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ステロイドの副作用

ステロイドを長期服用する事になるので、ステロイドの副作用についてまとめてみます。

長期連用の弊害

  • ステロイドは強い抗炎症作用と免疫抑制作用をあわせ持つ薬剤

  • このような二つの作用を同時に持つ薬剤はほかには存在しない

  • ステロイドは、糖代謝、脂質代謝、電解質代謝などにも影響を与えるほか、造血系、神経系、循環器系、消化器系、内分泌系、結合組織系などにも広く作用するため、長期連用はさまざまな弊害をもたらすことがある

  • ステロイドはいわば「諸刃の剣」

軽症副作用

  • ステロイドを飲んでいるうちに顔が丸くなってきます。これは満月様顔貌(ムーンフェイス)とも呼ばれるもの。

  • 顔や体は太って丸くなるのに、手足は逆に細くなってしまう(中心性肥満)。

  • にきびが多くなったり、毛が濃くなることも(多毛)。

  • 肥満が急激に起こるために皮下組織が断裂し、下腹部や足などの皮膚にすじが入ってしまうことも(皮膚線条)。

  • 皮膚が薄くなったり、血管壁が弱くなるため、ちょっとしたことで「あざ」ができやすくなる。

重症副作用

感染症

  • ステロイドを使用していると感染が起こりやすくなります。

  • これは、ステロイドが免疫機構で重要な働きをしている多核白血球やリンパ球の機能を低下させるから

  • 前者は細菌感染の防御に重要ですし、後者はウイルス、真菌、結核菌などの感染防御に必要

  • 薬の使用や病気のために免疫力が低下して感染が起こる現象を、日和見感染と呼ぶ

糖尿病

  • ステロイド糖尿病ということばがあるように、ステロイドの服用で糖尿病の発症が誘発されたり、あるいは糖尿病が悪くなることがある

  • これはステロイドが糖代謝に作用するために起こる。したがって、ステロイド服用中には、血糖やヘモグロビンA1C値や尿糖の有無を定期的に調べる必要がある

  • 食事の総カロリー制限が重要。特に糖分の取り過ぎには注意

  • 運動療法と食事療法とは車の両輪のようなもの。食事療法だけでやるのは大変ですが、運動療法を併用することで、カロリー制限が軽くすむことも。

消化性潰瘍

  • ステロイドの連用で、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が出現したり、悪化することがある。

  • ステロイドは胃液を酸性に傾け、消化酵素の量を増加させるとともに、胃粘膜保護作用のあるムチンを減少させる

  • さらにステロイドはプロスタグランジン産生を強く抑えるために、消化性潰瘍ができやすくなる。

  • ステロイドを服用している間に胸焼け、食欲不振、胃痛などが出現した場合には、まず検便をやって潜血反応の有無を確認。もしも潜血反応が陽性の場合には、内視鏡検査を行い、消化性潰瘍がないかどうかを調べる。

骨粗鬆症

  • ステロイドを大量に服用していると、どうしても骨粗鬆症が起こってくる。

  • このため、ステロイドを大量に飲んでいる場合には激しい運動はできませんし、転ばないように注意をすることが大切。


無菌性骨壊死

  • ステロイドを大量に服用している間に股関節が痛くなってきたら、大腿骨頭壊死を疑う必要がある。

  • 大腿骨の頭の部分は丸い形をしており、骨盤の中に入り込んでいます。その部位で大腿骨にかかる全身の重みを受けています。しかし、この部分は栄養を送る血管が少なく、血液がつまるとすぐに栄養不足となって壊死を起こしてしまう

  • 脂質異常症によって血管に脂肪のかたまりがつまりやすくなり、これがステロイドによって起こる無菌性骨壊死の原因と考えられている。

筋萎縮

  • 別名、ステロイドミオパチーと呼ばれている

  • ミオパチーとは筋肉の病気のことです。

  • ステロイドを大量かつ長期に服用していると、筋肉が萎縮してきます。特に手足でも体に近い部分に起こりやすいために、立ち上がりにくいなどの症が出る。

  • 入院してステロイドを飲んでいる間でも、ただベッドに寝てばかりいないで、主治医の許可があれば病棟内を散歩することが大切。

  • 筋肉に適度の負荷をかけることで、筋萎縮をある程度予防することができる

精神症状

  • ステロイドの服用量が多いときには、「いらいらする」、「眠れない」などの症状が出ることがある。しかし、これは個人差が大きく、何も症状が出ない人もいる。

  • また、ステロイドを大量に使用しているときには、まれにうつ状態になったり、ごくまれに錯乱状態になることもある。

高血圧

  • ステロイドは体の中に塩分をためる働きがあるために、長期に服用していると高血圧が起こることがある。

  • ステロイドを飲んでいる患者さんは血圧を外来で測定してもらうだけでなく、自宅でもご自分で測定ができるとよい。

  • 血圧が上がる場合には、塩分制限と、場合によっては降圧剤の服用が必要。

  • ステロイド自体に体内にナトリウムを貯留させる作用があります。このため、ステロイドを大量に使用する際には、高血圧がなくても塩分の摂取は控える必要がある。

脂質異常症

  • ステロイド使用中には血清中のコレステロールや中性脂肪が増加しやすくなる。

  • 脂肪肝も起こりやすくなります。このような状況が続くと、動脈硬化が起こり、心筋梗塞、脳梗塞の原因になるので、注意が必要

  • 一般には、禁煙、適度の運動、食事制限が必要

  • 体重は定期的に測定し、太らないように注意

  • 食事では、脂肪、卵類のとり過ぎに注意

  • 肉類よりも魚類、植物性脂肪のほうがよい

  • また、野菜類を多めにとることも大切

  • コーヒーなどには砂糖を入れるのを控えるか、人工甘味料を使ってください。過度の飲酒も控えるべき。

白内障、緑内障

  • 白内障というのは、水晶体というレンズの役目をする部分に濁りを生ずるもの

  • 年を取っても起こりますが、ステロイドの長期連用でも起こることがある

  • 緑内障とは眼の中の圧(眼圧)が上がる状態で、ひどくなると頭痛や吐き気がすることがあり、ステロイド服用中に眼圧が上がって緑内障を起こすことがある。


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