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[物語のある英語]~第4回~extend an olive branch,オリーブの枝もらったら?

-こんにちは!スロバールです。

言葉は人によって作られた。だからその過程には物語があって味がある。
単語帳では語られない物語を味わって味わい尽くそうというのが本シリーズの目当てです。

第4回目は「extend an olive branch」についてです。直訳するとオリーブの枝(olive branch)を伸ばす(extend)、です。木の枝って手で伸ばせるんですか?そして、伸ばしてどうする?不可解なことが多いこの表現の意味は何でしょうか。

◆目次◆

・Extend an olive branch の意味
・関連表現~Extend~
・Extend an olive branchの使い方
・物語~ノアの方舟と聖書~
・関連表現pigeon と doveの違い

やはりこれも木の枝を考えていてもオリーブパスタを思い浮かべていても、元となった話を知らないと意味は分からないのです。

◆Extend an olive branch の意味◆

この表現の意味は「仲直りしよう」という意味です。
意見の相違などで険悪ムードが漂っている時に、片方が歩み寄る時に使う表現です。

あれ、、、全然オリーブ関係ないじゃないか、、

と思われるかもしれませんが、先にExtendの謎の方から解いていきましょう。

実は、ここでのExtendの意味は「伸ばす」ではなく、「差し上げる」という意味なのです。Extendがこの意味で使われる時は大抵かしこまった場合なので馴染みが無いかもしれませんが、「オリーブの枝を伸ばす」ことではなく、「オリーブの枝を差し出す」ことが仲直りに繋がるのだということをここで押さえておきましょう

◆関連表現~Extend~◆

Extendの元々の意味は Ex(外に)+ ラテン語の tendere =(伸ばす、張る)なのですが、ずっと伸ばしていって相手の所に到達する、と考えたら「差し上げる」という意味になるのも納得ですよね。

ここでピンときたあなた!そうです、キャンプ場に設置するテントもこのラテン語から来ているんです。日本語でも「テントを張る」というように、テントは伸ばすものなのですよね。

英語でスピーチする機会はありますか?こんな風にExtendは使えます。
・I’d like to extend a warm welcome to the special guest.
 (ゲストに温かい歓迎を届かせる→ご来賓の方に厚く御礼申し上げる)

ホームステイが終わってお別れの時...なんかにもExtendはピッタリです。
・I’d like to extend my thanks to you for your kindness.
 (貴方にありがとうを届ける→お礼を申し上げたい。)

◆Extend an olive branchの使い方◆

なぜオリーブの枝を差し出すことが仲直りに繋がるかは次のセクションでお話するとして、まずこの表現の使い方を見ていきましょう。

実はこの表現、よくニュースで見ます。新聞で探してみてくださいね!
・Israel extending an olive branch to Syria. (新聞の見出し)
 (イスラエルがシリアに和平交渉を持ちかける。)

もちろん、友達とのゴタゴタにも使えます。
下の文は昨晩ケンカの後、どうやって仲直りしようかな...と考えている人が言いそうな文ですね。
I’ll extend an olive branch to her and send her a box of chocolates.
(昨晩は悪かったから謝りたい、そしてお詫びの印にチョコレートを渡したい。)

それではオリーブの枝の裏側の物語に移るのですが、「オリーブと平和」、何か見覚え・聞き覚えはありませんか?

そう、国連のマークになっているのです。

◆物語~ノアの方舟と聖書~◆

オリーブの枝が平和の象徴になったのは聖書に出てくるノアの方舟の物語に由来します。

地上に人間が誕生して10代目の世代は、初代に比べてだらけ切った生活を送っていました。これを見た神様は怒り、大洪水を起こして人間を滅ぼそうと思いましたが、信仰深くまじめなノアという人は助けてやることにし、ノアの夢の中で「大船を作って洪水を生き延びよ」とお告げを出します。洪水の日までにノアは船を完成させ、船に乗り込んだ人々以外は皆溺れ死にました。

何せ大洪水ですからいつ水が引き地上に下りられるか分かりません。そこで時を見計らって船の中で飼っていたハトを飛ばしたところ、ハトはオリーブの枝を持って帰ってきたのです。これは、近くに植物が生きているだけの陸地がある証拠なので、もうすぐ船から降りても良いということを意味していました。このようにして、

ハトが持ってきたオリーブの枝→神の怒りの大洪水が引いた証→平和

という意味が生まれたのです。

平和の象徴であるハトも、この物語から生まれていたのです。
これでやっと、オリーブの枝を渡すことが歩み寄る・和平交渉するの意味なる謎が解けましたね!

めでたしめでたし!?

◆関連表現pigeonと doveの違い◆

ハト、といえばポケモンでお馴染みのピジョン(pigeon)化粧品でお馴染みのダヴ(dove)がありますが、違いはなんでしょう?

動物学的に見れば、市街地に住み着いているハトは「ドバト」と言い、これはpigeonに当たります。一方で、doveは野生のハトで市街地で見るものよりやや小型で、一番の特徴は真っ白であるという点です。

という情報には面白さのカケラもないのですが、ここからが面白くなります。

市街地のハト(pigeon)は鳥害を起こすので鬱陶しいイメージがつきました。
そのため、pigeonにはちょっと汚らしい意味ですが「売春婦の若い女性」的な意味があります。
隠語のように使われるので恐らく目にする機会はないと思うのですが、その語源はハトの足のように高い靴(ハイヒールなど)を長時間履き続けることから起きる病気だそうです。

一方で、doveは聖書に出てくる方のハトですので汚らしい意味はまったくなく、清廉潔白そのものです。
doveを辞書で引いてみると、純潔で優しい人という意味があるくらいです。

こうして見てみると、ホントに英語圏では聖書の力は大きいのだなぁと実感させられます。

いつも記事を読んでいただきありがとうございます。英語学習に苦しんでいる方、つまらなそうに嫌々語学を学んでいる方が周りに居ましたら、シェアしていただければと思います。楽しく、深く、語学に取り組める人が1人でも増えたら幸いです。