At the drop of a hat =秒で [物語のある英語 Vol. 29]
直訳すると「帽子が落ちる速さで」で、速いのは分かるが、なぜ帽子なのか?今日は「帽子」「コート」「そで」に関する表現を紹介していく。
1.At the drop of a hatは戦闘開始の速さが元
写真の中の男性に注目だ。全員帽子をかぶっている。現代ではただのファッションだがそれ以上の意味が19世紀のアメリカには有った。身体で一番目立つのは、一番高いところだ。そこに被るものはその人のシンボル的なもので、例えば社会的ステータス、その人の生き方、個性、などを表現できる。いわば企業のロゴのようなものだ。
さて、そんな帽子に面白い使い方がある。運動会の「よーい、どん」のピストルのような使い方で、手に持った帽子を落とした瞬間に正式に喧嘩を始めても良い、開戦布告的な使い方だ。アメリカも紳士の国だ。だから憎い相手と喧嘩を始めるときも、最低限のエチケットを守り、不意打ちなど卑怯なことをせず喧嘩を始めるのが流儀だったのだ。
ゆえにat the drop of a hatは「即座に」「秒で」という意味になった。
He's ready to fight at the drop of a hat.
(彼は秒で喧嘩を始められるよう、準備ができている)
現代では喧嘩の枠を超えて使うことができる。
He's willing to organize anything guests want at the drop of a hat.
(彼は秒でゲストが求めているものを提供できる)
喧嘩もフェアに始めたいアメリカ。故に不意打ちを嫌うのだ。その良い例が真珠湾攻撃で、これからアメリカに留学する人は少し調べておいて、上手に受け答えできるようにしておこう。
ここではあまりその内容には触れない。代わりに、喧嘩を始める時発祥の他の英語表現を2つほど紹介していきたい。
2.roll up your sleeves=袖をまくって殴る準備
Rollはめくる、Sleeveは袖。腕っぷしが良い男が袖をまくったら何が始まるのか?殴り合いであろう。ということで、Roll up your sleevesには「腕まくりをる。~のための気合の準備をする」という意味がある。
There's a lot of work to do, so roll up your sleeves and get busy.
(することがたくさんあるから、気合いれとけ。)
なぜ単数形のsleeveではなく、複数形のsleevesなのか?片腕だけめくるよりも、両腕めくったほうがより「やったる感」がするだろう。
We've planned everything – now it's time to roll up our sleeves and get started.
(準備は全てした。あとは気合い入れて、始めるだけだ)
3.Take off your coat=服を脱ぎすて戦闘準備
腕まくりだけでは気合が入らないという方に。上着を脱ぎ捨てることで取り組む覚悟を示すこともできる。基本的に2の文章のroll up your sleevesと入れ替えて使用できる。
英語を学習している皆様、新年の決意は続いているだろうか?もうすぐ新年度なので、今一度roll up your sleevesができますよ!
いつも記事を読んでいただきありがとうございます。英語学習に苦しんでいる方、つまらなそうに嫌々語学を学んでいる方が周りに居ましたら、シェアしていただければと思います。楽しく、深く、語学に取り組める人が1人でも増えたら幸いです。