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グッバイ・ブルーバード:パルプスリンガーズ外伝 NGシーンとあとがき

【本編】

諸事情で過去の日付になってます。実際は2/15 15:30に投稿したのですが。
まだ見てない方は、できればこちらから先に見てくれ。いやマジで。頼む。
内容が気になる方は下記のNGシーン(ネタバレ含む)が参考になるかも。


【本編のエンディングに代えて】

自我(エゴ)に因み、EGOISTさんを引用。今回の作風ならコレで決まり。
終盤の追い込みを描けている時は、これをヘビロテしてパキッてました。


【ごあいさつ】

どーも、slaughtercultです。かれこれ20日間ほど、上記の物語を作るために頑張ったり、怠けたり、展開に悩んだり、サボったり、書いてカットしてを繰り返したり、またサボったり、最後はやる気を奮い立たせ、死に物狂いで数日書いて書いて書いて、よーやく完成させたサボタージュの権化です()

てかね、書き出し初日の1月24日(記事の投稿日になってますが)、まさか下書き保存を本チャン投稿にしてしまう斜め上の凡ミスをやらかすとは!

Akuzumeさんに早い段階でコメント頂けたので助かりました。さすが組長。

なおかつ不幸にも、長期間かけて書き上げた疲れと、推敲を重ねて問題点を修正しつくした校了の達成感から、別記事にせず投稿する致命的ミス()

お陰で、メッチャクチャ時間かけて書き上げたのにも関わらず、ご新規様に向けた情報発信が何一つできない(下手すりゃフォロワーの皆様であっても見落としかねない)という最悪過ぎる展開! マジで何やってんだ私……。

禁断のアレをやってしまおうかな……ご新規様向けに……記事の再投稿……。

ダサ過ぎる。本文であれだけカッコつけといて、ダサ過ぎるよ私~ッ!

執筆に関わる現実のNGシーンはさておき、ここからは本格的にあとがき的なことを始めようと思います。この記事が初見の皆様は、冒頭リンクの記事を読まれるか、この後に続くNGシーンまででギリギリ勘弁してください。

いや、最初にネタバレしてもぶっちゃけ、記事の面白さを損なわない自信はあるのですが……今回の作品作りは『オーソドックス・王道・ベタ』という分かり易さとエモーション重点構成なので、先に解説を読むのは野暮かな?

まーいつまでもグチャグチャくっちゃべってないで、さっさと始めますか。


----------【注意 ⚠ ネタバレあり〼 ⚠ 注意】----------


具体的なNGシーンというのは、予め説明しますと酒場における戦闘シーン。既に読まれた方は、ある程度どんなものか予測がつくかもしれませんね?

最初は酒場でドンパチやる予定だったんですが、後の作劇の都合を考慮して泣く泣くシーンごと削除。一度作って気に入らずに、書き直して2パターン作ったにも拘らず。まあそういうもんですね。このパターンで続行してたら10万字以上いってたかもしれません(一杯書けば偉いわけじゃないし)。

戦闘シーンの推移も、最初は奇襲⇒ギリ勝ち⇒逃走⇒再戦⇒敗北と、一度は負けさせようとしていました。そこから何やかんやあってワイルドカードを得てから、パルプスリンガー再び立つ! とかやろうとしてたのですがね。

結果は読まれた通りで、作劇の良し悪しはともかくこれが私の精一杯です。


----------【再び注意 ⚠ ネタバレあり〼 ⚠ 注意再び】----------

【NGシーン・Aパターン『サイコソーシャル』】

※注意※ 以下は本編から削除されたカットシーンで、部分的に本編と同じ設定のキャラ等が登場します。本編未読者も既読者もお楽しみください。

「ところで、私は貴方たちに謝らなければなりません。巻き込んだことを」

言葉とは裏腹に、マイコの言い様はどこか挑発めいていた。店主とスカルは武器を手にしていた。店主は壁に掛かったウィンチェスター銃を。スカルはスマホを操作し、マテリアライゼーション機能を限定使用し武装を展開。

スカルの右腕に紅の粒子が凝集して弾け、右腕を覆うブレースと一体化したH&K MG4車載型機関銃を物質化する。銃口直後、ガスポート付け根左右の小型レールには、防弾ナイロン製のシールドを張り出させている。

