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37℃の残滓、ポカリの海より告ぐ

ミニアルバム『テレスコープ』が完成した。

今回は、アルバムとして1つのコンセプトを定めて、それに沿って曲を作っていった。そう考えると、一年以上は頭を抱えてきたことになる。

昨日、ついにプレスされた盤が我が家に届いた。ずっと頭の中で作ってきたものが、本当に形になっているではないか。一大事だ。嬉しくて、三上唯さんに描いていただいた幻想的なジャケットや、盤面の質感を指でなぞる。

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そしてふと、達成感よりも確かに大きな喪失感があると気づく。

この一枚のCDに、人として生きる上でだいじな部分を吸いこまれたような感覚がある。言いたいこともやりたいことも全部なくなってしまったのだ。平日の曇天のような名付けがたい気分で過ごしていたら、熱中症になり、仕事を休んだ。

所在なく、生ぬるいポカリに溺れながら、あの望遠鏡が誰かの手に渡ったあとのことを考える。

つらいから、学校をズル休みした。お母さんに嘘をついた。台所から聞こえる水の音はわたしを責め立てているんだと思う。まるで深海のような昼下がりに、布団の潜水艦で聴く音楽。どこまでも逃げるのだ。

たとえば誰かにとって、録音された約25分間の僕の空想が、そんな風になればと思う。37℃、夏の絞りかす。

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P.S.  8/31(土) 『テレスコープ』レコ発企画 “オーガストレール” を開催します。ライブホリックさんと共同で、各地から素晴らしい共演者をお招きしました。

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正直でいたいばかりに、すこしネガティブな文章を書きましたが、この喪失感を夏の終わりに重ねて、誠実に演奏したいと思っています。

また、アルバム発売に先駆けて、初夏と晩夏を題材にした二曲を期間限定で公開しています。


P.S.その2 こまめな水分補給がたいせつ。


「スキ」を押して頂いた方は僕が考えた適当おみくじを引けます。凶はでません。