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黒苺を3代乗り継いで使っている話 #呑みながら書きました #Blackberry

よくきたな。おれはslaughtercult、しがない物書きワナビーだ。
今日のおれは少しばかり不貞腐れている。今日の呑み書きのネタ予定だったクラフチビール……『BREWDOG PUNK IPA』が調達できなかったからだ。

おれの勤め先の自販機には酒が売っちエル。普通の会社ではありえないが、おれrの務める会社は普通の会社ではないから酒が売っている。
勤め先の字は二に自販機にBREWDOGが入ったのは数か月前の話だ。田舎に住むおれにとって、地元でBREWDOGが気軽に帰るのは実に有り難い話だ。

しかし、今日のアフター5……自販機は壊れていた。おれは自販機のエラー表示と睨めっこして、説明書からエラーコードを読み解いたり30分ばかり自販機を治そうと悪戦苦闘していたが、治すことは叶わず諦めて帰宅した。

出だしからケチがついたな。おれは久しぶりにPUNKを飲みたかった気分に水を裂荒れ、不貞腐れて我が家のクローゼットを引き開けた。下の談の奥の奥……そこにあ、かつて買って放り込んっどいたワインが眠っていた。


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『ガルナッチャ・デ・フエゴ2012年』。スペイン産で、ガルナッチャ種なるブドウの、樹齢60~80年の古樹を選んで醸造している面白い銘柄だ。古樹は地中のミネラルを効率的に吸い出せ、ブドウ果実のミネラルも強くなるのでそうしているだそうだ。おれはこの銘柄が旨いことを既に知っている。

楽天の記録から購入日を遡ると、2014年10月5日とある。概ね6年前に買ったワインと言うわけだ。当時おれはこのワインを同時に2本買ってい邸、1本は購入直後に呑んだ。写真のこれが、6年間放置していたワインである。

おれは酒のプロではないので、ワインの保管など実に適当だ。ワインセラーなどという素晴らしい(高価な)道具は持っていない。クローゼットの底に横倒しにして、放置していただけである。正直、腐っていないか心配だ。


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栓を抜いた。コルク表面の状態に違和感をもったお前は鋭い。本当はコルクじゃなくてプラスチックだ。中にスポンジ状の合成繊維が詰まっている。
近頃のワインはスクリューキャップも増えているらしいが、プラスチックのイミテーションコルク(という呼び方でいいのか?)を使っている醸造所はそうは見ない。地域性か、この醸造所の特有に拘りか何かだろうか。


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というわけで、空けた。真っ黒なグラスは、開戦直後に直に継いだ一杯雌。左のデキャンタは、分かり辛いが七文目まで注いである。抜栓した瞬間から枯れたブドウの香りが漂ってきて、非常に食欲(飲欲?)をそそる。

ケンミンの汁なし担々麺(刻みネギ&花椒パウダー爆盛り)を作ったので、夕食がてら辛麺と一緒にイスパニアのワインを楽しみたいと思う。

というかもう楽しんで来た。非常に旨かった。ケンミンの汁なし担々麺は、ソースが甘過ぎるとAmazonレビューで不評であるが、今までの俺の経験で言うと、その辺のスーパーで売っている担々麺ソースより100倍マシだ。

そんなに辛い即席担々麺が食いたいなら、SAMYANGの2倍プルダックでも買っておけ。辛い物は消火器のガンリスクを高めるので、決して他人に誇る食生活ではないがな。おれはKikiの花椒チリーまぜそばで満足しておく。

なに? Blackberryの話がまだ? もう少し待て。急いては事を仕損じると尊師も言った。孫氏が言ったかどうかは知らないが、そういう言葉がある。

お前はガルナッチャ種の味が好きか? おれは余り沢山の酒を飲む人間ではないが、ガルナッチャ・デ・フエゴを飲んだ限りではこのブドウが好きだ。

品種は異なる者の、南アフリカ産のピノタージュを使た『クマラ』と風味が似ている。ミネラルの塊を口にしたような、渋みと土臭さがパキッと香る、田舎の太眉で日焼けしてガタイの良い笑顔の兄ちゃんみたいなワインだ。

出鱈目に保管していた割に、正直かなり旨いんで、おれも困惑している。

買ってすぐ(瓶詰から2年後)と比較して、燃え上がるようなアルコールと風味の強さは落ちている気がする。酸味が強く、柑橘類を直に舐めたように口の中がキュッと締まるが、不快感は無い。土の香りを引き立ててくれる。