「おいおい、また面白ぇオモチャを持ってきたもんだな」

ガシャコッとレバー操作で銃に装填しつつ、店主が片目を見開いて言った。スカルはやや窮屈そうに右腕を傾げ、左手で銃右側のハンドルを動かす。

「無駄ですよ。貴方たちが抵抗したところで勝ち目は皆無です。時空操作もできない原始人は武器など持っていないに等しい、そう言ったはずです」
「そいつぁ」
「どうかな」

マイコの忠告も聞かずに、店主とスカルは銃を掲げた。生意気にもスカルはマイコを遮るように、一歩踏み出した。弾除けにならんがごとく。
その直後、二人は静止した時間の中で成す術もなく硬直した。ドアを蹴破りメカスーツ姿の3人組が、レーザーライフルを手に踏み込んで来る。

「危ない――ッ」

マイコが踏み出そうとした瞬間、3人のメカスーツはライフルのトリガーを弾いていた。鈍化した時空で彼女が駆け出すよりも早く、時が流れ出す。
PEWPEWPEWPEWPEWPEW! スカルの顔面と心臓に向け、レーザー弾が滅茶苦茶に殺到して穴を穿ち血が爆ぜた。店主は狙いが逸れ事無きを得る。

「スカル――ッ!?」

PEWPEWPEWPEWPEWPEW! カウンター裏に隠れる店主の叫びも空しく次のレーザー斉射がスカルをオーバーキル、彼は流血も無く崩れ落ちた。

「シリウス連邦軍海兵隊4649小隊。辺境の宇宙盗賊がご苦労なことです」
「大人しく銀河ネコを渡せ!」
「お断りします」

マイコは3人のメカスーツ宇宙盗賊と正対し、キッパリと断言した。彼女は状況判断し、スカルの死体の右腕からMG4機関銃を剥ぎ取り携えていた。

「賞金首のアンドロイド風情が、死ね!」

1人のメカスーツが告げ、3人が銃を構えた。再び時が停まる。3人は素早く散開し、マイコの移動方向を先読みして効率的な位置に弾幕を『置いた』。

マイコはレーザー弾の直撃を避けて斜め前にローリングし、変則的な姿勢で機銃を構え、斜め上に撃ち上げる姿勢で撃発。時が再び流れ出すと同時に、レーザー弾の雨霰が酒場を引っ掻き回し、5.56mm弾の連射がメカスーツで弾けて火花を散らす。地球基準の質量(KP)弾は全く効き目が無かった。

「やれやれ。こんな武器では、排泄物を投げるのとそう変わりませんね!」

マイコは悪態をつき、レーダー弾の連射を巧みな姿勢制御で躱す。マイコと宇宙盗賊は時空を自在に加減速し、互いの移動方向を読み合いながら射線を配置し、詰将棋にも似た奇妙な戦闘を繰り広げる。マイコは手の内の機銃を弾切れまで撃ちまくったが、メカスーツを傷つけることすら敵わなかった。

地球の人間たちに構わず戦い続ける彼ら彼女らは、まだ気づいていない。

「やれやれ。こんな出鱈目な連中、どうやって倒せばいいんですかね」

戦闘の始まりで、呆気なく討ち死にしたスカルの骸が、消えていることに。

「クソッ、噂に違わずしぶとい女――ザザッ!――ドロイドだ」
「おい――ザッ!――何か通信にノイズが入ってねえか?」
「環境の違い――ザーザザッ!――気にするな! 戦闘に集中しろ!」

メカスーツたちは無線通信で言葉を交わしつつ、酒場を縦横無尽に飛び回るマイコを銃口で追って撃ち続ける。妙な胸騒ぎに小首を傾げたメカスーツの1人が、仲間と思って振り返ったメカスーツに死人の影を見て驚いた。

「ウワーッ、テメェ何で生きて――ザザザッ!――死体が歩くな!」

PEWPEWPEW! レーザーが空気を焼く! 寸前で気づいたメカスーツは銃撃を回避! 撃ったのはスカルではなく仲間だ! 通信に怒声が飛ぶ!

