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食べることは戦い

鬱の人の、食欲がないときなぜかカロリーメイトなら食べられる、というようなツイートを見かけた。具体的にどんなツイートだったかなと思って調べたら、似たようなことを言っている人が何人もいることを知った。とてもよく分かる。わたしも落ち込んでいるときは、おやつのようなものしか食べられない。肉とか魚はまず受け付けない。特に赤身。大豆とか玄米とか滋養になりそうな野菜や穀物も。生野菜や缶詰以外のフルーツさえ辛いときもある。おそらく血や肉になりそうな食べ物が放つ生のエネルギーに、食べる前からすでに負けているのだと思う。何かを食べることは、命を自分のものにすること。それはよく言えば命を頂くことだし、悪く言えば命を奪い取ることでもある。だから、食べることは戦いなんだろうと思う。食べ物と私との。死にたいと思っている人間に、命を奪って自分のものにする、そんなエネルギッシュな行為ができるはずがない。でもカロリーメイトなら、メロンパンなら、インゼリーなら、多分そんな私たちでもギリギリ勝てるんだと思う。それがどのような命だったかぱっと見は分からないから。ソイレントグリーンという怖い映画があるけれど、確かに肉や魚も、あのような見た目になってしまえば、食べられるのかもしれない、あるいは。
具合の悪いときに食事を摂ると、しばらくして気分が悪くなってしまうことがよくある。お腹いっぱい食べることさえできないのか、と思っていつも悲しくなる。なぜだろうと思って調べたら、低血圧の人は食べると急に体に血が巡ることで、そういうことが起きてしまうのだそうだ。食べることは当たり前の行為のようで、それぐらい実は体全体をフル回転させる作業なのだろう。食べることはエネルギーを得ることだと思われているけれど、実はかなりエネルギーを使うことでもある。エネルギーがないから、食べなければいけないのに。これではどうしようもない。だから今日も、カロリーメイトをかじる。

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