もしできることなら、誰かと分かち合いたいくらい旨いワインだ。どうしてこれを、自宅の一人飲みで開けてしまったのか。しょうがないから、おれが1人で全部飲んでしまうことにしよう……しめしめ。飲んでいてアクの強さを感じるが、嫌味は無い。底なしの活力を感じる。底抜けにアッパーな味だ。

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すっかり機嫌がよくなったので、そろそろ本題に入ろうと思う。おれが日頃使っているキーボード付きスマホ、Blackberry(ブラックベリー)の話だ。

お前がBlackberryのことを知っていようがいまいが、そんなことはどうでもいい。やれiphoneの方が高性能だとか、やれgalaxyのカメラは優秀だとか、そんなことは俺には何の関係もない。

「それスマホ?」と腑抜けた手付きでタッチパネルを弄りながら尋ねる連中には、俺はこう答えることにしている。「これ“が”スマートフォンだ」と。

いいか、お前たちもスマホに物理的キービードはついているか? 俺ににはついてる。俺がこう言えば、最新世代の総タッチパネルスマホを使うお前は花で笑い、お高く止まった顔つきで高部車にこう言い返すことだろう。

スマホにキーボード? そんなもの必要ない。フリック入浴で十分だ、と。

その通り、Yesだ。いや俺としては全く持ってYesではないのだが、時代はYesと言っている。インターネトでスマホを調べてみろ。市場の99%のスマホはタッチパネル式だ。キーボードはコストと重量と手間を増大させる邪魔者とメーカーに、カスタマーに認められ、やがて市場に淘汰され居間に至る。

BlackberryはポケットベルとPDAがファックして生まれ、iphoneに負けて、進化の袋小路に達して時代に取り残された、例えるならばスマ?トフォンのシ?ラカンスだ。元々はカナダのRIM……Research In Motion社がOSも端末も内製していたが、今のBlackberry(旧RIM)社はOSも端末も作っていない。

おれはBlackberryを使っていると、スマッホン春秋戦国時代を強くカニ汁。それも賊軍だ。おれは鹿児島県人(明治の西南戦争で賊軍)なので、敗者に寄せる思いが強い。薩摩武士もBlackberryも変革の時代に負けた賊軍だ。

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結論から言ってしまえば、特にRIM時代の独自OSを積んでいたBlackberryはお世辞にも出来の良い物ではなかった。小さくて矢鱈と古和真理が効いて、とにかく電池持ちが良くて、物理キーボードで文字がポチれるのが売りではあったが、タッチパネル化は遅かったし、何より独自OSがクセ者だった。

おれが使っていた限りにおいて、RIM時代の末期のBlackberry端末を評価するならば『発熱とフリーズの嵐』である。余り好意的な評価ではないな。だがおれは紛うことなくBlackberryを愛しており、これは愛のあるイジリなので100%問題は無い。ワイフやハズバンドの些細な欠点が、伴侶にとって時に愛らしく思える症状と多分同じだろう。それがムカつく時だって当然ある。

旧型Blackberryの話を掘り下げる前に、おれが今まで使っていたBlackberryをクローゼットから発掘したので開陳しよう。おれのクローゼットには色々な物が入っているのだ。ワイン、昔のスマホ……捨てられないものが沢山。


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左からBlackberry Bold 9700、Blackberry Bold 9900、Blackberry PRIVだ。
左が古くて右が新しい。9900までは独自OSを用いて、PRIVはAndroid機だ。


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最小の9700は、横幅がキングサイズのタバコとほぼ同じ。後継機の9900も、サイズ的には9700に毛が生えた程度なので、片手で非常に扱い易い。対するPRIVは、総タッチパネル画面であるのみならず、物理キーボードをも備えたスライド式……旧作のTorch 9800系を進化させたデザインだ。しかし大きい。


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写真がへたくそで済まん。dtabのカメラのウンコ画質ぶりに辟易とする。

ともかく、小さいのだ。小さくてキーボードがうまく操作できるのか? とお前は訝しむかもしれないが、これが良く出来ている。片手の親指の具合でうまいことキーを押し込むことができるのだ。両手を使えば早くタイピングすることもできる。キーボード入力が好きなおれには打ってつけである。

ところで、タイトル写真や上の画像では、しれっとPRIVの画面が割れていたことに気が付いたことだろう。そして、直上の撮り直した写真には、PRIVは写っていない……これはどういうことか? もしかして今頃は夢の島?