「何やって――ザッ!――馬鹿野郎! 殺す気か!」
「違う! お前も見えな――ザザザーッ!――クソッどこに消えた!」

怒鳴り合う2人を余所に、もう1人が目を剥いて、最初に仲間を誤射しかけたメカスーツに照準を合わせた! PEWPEWPEW! レーザー弾の乱射!

「何だきさ――ザーッ!――でくたばってねえ! さっさと死ね!」
「違う、俺は仲間だ! 撃つな――ザザザッ!――」

撃たれたメカスーツは時空を加速し、ギリギリで回避! もはやマイコとの戦闘どころではない! 3人は互いの姿にスカルの幻影を見て撃ちまくる!

「ウオーッ!」
「死ねえーッ!」
「この化け物ーッ!」

PEWPEWPEW! PEWPEWPEW! PEWPEWPEW! 複雑なステップを描く三者の間を、飛び交うレーザー弾がトライアングル軌道を閃かせる!

「……何が起こってるんですか?」

マイコは呆気に取られ、同士討ちを始めたメカスーツたちの姿に独り言つ。彼女は流れ弾を浴びぬよう立ち位置に気を付けつつ、周囲を見渡した。

「……死体が、無い」

そして気づいた。蜂の巣になって死んだはずのスカルの死体が無いことに。

「おい、何やって――ザーザザザーッ!――っさと片付けろ!」

凄まじい銃撃戦の音を聞きつけ、酒場の入口から見張りのメカスーツ数人が更に突入! 先発のスリーマンセルが死のトライアングル舞踊を繰り広げる光景に目を疑い、暫し呆然と立ち尽くす! 泥沼の乱闘ぶりに、仲間たちも仲裁に割り込むことができない! 先発隊の銃口が入口に向けられる!

「ウオ――ザーザザッ!――だけ出てきやがるんだッ!?」
「全部まとめてぶっコロ――ザーッ!――」
「アヒャヒャヒャ!――ザザザーザザッ!――ウッヒッヒッヒヒヒ!」
「「「う、撃つなーッ!?」」」

PEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEW!

メカスーツ盗賊団は、混乱した先発隊と正気の後発隊に分かれ、仲間同士で時空CQBを敢行! 戦闘員が増えたことで火線が濃密に、時空メカスーツの演算機能の限界を超えて、勘と運の鈍い者から被弾し倒れていく!

PEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEW!

「ウオッ!?」
「グギャッ!?」
「ガバァーッ!?」

小爆発と共に一人また一人とメカスーツが倒れ、放り出されたレーザー銃の一挺がマイコの足元へ転がってくる! マイコは迷わず動いた! 双眸から赤紫の波動光を発し、緩慢な時空で乱雑な射弾を潜り、銃を拾い上げる!

「何だかよく分かりませんが……好都合です!」

PEWPEWPEW! レーザー連射! 仲間を撃ち続けるメカスーツの一人に胴体に着弾し小爆発! PEWPEWPEW! 視界の脇から別のレーザー弾!

「ボゲエッ!?」

偏光ヘルメットに直撃し光散乱! PEWPEWPEW! KBAM! 直後追撃の頭部レーザー銃撃で、ヘルメットが爆裂! 装備ごと頭を貫かれて即死!

「「ウオ――ザザーッ!――ッ!」」

PEWPEWPEW! PEWPEWPEW! 動きの鈍ったメカスーツに、生き残りが執拗なレーザー集中射撃! 死体のスーツで熱線が弾け、蜂の巣で倒れる!

「ウウゥーッ!――ザーザリザリザリ!――ヒッグ、ヒッグ!」
「クソッ目を覚ませ!――ザザザーザーザザッ!――もう駄目だーッ!」

PEWPEWPEW! PEWPEWPEW! 先発隊1名と後発隊1名、しぶとい2名が至近距離で回り巡り、銃撃のゴーゴーダンスを続行! 正気のメカスーツが銃を向けるマイコと銀河ネコの土鍋を一瞥し、HMD上で枠線の強調表示!

「クソッ、あともう少しだ!――ザザッ!――あともう少しなのに!」
「アアアアア゛!――ザザーザッ!――ざっざどじねよおおおお゛ッ!」

正気のメカスーツが気を緩めた一瞬の隙に、PEW! KBAM! 胴体に被弾!

