1820ページある「英英辞典」を読み切った先に見える景色とは
長すぎて永遠辞典かと思った。
世界No.1ラッパーのエミネムが毎晩辞書を読んで単語力を鍛えていたという話に感動して、読み始めたら、読破にかかった時間、
なんと2年。
こちらが、読み終わった辞書の動画。
1分でまとめました。さすがに2000ページ近くある辞書を1枚1枚映すわけにはいかないので...
結論から言うと、3つの理由から読んで良かったと思う。
[理由1]:新しい単語が覚えやすくなった。
[理由2]:語感が磨かれた
[理由3]:英語でのコミュニケーションの深さが磨かれた
[まとめ]:なぜ彼がNo.1ラッパーなのか分かった
1つずつ解説していますね。
理由1.新しい単語が覚えやすくなった。
新しい単語を見ても、「どこかで見たな」という感覚が常にあるから、頭の中に入って来やすくなりました。これは、単語学習の表の世界の設定と、裏設定を比べてみると分かりやすいです。
[表設定]:単語は詰め込むべし
[裏設定]:単語は、友達を作る時のように、覚えるべし
そうです。英単語は、「友達を作る感覚で覚える」というのが、世の語学のプロたちの考え方なのです。
最も重要な部分をお話すると、
初めて会う人よりも、2回目に会う人のほうが、仲良くなりやすい
という友達作りの心理学を、単語学習に活かすということなのです。つまり、辞書ですべての単語に目を通しておくことで、まず最初の1回めの出会いをしておくのです。それなら、次その単語に出会ったときでも、「君、どこかで見たよね?」と、その単語に親しみを感じられるので、覚えやすくなるのです。
非常に良い例があります。
どこかで会ったけど、以前いつ会ったかは覚えていない人と、鉢合わせになったことはありませんか?お互いに、「前会った気がするけど、いつだったっけ...」から会話をはじめて、色々思い起こしていく内に、記憶がつながり、「ああ、あの時に会ったんだね!」と。こんな場合、「あれから元気にしていた?」など、話が始まるのです。そしてスグに仲良くなれるのです。
逆に、初めて会う人には、「あれから元気にしていた?」という会話は発生しませんよね。
だから、
初めて見る単語よりも、2回目に見る単語のほうが、覚えやすい
という現象が起きるのです。
「ふーん、言われてみればそうだなぁ」
と思いませんか?
ならば
その感覚を、科学で証明してみましょう。
実は、この感覚のことは
「ザイオンス効果」
と呼ばれています。会った回数分だけ、親近感を感じてしまうことを指します。ゆえに、別名「単純接触効果」とも呼ばれています。単純に、会えば会うほど仲良くなれるので、「マメな人ほど持てやすい」と言われる理由がこれにあたります。
次の章までは、ザイオンス効果の実験について話すので、もう十分納得したという人は読み飛ばしてくださっても構いませんが、「辞書読み」と「恋愛学」の共通点についてもう少し知りたい人は、ぜひ読んでみてください。
これは、ポーランド生まれの心理学者ザイオンスのおこなった実験です。
卒アルの中から12人の写真をランダムに選び、1枚1枚被験者に見せる実験をしました。各写真を見せる回数に、1回~25回と、バラツキを持たせたのがミソです。全ての写真を見せ終わったあとに、12人の写真を同時に見せて、誰が一番好印象だったかを質問しました。
皆さんの予想通り、多くの被験者は
25回見せられた写真の人物を
一番好印象だったと答えたのです。
つまり、対象が単語であろうが、人間であろうが、より多くの回数会ったモノに対して人間は親近感を感じるようにできているのです。
この人間の性質をちゃんと把握して語学学習に活かしている人たちと、そうでない人たちの間には圧倒的な差が生まれてくるのです。
エミネムは、辞書を読んで単語と一度友達になっていました。しかも親友レベルで。それゆえに、聞く人を世界一魅了させるラップを歌えるようになったのです。
【ミニまとめ】
会った回数分だけ、親近感を感じる。
だから、辞書を読んで1回めの出会いを済ませておくと、
次会った時に、スグ覚えてしまう。
理由2:語感が磨かれた
こちらは最初の理由に比べたら、恩恵があまり大きくないのでサッと流しますね。「語感」には色々な捉え方がありますが、ここで私が言う語感とは
単語を見て
意味の予想ができるようになる感覚
のこととします。
