見出し画像

新入社員が続々と退社!?フォローの仕組みで起きた失敗 Vol.61

前回「経営者としての自分の考えの甘さは組織の人格を未熟のままにさせてしまう」といった内容の記事を書いた。

「組織は社長の器を超えない」こんな言葉を若い頃に聞いた。20年社長をやってきていろんな社長を見てきたけど、生き残れる理由、企業の大きさ、経営層の人材力、組織のカルチャーなど、確かに社長の器を超えないって納得できる年頃に俺はなってきた。

そういう意味では、俺がこうやって偉そうにnoteに書き物しているけど、別に俺が成功していると思っているからではない。自分のいい加減な経験やアホな考え方を見てもらって、皆さんが少しでも考えるきっかけになりさえすればいいと思っているから書いているんだ。
※内緒だけど社長が外部向けにコラム書けや!ごぉら!!的に言われたってのもある・・・💦


今回は新卒を採用した後にうまく行かなかった施策の話をちょっと共有させてください。


フォローの仕組み「ブラシス」の始まり


新人研修を初めて5年ほど経った頃の話だ。

2か月間のプログラミング研修のカリキュラムの改善を繰り返してきて、やっと板についてきた。その研修が終わったら、皆は現場に配属され、それからはOJT(仕事しながら学ぶ)に進んでいくわけだ。

新社会人にとって初めての仕事は、経験したことのないことをたくさん繰り返す、いわば挑戦の連続なんだ。

「次から次へと挑戦を続けるのは精神的にも大変な思いがあるだろう。」そう思った俺はこの子たちをフォローする仕組みが必要に違いないと考えた。

ん?でも、誰に新卒入社の子たちをフォローさせたら良いのか、、、?

悩んだ末に俺は、自分の子供たちが下の子が生まれれるたびに、お兄ちゃんやお姉ちゃんらしく振舞いだす姿を思い出した。 

画像1


入社二年目の社会に慣れ始めた子たちにフォローしてもらおう!って思った。

さすれば2年目の子たちが後輩の世話や指導を通じて、マネージメント、人間関係、先輩としての自覚などを疑似的に学べるし、新卒の子らにはフォロー体制が出来上がり、先輩たちとのつながりもできて一石二~三鳥ぐらいあるな~って考えたわけだ。


ということで、このフォローの仕組みである
ブラザー・シスター制度「ブラシス」
が考案され運用が始まった。
運用され始めて1~2年目は機能しているかのように俺には見えていた。



予期せぬ事件が発生

だけど、ブラシス制度が開始して3年目の時に
新卒入社20人に対して1年未満で7人が退職した事件が起こった。

今まで稀に一年以内で退社されることはあったが、一気に7人も!!!

はぁ!!??

画像2


未経験者を採用して、仕事ができるように教育をかけるコストっていくらだと思ってんだ!!会社として回収するまでに当時は一人当たり1.5年はかかってた。そういう意味では一年以内に7人の退職は大赤字だということだ。


いったい、何が起こったのか!?まったく理解が出来なかった。


異性と付き合い始めて、3~4年もすると慣れ親しんで居心地が良くなる代わりに、刺激がなくなったり、居ることが当然だから感謝もなくなり、マンネリ化してくる。確かにそんな頃合いになれば、「あれ?この人で良かったのか?」って思う気持ちは理解できる。

そういう意味でいうと、この会社に3~4年いたけど、「あれ? この会社でよかったのかな?」って思うのは至極当然のように思えるし、かつエンジニア不足のこの時代にとってエンジニアの価値は高いからスカウトされない訳がない。ある程度かわいい女子が声かけられない訳がないのと同じことだ。

「あれ?この人で良かったのかな?」って思うタイミングで3~4年の経験を積んだ魅力的になりつつあるエンジニアは優しく言い寄られ会社を辞めて行くことは業界あるあるだ。 


だけど、新卒が一年以内に辞める、、、しかも7人も、、、。

さすがに 危機感を覚えた俺は調べに調べた。

退職理由は無論各人から聞いたが、別れる方便そのものだから前にもこのnoteに書いた通り、鵜呑みにする意味のない内容ばかりだ。



失敗から見えたもの

画像3

腑に落ちないままでいたが、結局後になって分かったのがブラシス制度で ついた一つ上の先輩が未熟だったということが分かった。

ブラシス制度自身に納得していなかったし、後輩からの相談は勤務時間外も多かったから、それらの対応に億劫だった。
そんなスタンスが後輩フォローのタイミングで言葉や態度として見え隠れした結果、新入社員たちの期待を将来の不安へと変えたことが大きな原因だった。


一石二~三鳥に思えたブラシス制度であったが、残念ながら投げた石が真っ下に落ちて、自分に当たっただけだった。

原因が分かった俺はほどなくして、このブラシス制度を廃止にした。


一つ上の先輩方が未熟という表現をしたが、本当は組織としてこの子たちの教育不足だったし、それが出来なかった我が社の受け入れる度量の低さに問題があったのは言うまでもない。


とはいえ、毎年新入社員は入社してくる。
未経験の人たちの価値を上げるのは生意気ながら我が社のミッションだ。
だからフォローする仕組みが要らなかったわけではない。

この経験はフォローの仕組みを作り替える必要性に気が付かせてもらうための学びそのものだった。


PS:
トーマス・エジソンの言葉で

「私は失敗したことがない。
 ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。」

ブラシス制度で失敗した当時の俺は
天才発明家のトーマスさんと同じ気分だった(笑)