「しまッ――!?」

PEWPEWPEW! PEWPEWPEW! PEWPEWPEW! 発狂メカスーツから、マイコから、座標の不明瞭な虚空から、三方からレーザー弾集中射撃!

「グオオオオオオオ――ザザザーッ!―――」

KBAM! KBAM! KBAM! 胴体、胸部、顔面! 三点で光が爆ぜ、確殺!

「ウウウウウ……ウワアアアアッ!」

生き残った最後のメカスーツは、レーザー銃を放り出して膝をつき慟哭!

「……愚かですね。手加減していたら勝てていたかも知れないのに」

カウンターに背を向けた発狂メカスーツに、歩み寄る埃塗れの黒衣の人影。

「遅れて済まない、援軍だ! 状況はどうなってる!」
「ウワアアアアッ!?」

発狂メカスーツは反射的にレーザー銃を取り、飛び起きて背後に振り向く!

「どうした? 大丈夫か!? 一体中で何が起こったんだ!」
「ウゥ……アアアアアッ!」

しかしメカスーツは構えた銃口を下ろし、前のめりに崩れ落ちて噎び泣く!
彼のHMD上では、スカルの姿は仲間のメカスーツとして表示されている!
無論、これはハッキングだ! スカルの特殊能力『サイコソーシャル』!

「化け物、幽霊が……殺しても死なない……何人も出てきやがる……」
「駆け付ける途中で仲間とはぐれた。生き残ったのは何人だ?」
「仲間の、バイタルサインは……全員消えてる……生き残ったのは俺だけだ……本隊に連絡しないと……エッ待てよ、仲間のバイタルサイン……全員……?」

発狂メカスーツの眼前で、仲間のメカスーツがレーザー銃を構えた。

「そうさ。私がその『幽霊』ってわけさ」

メカスーツのヘルメットだけが、スカルの銃殺体めいた顔にすり替わる。

「アアアアア゛――ッ!?」

発狂、失禁、脱糞! PEWPEWPEW! KBAM! 頭部銃撃で光散乱!

「楽しんでいただけたかね?」

PEWPEWPEW! KBAM! 念入りな死体撃ちで頭部貫通、完全に殺害!

「やれやれ……今回は運が向いてました。相手が搦手の効かないフィジカルお化けだったら、こうもアッサリとはいかなかったでしょうね」

スカルは呟きながら歩き、倒れたメカスーツたちの、ヘルメットを一人ずつ外して生死を検める。生きている者には、PEW! 頭に弾を撃ち込んだ。

「貴方……原始人童貞の分際で、蜂の巣になって死んだのにどうして!?」

マイコは時間を圧縮し、カウンター前からフロア中央のスカルの前に一瞬で飛び来たり、胸倉を掴んで揺らし、最後の1人に止めを刺す手を遮った。

(以下検閲、シーン終了まで削除済み)


----------【再び注意 ⚠ ネタバレあり〼 ⚠ 注意再び】----------

【NGシーン・Bパターン『シンステージア』】

※注意※ 以下は、上記のAパターンを元に再構築された、同じステージの別パターンの戦闘シーンとなります。ご留意の上でお楽しみください。

「何ですか? 原始人の童貞にまだ何か御用がおありですか?」
「私を口説いた罰として、貴方には地獄に付き合ってもらいます」
「怖いねえ。やっぱり魔性の女じゃねえか」

店主は意味深な笑みで肩を竦め、口笛を吹いて二人に背中を向けた。そしてスカルと店主は、静止した時空の中で凍りつく。時空操作を察したマイコは背後を振り返らずに、カウンターの土鍋に駆け寄って手繰り寄せ、そのままカウンターを乗り越えて店主の服を引っ張り、足元の死角に引き倒す。

PEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEW!

直後、マイコの駆け抜けた軌道上に青白い光矢が殺到! 超音速の衝撃波を撒き散らしながら、光矢の弾幕がカウンター背後の酒棚へと突き刺さる!

KBAAAAAM! 酒棚に横薙ぎの弾着! 瓶が弾け、ガラス片が降り注ぐ!