辞書では、似たようなスペルから始まる単語が一覧になって並んでいます。ですから、一覧形式で読んでいくことで、このスペルの塊には、こんな意味があるんだな、というデータが頭の中に溜まっていくのです。
これがある程度の大きさになってくると、出会ったことがない単語に出会ってもある程度の精度で意味を予測することできるのです。
こうすることで、いちいち辞書を引くという「話の流れを妨害する時間」が入らないで、本も映画の字幕も楽しめるようになるのです。
【ミニまとめ】
スペルの塊にパターンが見えてくる。
だから初めての単語を見ても、意味の予想ができるようになる。
理由3:英語でのコミュニケーションの深さが磨かれた
ずばり、表現の幅が増えたからです。自分を発信する表現のレパートリーも増えたので、より的確に自信を表現できるようになりました。また、相手が使っている表現の微妙な違いも把握できるようになったので、より深いレベルで相手を理解できるようになりました。
言い換えると、
辞書読みは、読解力と発信力の幅と深さを増やしてくれるのです。
自分がこんな気持の時
こんな単語を使ったら良いんだなぁ。
相手がこんな気持の時
こんな単語を使うんだなぁ。
これが、分かるようになるのです。だから、英語でのコミュニケーションの深さが磨かれる、と言えるわけです。
【ミニまとめ】
より多くの単語を知れば、
・より高い解像度で相手の心を理解できる
・より高い解像度で自分を発信できる
[まとめ]:なぜエミネムがNo.1ラッパーなのか分かった
自ら「Rap God (ラップの神)」という曲を作り、歌い上げる、世界No.1ラッパーのエミネムがなぜ凄いのか。
これが、1820ページある辞書という分厚いレンズを通して見えたような気がします。
カッコいいのは、彼の外見ではなく、
彼がNo.1に這い上がる過程で積んできた
気の遠くなるような努力なのです。
底辺から世界一の座に上り詰めるまで、階段をかけた。
でも、その一段一段の厚さが辞書のページ並みの薄さなのです。
それを長い年月を掛けて、登りつめたのが彼の凄さです。
辞書を読むのが大変な理由は
1ページ、1ページが薄くて
何百、何千と積み重なっているからです。
気が遠くなるけど、めげずに、
やりきる精神力を鍛えることができるのです
体の筋肉を鍛えるのが、ダンベルなら
心の筋肉を鍛えるのは、辞書でしょう。
これが、私の出した答えです。
エミネムは辞書を読むことで自身を鍛えた。
同じく、辞書読みによって
私も鍛えられた気がします。
だから、
ディクショナリとは、「人となり」
であると、私は言いたいです。
皆さんが辞書読みに挑戦するには
辞書読みのコツについて、まとめた記事を作成しました。コチラの記事ではまたちょっと違った角度で辞書読みについて見ていきます。実は、辞書読みは、皆さんが思っている以上に「得」なんだ、という点を徹底解説しています。
皆さんが、辞書読みと同じ効果を出すための、1日5分の習慣とは
単語を覚えやすくして、語感を磨いて、英会話の時に表現のレパートリーを増やせるようなNote マガジンを平日毎日更新しています!
エミネム式で、韻を踏んだ文章を毎日4~5個上げています。しかも単語レベルはTOEIC600点辺りという、英語をやり直したい人が真っ先にぶつかる壁の高さにしてあるので、この第一の関門をノリ良く突破できるハズです。
おまけに、インスタグラムの単語クイズと連動しているので、通勤・通学時間にサクッと学習できます。
もう見たと言う方もいるかもいれませんが、
Rap phrase test
と名付けているものです。
名前から見ての通り、エミネムから受けたインスピレーションが元になっています。
彼に憧れ辞書を読み倒し、今度は辞書を単語テストと韻踏み例文という、皆さんが受け取りやすい形で配信する番になりました。
総まとめ
英英辞典を読み切って見えた景色..それは、かのEmimemが見た景色と全く同じかどうかはわからないが、共通する部分もきっとあると思う。英語の深さ、人の深さ、言葉を学ぶことの難しさ、そして喜び、色々見えました。
総合的に考えると、本記事で挙げた3つの理由から読んでみてよかったと思います。ただ、辞書を読むよりもっと効率の良い勉強法があるのは間違いないです。自分の辞書読みの経験を、価値として発信するために、Instagram と連携した Rap Phrase Testを始めたので、是非試してみてくださいね。