そんなことは無い。代理店のFOX Inc. は正規保証期間が切れたら有償修理もやらないしょっぱい業者(ヤツ)だが、NTTから見放されて初めは技適すら通っていなかったPRIVを、日本に持ち込んでくれた業者なので、恩がある。

ともかく、PRIVは修理中だ。モウマンタイという、スマホの部品を在庫して修理も行ってくれる、旧型使いにはありがたい業者に命運を預けた。タッチパネルを含む、フロント・アッセンブリの交換で15,800円……悪くない。


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裏面はこんな感じだ。Blackberryのシンボル、果実のマークがカワイイな。ブラックベリーはラズベリーとかと同じ木苺の仲間で、日本人には馴染みが薄いフルーツだ。黒は黒でもクロスグリとは別物。クロスグリは一般に言うカシスであり、英語で言えばブラックカラント。リキュールで有名だな。


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Bold時代のBlackberryは、こうして裏蓋を外すことができた。中にあるのはバッテリーコンパートメントと、SIMやSDカードを差し込む端子だ。これが旧世代Blackberryというか、昔のガラケー/スマホ全般の利点でもある。

PRIVも含め、現代のスマッホは充電池を取り外すことができない。過充電でリチウムバッテリーを爆発させたあほのせいで、メーカーは充電池に対して非常にシビアな態度を取るようになった。この仕様のせいで、PRIVは弱ったバッテリーを交換することができない。どう考えても不便だが仕方ない。

もう少し説明しておくと、9700と9900は2G/3G通信であり、PRIVは4G対応。9700は2010年、9900は2012年、PRIVは2015年の機種で世代差は大きい。

そろそろスマホを買い替えようと思っていたおれに飛び込んで来た、今年の大ニュース……Blackberryの現行機・KEY2を製造していた、中国・TCL社との契約終了。これにはさすがのおれも肝が冷えた。現行のKEY2の保証の期限が2022年と明記され、今度こそBlackberry完全終了か。

止めとばかりにPRIVの画面をカチ割り、しまいには画面すら点かなくなって暗澹たる気持ちに暮れていたおれに、別の衝撃ニュースが飛び込んだ。

Blackberry……お前、生き返るんか……?

し ぶ と い 。

2021年に北米・ヨーロッパ市場で発売予定ということだが、おれたちの手に届くのは2021年を跨ぐかも知れない。おれが使っているPRIVがいい例だ。

PRIVはそもそも2015年発売の端末であったが、Bold 9900まで懇意であったNTTからBlackberryは見放され、大手に見向きもされなかった悲劇の端末。

暫くして、おれはFOX Inc. なる輸入代理店の存在を知った。ホームページを開くと、Blackberry CLASSICやPASSPORTといった、大手キャリアの店頭では見たことも無いような端末が並んでいた。おれは大手キャリアとサヨナラしSIMフリーのPRIVを買うことを心に決めた。それが2017年の話だ。

買った時は99,000円だったPRIVも、3年(欧米基準では5年)経った現在ではよわいスペックの旧型機。電池も弱ってきたし、もう限界かな。いい加減に新調するべきだよな。おれはそう思い、迷い……スマホの画面を割った。

新型機が永遠に出ないなら、Blackberryの卒業のし時だと腹も決めていた。

が、しかしどうやら、2021年に新装Blackberryがローンチするらしい。

だったら、もうちょっとだけPRIVで頑張ってみてもいいかな。そう考えて、おれはPRIVの壊れた画面を、修理屋に預けて直してもらうことにした。

おれはBlackberryを3台しか使ってない貧乏人なので、オタク的な見地からはこういう話を深く掘り下げてするこ都は出来ない。が、Blackberruをおれは道具として非常に高く評価している。これは拘りであり、異字なのだ。

おれは来年か、再来年あたり新型のBlackberryを買っているかもしれない。

6年ぶりに開けたガルナッチャ・デ・フエゴをちびちび飲みながら、そんなことをつらつら考えた。あと一応断っておくが、キーボード付きのスマホはかなり人を選ぶので、お前たちは素直に普通のスマホを使った方がいいぞ。

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お前がBlackberryのことを知っていようがいまいが、そんなことはどうでもいい。やれiphoneの方が高性能だとか、やれgalaxyのカメラは優秀だとか、そんなことは俺には何の関係もない。

ともかく、まだおれはBlackberryを好きでいられるかもしれない。ゾンビのように冥府から蘇るスマホを見て、おれはいくらかの痛快さを覚えている。


【黒苺を3代乗り継いで使っている話 #呑みながら書きました #Blackberry
【おわり】

From: slaughtercult
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