「ウオオオオオッ!? クソッ、俺の店が!」
「動かないで! 頭を上げたら死にますよ!」

床に押し倒されて藻掻き叫ぶ店主の頭を、マイコが押さえつけて鋭く叫ぶ!

「何事ですか!?」

スカルが懐を手探り、椅子を蹴って振り返り、言葉を失って立ち尽くした。

「螟悶@縺溘°」
「逶ク螟峨o繧峨★縲√☆縺ー縺励▲縺薙>縺ェ」
「螂ウ繧「繝ウ繝峨Ο繧、繝峨a」

電子的に増幅されて歪んだ声が、口々に呟かれる。パルプ酒場の入口間際にざっと1ダース、1個分隊ほどのメカスーツ軍団が1列横隊で展開していた。

彼らは黒御影の墓石じみて照り輝く、ハンマドリルに似た歪な形の直銃床型ライフルを構えていた。青白く輝く銃口で、バチバチと電子が爆ぜている。グリップ底部から伸びるコードが、メカスーツの背面に一体化した充電池と繋がっていた。火薬ではなく電気を用いる、磁力銃(コイルガン)だった。

「4649小隊! 辺境の宇宙盗賊がご苦労な事です!」
「な、何だって!? 例の宇宙の海兵隊かモゴモゴーッ!?」

押さえつけられたまま喚く店主の口を、マイコの手が強引に塞いだ!

「豬キ蜈オ髫翫▲縺ヲ繧……ピピピ、部隊コードの名前は便宜上だけどな」
「俺たちゃ上官をブッ殺して集団脱走した脱走兵の集まりさ!」
「おまけに、宇宙を股にかける凶悪犯罪者の賞金首も集めた愚連隊!」
「何を偉そうに! 烏合の衆団の間違いでしょう!」

PEWPEWPEWPEWPEWPEWKBAMKBAMKBAMKBAMKBAMKBAM!

マイコの挑発に、大量の電磁加速された磁性体フレシット弾が返される。

「へっへへ、賞金首め……抵抗しても無駄だ。とっくに包囲されてんだぜ」
「こいつの賞金、宇宙ネコと比べりゃカスみてえにちっぽけだがな!」
「俺たち自身が賞金首なのに、賞金首を捕まえても賞金は貰えねえだろ!」
「お前そういう身も蓋もねーこと言うな! つまんねえヤツだな!」
「銀河憲兵隊の手引きで賞金首を捕らえた時は、分け前貰えただろうが!」
「お前それいつの話だ!? 俺の知らねえとこでいい思いしやがって!」
「そん時ゃ手前、銀河アニサキスに当たって、藪医者のベッドで青い顔して唸ってたじゃねーか! 銀河イールの蒲焼はやめろって忠告も聞かずに!」
「うるせー、銀河イールはリスクを冒してでも食う価値があんだよ馬鹿!」
「馬鹿はどっちだ馬鹿! 医者代、小隊の積立金から出したの忘れるな!」

唐突に口論を始めるメカスーツ愚連隊に、店主とマイコは顔を見合わせた。

「あいつら、本当は馬鹿なんじゃねえのか?」
「教養の低い連中です。お陰で今までは隙を突いて逃げられました。ですが今回はこちらが圧倒的に不利です。この店に裏口はありますか?」

店主が頷いて半身を起こすと、マイコは彼の胸に土鍋を押し付けた。

「私が囮になります。貴方はこれを持って、裏口から逃げてください」
「バッカお前! 俺にこんな戦術核兵器を押し付けやがって何考えてる!」
「流れ弾が銀河ネコに当たって死んでしまったら、核爆発級のエネルギーがこの建物ごと全て吹き飛ばしてしまいます。中の人間も巻き添えにして」
「んなもん、なおさら受け取れねえよ! 核の運搬係なんぞ御免だ!」
メカスーツ愚連隊たちはHMDを内蔵したヘルメットを冷たく輝かせ、一斉に

黒御影のコイルガンを構えた。銃口の青白い光が強まり、空気が焼ける!

「まーそう言うことだから、お前ら皆殺しな。悪く思うなよ」

PEWPEWPEWPEWPEWPEWKBAMKBAMKBAMKBAMKBAMKBAM!

