコードを入れる場合、12インチレコードのジャケットの大きさが300mm程度ですので取り出せる余裕を考えると最低でも350mmほどあればよいです。
板自体の厚みを考えても900mmのたかさの2段シェルフになるため自然と400mm弱の高さと400mm以上の奥行きが確保でき、レコード収納としても問題がありません。(また、副作用としてレコードをいれることで重さが出て重心が下るためブースが安定します)

強度と振動対策

工場での作成中の様子

こだわる方はアンプや電源、下手したらケーブルまでも振動対策をするのですがここではそこまでの狂信者は少数派としてまず原理的に振動に弱く徹底した水平の管理が必要なターンテーブルを中心に考えます。
上記の機材全部が乗ると40kgを超えたりします。ミキサーの種類によってはもっと行くでしょう。
そのため薄い板で組んでしまうとあっという間に歪んでしまい水平が取りづらくなってしまいます。
全体を分厚い板や角材作ったり、もしくは軽量パイプなどで天板の補強が必須になります。また、揺れ・振動もレコードの大敵です。
私は40~50mmの厚みの合板と一枚板を組み合わせて作ってもらいましたが今のところ水平はきっちりと出せていますし揺らそうと思ってもほとんど揺れない程度には頑丈です。
前章でお話したように中の棚部分に縦の仕切りが入ったことで支えとなり、より強度をだすことができているでしょう。

ブース自体でできる振動対策はその程度で、徹底的に水平だけは確保して頑丈さが確保できていればターンテーブルの下にコンクリ板を敷いたりしても揺れたり歪んだりすることはありませんので、頑丈であればあるほど安心です。
また、揺れ対策には重さも重要ですので素材についてはぜひ吟味してください。

配線への対応

当初予定していたケーブル用隙間の参考写真

私は注文時に上記の写真のように奥に少し隙間を開ける設計をしたつもりだったのですがびっくりするほど無視されたまま完成してしまいました。
まぁこのデザインで適当な作りだと強度は落ちそうだとは思います…

隙間が難しい場合はターンテーブルの脚の位置などに気をつけたうえで、天板に穴を開けるのが一番邪魔にならないかと思います。
私の場合はぶあつすぎて自分で穴があけられていないので現在は諦めて横から垂らしてしまっていますが、これはいつかちゃんと穴をあけてブースの中にケーブルを隠したいと考えています。
また、電源ケーブルとオーディオケーブルがどうしても重なってしまうのがシールド線を使っているとはいえ精神衛生上よくないので電源ケーブルとオーディオケーブルのルートを分けられるようにするとよりよいと思います。

モニタースピーカーをDJブースの上に置くのか?問題

モニターは以前スタジオ側で使っていたNeumannです

さてスピーカーの設置について、家のどこに設置するのかによってモニタースピーカーが必要になったり、むしろモニタースピーカーだけを設置するようなことがあると思います。
その際の設置場所としてDJブースのうえにモニタースピーカーを直接、もしくはパイプなどで少し浮かして置いているのを見ることがあると思います。
というかインターネットで参考資料を調べようとすると家庭用DJブースの多くはDJブースにスピーカーを置いています。

これはCDJだけのブースだけであれば問題ありませんが、ターンテーブルを置く場合はスピーカーの振動がレコードに伝わってしまうため全くよく有りません。レコードプレイヤーの設置について舐めてるのかと思います。
見た目やスペースの問題としてはブースとはべつにスピーカースタンドを置く必要がでてきて煩わしいのですが、やはりオーディオ趣味の延長としてのDJブースとしてはこの振動・フィードバックは許容できません。

そのため、我が家ではモニタースピーカーをブースの上やくっついた状態ではなく別でスタンドを立てて置きブースと直接触れないようにしています。
正直見た目上も良くないですし導線上も邪魔なので、将来的には天井から吊り下げたいと考えています。

自宅DJブースでそこまでの音量が出せる環境は珍しく、メインスピーカーとモニタースピーカーの両方を置くのは多くのケースではないかもしれませんが… やはりメインスピーカーとモニタースピーカーを分けたほうが後での音響調整が必要になるのとマジのDJブース感が増し調整変数が増えて弄りがあります。
どちらにせよメインスピーカーをどの位置に置くか、というのに合わせて部屋全体の音響とDJブース内のモニター環境を考えてモニタースピーカーの設置自体の検討が必要です。
DJブース内で気持ちよく音が聴けなければ、よいDJはできません。

ブースのモニター音響の考え方には諸説あり、ブース内のモニターではなくフロアの音をちゃんと聴いてDJすべきである。という考え方があります。
少なくともフロア側に出る音と、ブース内の音がかけ離れてしまっているとDJだけ気持ちいい環境になってしまう可能性がグッと上がってきてしまうのでブース内で気持ちよく音が聴けることを最重要事項としつつも、フロア側に出る音となるべく音の傾向(各音域の量感)が同じくらいになるように位置や数、設定を調整することが大事です。
たまにやたら低音が出すぎてて何も聞こえない安っぽいクラブイベントがありますが、原因としてはブース内では低音がろくに聞こえずDJが無駄に低音をブーストしちゃってる。なんてこともあったり逆もまた然りなのです。

ガレージ全景

上記のような検討を経て我が家のDJブースは(一旦)完成しました。
といってもブースができてから機材の入れ替えなども発生しているため
CDJ用の2段目をDIYで増設したり、ミキサーの操作性を上げるためにスタンドのようなものを作ってもらって角度をつけてみたり。
今でもあれしたいなこれしたいな。と改造しながら利用しています。
一番大事なのはそういった改造やレイアウト変更に柔軟に対応できるようなデザインにすることなのかもしれません。
また、頑丈ででかいためシンプルにとんでもなく重く、もはや一人で動かすことはできませんので模様替えをするには人を呼ぶ必要があります。

次回はDJ機器そのもの以外の音響機器及びケーブルなどについて書こうおと思います。

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