初見RRRの衝撃が凄すぎたので忘れないように感想文を書くことにした(むっちゃネタバレあり)

これは何?

ここ数年やり始めたことではあるのだけれど、なんらかの創作物に初見で衝突したときの衝撃が一定以上の強度だった時に感想文を書くようにしている。あとから見返すとその時の感情が思い出せてフフッてなるので。
で、今日RRRを映画館に観に行ったらその閾値を割とすんなり越える衝撃を受けたので感想文(という名の乱文)を残しておこうと思う。一切推敲せずに勢いで書いているので多分超読みづらい。
ちなみにネタバレ全開なのでまだRRRを観てない人はブラウザバックするか、もしくは今からでも遅くないから映画館に観に行ってほしい。この二つのうちどちらかでもピンと来たら観て絶対後悔しないから。









以下感想文(という名の乱文)

僕がこの映画を観に行ったタイミングは2023年3月30日、RRRがアカデミー歌曲賞を受賞した後のタイミングだったわけだけれども、観賞前にこれを聞いた時「えっ、RRRがアカデミー賞?マジ???」の顔をしていた。
昨今のアカデミー賞、割とこうポリティカルなんちゃらに配慮した作品が受賞する傾向にあったので、事前知識としてダブルバンジージャンプだの肩車最終フォームだの話を仕入れていた身としては結構驚きだった。
でも、冒頭でマッリを半ば強引に人身売買していくシーンで「あ~~~人種差別要素~~~~ポリコレ~~~~~」となり、割と早い段階でアカデミー賞受賞に対する(嫌な)納得をしてしまった。
でもこれが本当に凄いところで、この映画人種差別要素はあくまでラーマとビームの対立構造を描くためのいわば設定というか舞台装置的なものであって、そこには全然主眼を置いてないんですよね。あくまで二人の熱い漢の友情の話。なので全然ポリコレ作品特有の説教臭さとかなくてエンタメとしての面白さが振り切れてる。これはマジですげえなって思った。面白さの前ではポリコレがどうのとかは関係なくなるんやな…。

ジェニーのポジションが絶妙で良かったなぁと思っている。彼女、善性は作中でも屈指だけどビームと会話ができていないあたり「インド人を同じ人間とは認めているけどそれはそれとして現地の言語を学ぶとかそういった努力はしていない」ってことだもんなぁ。善意や優しさだけじゃ人は無力……。でもラーマ救出の時はしっかり手を貸してていいなと思いました。そこは言葉の壁を越えて通じ合えたと思うとまた一段と良さがある。
でも本編終了後のジェニーはどうなったのかな…。大丈夫かな…。最後さも関係者って顔してビームとラーマを出迎えてたけど…。まぁあの話を通して強かさを手に入れてくれていたらきっとどうにかしてくれるでしょう。

これ観終わった直後に我慢できなくて友達に感想をぶちまけてて気付いたんだけど、この映画マジで話の構成がすげえ上手いんですよ。全体で3時間越えとかいう超ボリュームの映画なのに、全然中だるみしない。それでいて観ていて疲れないし、小さい伏線をいくつも張って、それをしっかり回収するタイミングと構成がほんと絶妙(ダブルバンジージャンプの時のハンドサインを彷彿とさせる総督府バイク爆破とか、左手使って食事するビームを見て弟を思い出すラーマとその彼の過去話とか、冒頭での仲良し肩車回想からの終盤の肩車最終フォームとか)。天才か???
なんていうか映像のインパクトの強さが先行しているけどそれだけじゃないんだよね本当に。映画が上手すぎる。でもそれはそれとして映像のインパクトはマジでクソ強い。無限に擦られてるけどやっぱりパーフェクト肩車最終フォームはその最たる例だと思う。
いやでもアレほんと凄い。あそこだけ切り取ると胡乱以外の何物でもないんだけど、終盤のあの段階に至ると「両脚を負傷した銃の名手で剛腕のラーマを健脚のビームが肩車することでお互いの強みを十全に引き出せる…。しかもこれは冒頭のあのシーンの…。なんて完璧でクソエモいシーンなんだ……」ってなってたもん。笑いながら涙ぐんでたよ俺。
これ決して映像のインパクトだけでゴリ押して説明してるわけじゃなくて、あそこに至るまでの描写を丁寧に丁寧に描いた結果の賜物だと思うんですよ。ちゃんとあの最終強化フォームに至るまでの説得力を映像ではなく映画全体の展開として与えている。これはすごいことですよ。
何が言いたいかって映像の胡乱さだけに頼ってる映画じゃないんですよRRR。散々上の方で語っている話の構成の上手さもそうだし、俳優の演技がストーリーや演出に凄い説得力を持たせてる。1回目の総督府襲撃の時にビームとラーマがお互いの素性を知って対峙してしまうシーン、ラーマ自身がビームと比べてクール寄りのキャラだったり、あの時点だと彼が背負ってるものを説明されてなかったこともあって「壁に八つ当たりする程度には思うところあるんだろうけど一方的にクソデカ友情を感じているのはビームだけでは?」って思ってたんだけど、ぜっっっったいにビームと目を合わせず投降を促す演技が迫真すぎて見ててマジでつらかった。

過度に足を引っ張るというか、無能な味方とかもそういやいなかったな。強いて言えばマッチュがそうだけど拷問には耐えきったし、ラーマには一矢報いたし。

あとこれが人生で初めてのインド映画だったんだけど、思ってたより突拍子もないタイミングでの歌やダンスがなかったのが逆に意外だった。思ってたよりって言うかほとんどなかった。
でもエンドロールで「もう我慢できねえ!!!ダンスだ!!!!」ってのが滲み出ててにっこりしちゃった。ていうか最後に出てきたの監督だったんですね…。てっきりメイク落とした英国総督のおじさんかと…。

まぁツッコミどころがないわけではなかった。鞭打ち受けてマジで死にそうな割にお前歌う余裕あるんだなってなるビームとか(でもビームの意志の強さに心打たれて割とどうでもよくなった)、くそやべえ蛇の毒に対してあまりにも即効性のある薬草とか、歩くのもままならない傷を一瞬で治す薬草とか。あと薬草。インドの薬草エリクサーか何かか?というかあの自生してる草たち本当にただの薬効があるだけの野草か??脳内物質ドバドバ出る変な成分混ざってないか???
まぁそんなツッコミどころを勢いで全部黙らせるストロングスタイルの映画だった。エンタメと面白さの前には何もかも無力なのだ……。

映画は人並み程度に観るくらいの人種なのでそこまでいっぱい観ているわけではないのでなんなんだけど、総じてここ数年で観た映画の中でもかなり衝撃を受けた作品でした。胡乱な映像や演出の連続なのに話が破綻していないってどういうことだよ……。
ナートゥもそうだけどそれ以外の劇伴もよかったし、大画面であの映像を観てこその体験だったと思うので、もう一回映画館で観たい…。



最後に

ナートゥダンスのシーン最大のMVPは、あの状況で全てを察し空気を読んでナートゥのビートを刻んだ黒人ドラマーニキだと思います。

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