カウンター裏に隠れたマイコを釘付けにせんと、メカスーツたちの磁力銃が一斉に光矢を吐き、酒棚のガラス瓶を次々と撃ち砕く。射線上に立っているスカルもついでに矢弾が穿ち、肉体を蜂の巣にした次の瞬間、爆ぜさせた。

KBAAAAAM! スカルの着弾部位が体内から膨れ上がり、次々と炸裂!

「オゥ、きたねェ花火だ!」

生体感知式炸裂弾! 七種類の合金製の弾殻に炸薬を充填、スマート信管を弾頭に装備したフレシット弾は、人間の体温を検知して破裂し確実に殺す!

ガラッゴロッガラッゴロッガラッゴロッ……ブシュウウウウーッ!

スカルは血飛沫と共に手足や首を千切れさせ、壊れたレゴブロックのようにバラバラになりながら崩れ落ちる。両手に携えていた大量の発煙筒を床へと放り出され、噴き出す無色透明のエアロゾルが、酒場に霧めいて漂った!

「猪口才なヤツめ、そんなローテクな手段が俺たちに通じるか!」
「何か臭うぞ、もしかして毒ガスか!?」
「気のせいだろ! 軍の空気濾過装置がどれだけ高性能か忘れたのか!?」
「オラァ、ぶっ殺してやるぜェーッ!」

PEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEWPEW!

メカスーツ愚連隊は、コイルガンを撃ちつつ前進し、包囲網を狭めていく!

「迷っている時間はありません、行くんです! さあ早く!」
「クソッタレ!」

頭上に光矢が殺到する中、店主はマイコに土鍋を押し付けられ渋々退避!

「覚悟を決めねばなりませんね……」

マイコが呟いて、OLスーツの懐から4連銃身を菱形に束ねたスマート拳銃を取り出す。サムレストに親指を載せると、違法改造センサーが所有者確認をバイパスし安全装置を解除した。4連銃身には全て実弾が装填されている。

――バツン。突然、店内の電飾が一斉に消え、酒場が暗闇に包まれた。

ウォーキングファイアで牽制していたメカスーツたち、拳銃を手に飛び出す機会を窺っていたマイコと、二者は状況変化に警戒し動きを止めた。

「今度は何だ!?」
「何か……頭がクラクラする。酔っぱらっちまったみてえに」
「寒気がするな。M41星団の掃討作戦前に打たされたヤクを思い出す」
「俺は何だか神経が高ぶって来たぜ。ヤツらを血祭りにあげてやりてえ!」
「往生際の悪い連中め! さっさとくたばりやがれ!」
「「「「「ウオオオオーッ!」」」」」

PEWPEWPEWPEWPEWPEWKBAMKBAMKBAMKBAMKBAMKBAM!

メカスーツたちは光源の乏しい暗がりの視界で、四方八方に撃ちまくった。

「お前ら落ち着け! 矢鱈めったら撃つと同士討ちになるぞ!」
「っせーんだよ分隊長様よォ。戦場じゃ背中から撃ってもお咎めなしだぜ」

――バツン。店内の電飾が再び灯った。ミラーボールが場末の風俗店めいたけばけばしい極彩色を撒き散らし、明滅しつつ七色に移ろう。リズムを刻むゲーミング発光が、メカスーツたちの視界にフラッシュ攻撃を加えた。

「心地よいトリップにはセッティングが不可欠……それでは良い夢の旅を」

デェンデェンデェン……テケテケ……デェンデェンデェン……テケテケ!
デデンデデンデデンデンデンデデンデデンデデンデンデンデデデン!
ズッ……ダン! ズダダダダン! ズッ……ダン! ズダダダダン!

邪悪なシンセウェーブの電子ビートと重低音! 爆音が頭上から降り注ぐ!

「一体何の音だ!」
「うるせェーッ!」 
「今すぐ止めろ!」

脳を揺さぶられる電子音に、メカスーツたちが神経を逆撫でされて叫ぶ!

PEWPEWPEWPEWPEWPEWKBAMKBAMKBAMKBAMKBAMKBAM!

チカチカと目が焼けるような虹色発光が照らす中、青白い光矢が宙を舞う!

「何かが……何かがおかしい……」

分隊長は心の底で恐れた。七色ミラーボール発光とシンセウェーブ重低音の洪水に、メカスーツたちが隊列を乱し始める。何かが起ころうとしている。

「ヒッヒヒヒ。何か無性にアソコがおっ立ってきやがった。やりてぇ~!」
「あれ、おかしいな……涙が、止まらない……ウウッ、ヒッグ……どうして」
「情けねぇ。故郷のマンマが恋しくなったか、とっちゃん坊や!」
「ヴァリが見える! ヴァリ! どうしてここに! 俺だ!」
「そいつは幻だ馬鹿野郎、ヴァリは5年前の爆弾テロで死んだだろ!」
「ウワーッ! そんな目で俺を見るな! 許してくれーッ!」 
「オエエエエエッ! オロロロロッ、ゲボゲボゲボオッ!」

マイコはスマート拳銃を片手に、カウンターから慎重に顔の上半分を出して状況を確認する。異様な熱気が満ちていた。メカスーツたちは嘔吐する者や泣き出す者、奇声を上げる者、呆然と立ち尽くす者、誰かの名前を繰り返し叫ぶ者、所構わずライフルを撃つ者、激しく前後運動する者など様々だ。

「……何が起こってるんですか?」

狂気の宴の中で、七色の光に照らされ舞い踊る姿があった。マイコは思わず目を疑った。両手に筒を持ち、周り踊る何者かのシルエット。筒の先からは陽炎のように揺らぐ無色透明の蒸気が噴き出していた。何者かは両手の筒を投げ捨てると、床から何かを拾い上げ、青白い光を連続して瞬かせた。

PEWPEWPEWPEWPEWPEWKBAMKBAMKBAMKBAMKBAMKBAM!

「同士討ち!?」

メカスーツたちの装甲で、フレシット弾が立て続けに弾けて火花を散らす。

「ウワーッ!?」
「アヒャヒャヒャヒャ!」
「こ、殺して! 殺してやる!」

それが始まりだった。戦闘意欲を喪失していたメカスーツたちが、手にする銃を構えて獲物を探した。手近な場所に立つ味方を、銃口にとらえた。

「「「「「死ねエエエエエッ!」」」」」

PEWPEWPEWPEWPEWPEWKBAMKBAMKBAMKBAMKBAMKBAM!

青白い電子光を曳いて、矢弾が乱舞! 幾何学模様を描くように仲間同士を電光が結び、メカスーツ装甲を貫いた炸裂弾が人体で起爆し血飛沫が舞う!

「「「「「グオオオーッ!?」」」」」

PEWPEWPEWPEWPEWPEWKBAMKBAMKBAMKBAMKBAMKBAM!

マイコがカウンターの奥で目を瞬き絶句する中、発狂したメカスーツたちは銀河ネコもマイコもそっちのけで、手近な相手を目掛けて銃弾を叩き込む!

「私の『シネステージア』は薬物と音と光のイリュージョン……心の虚像を幻影として目の前に曝け出し、精神を切り刻み、破滅衝動を呼び起こす!」

スカルの視界は七色に爛々と輝いていた。幾何学模様が愛を囁き、禿げ頭の神父が聖人の顔をした少女を犯し、逆さの女の生首が長い髪を蛸足のように蠢かして駆け回り、妖精が二本の男根を振り乱して飛び回る幻覚の世界で。

「フフ……ごめんなさい……貴方には私により似合う人がいるから」

ブッダ半跏思惟像めいた姿勢で宙に浮く上半身だけの美女……紫紺の長髪で両目を隠して微笑み、6つの乳房を胸に垂らし、両腕に夥しい目を瞬かせて輪郭が三重にぼやけた美女の顔に、スカルは巨大な男根を構え発射した。

PEWPEWPEWKBAMKBAMKBAM! メカスーツのヘルメットが炸裂!

スカルは目に映る人型存在の全てに精液をぶちまけた。幻覚で判別不能だが目に映る全員が敵だということは分かっていた。仲間が居ない時だけ使える最終手段の影響下に蝕まれ、彼は偽りの至福の元に自己を開放していた。

「男が泣くな! ヘラヘラ笑うな! この弱虫! もっと強くなれ!」

こちらに剛毛の尻を向けて激しく前後させ、胸に抱いた数頭の仔豚に胸から乳を飲ませながら、ヘッドバンギングして語る男に男根を構えた。

PEWPEWPEWKBAMKBAMKBAM! メカスーツの背筋に沿って弾着複数!

スカルは殺意に笑みを強張らせ、精神がバラバラに千切れる苦痛に滂沱して幻覚の世界を駆ける。殺すべきは己の弱さ、殺したいのは自分の幻影だ。

「貴方はどこにも進めないし、どこに戻ることもできません」
「貴方は自分から愛する勇気もなく、他人の愛を望んでいます」
「貴方は子供でいられなかった子供で、大人になれない大人です」

スカルは男根を構えて振り返った。三つ首のスカルが彼に向き合い、三つの口が思い思いの言葉を彼に語り掛けた。三つ首スカルの首には、彼の頭部を数珠つなぎにしたネックレスがかけられており、それぞれの頭部がそれぞれ言いたい放題に喋っていた。スカルは穏やかに微笑んで男根を発射した。

PEWPEWPEWKBAMKBAMKBAM! メカスーツの胸と頭で矢弾が爆ぜる!

「オロッ、オロロッ、ゲボボボボボボオッ!」

スカルは万華鏡世界で男根を放り出し、ゲロで虹のアーチを描いた。懐から探り出した人参が叫び声を上げる。人参ではなくマンドラゴラであった。

「ギョワーッ! ギョワーッ! ギョワ――」

マンドラゴラの頭部を握り、下肢めいた根っこを首筋に叩きつける。直後に渦潮めいた回転圧力がスカルを襲い、彼はマンドラゴラを落とし嘔吐した。

「ゲボゲボゲボオッ! ハァッ、ハァッ、ハァッ……」

強制離脱したスカルは胸を押さえて涎を垂らし、周囲を見渡した。辺りには仲間とスカルに撃ち殺されたメカスーツたちの死体が転がり、彼の眼前にはマイコが拳銃を手に佇んでいた。スカルは薬物に由来する錯乱と滂沱が未だ治まらず、マイコの立ち姿を幻と錯覚し、涙の溢れる目を擦って嘔吐した。

「こんな滅茶苦茶な……貴方は、何を考えているんですか!?」
「はい」

マイコは衝動的に首を刎ねようと足を振り上げ、スカルの首元で停めた。

「貴方は……」

マイコの問いにスカルは答えず、薬物の影響で苦痛に胸を掻き毟って、息を詰まらせ激しく咳き込み、涙と鼻水を垂れ流し膝から崩れ落ちる。マイコは青緑の瞳を揺るがせて赤紫の光を閃かせ、足を下ろして半歩踏み出した。

(シーン終了)


----------【再び注意 ⚠ ネタバレあり〼 ⚠ 注意再び】----------

【あとがき(という名のオタクの長話)】

NGシーンを読まれた方も、直接ここに飛んできた方も、どーもどーも。

あとがき、として一旦仕切り直しましょう。ここから先はネタバレ検閲とかありませんので、その点ご留意のほどヨロシクです。準備はヨイですか?

……準備ヨシ!

ではいきましょう。以下徒然と、主に作劇に関することを語っていきます。

冒頭にも話したように……一応ここで繰り返してお話いたしますが、今回の作品作りは『オーソドックス・王道・ベタ』を強く意識しております。

私のこれまでの作品は、斜に構えた作劇と言うか、王道から意図して外れた傾向がありました。他人と違うことやってる俺カッコE! 良くありがちなパターンです、知恵も技術もないくせに。そんなわけで今回の二次創作では跳ね返ったことを試みず、普通の物語らしく地道な作劇を心掛けました。

一次作を大事にするのは大事ですからね(ふざけてないよ?)

前回の二次創作『ジャスト・ワン・ショット』では、ソウルアバター同士の戦闘を描きましたので、今回は敵キャラをソウルアバターにするのはナシ。

と、その要素は言わば後付けなのですが……最初に何となーく頭に浮かんだイメージが……真顔のOLが猫鍋を両手に携えて、急に現れたら面白くね?

という実にしょーもないもので。実際に頭で物語を練ると、割といい感じにハマったので、後は設定を考える番ですね(ここら辺からマジにスイッチが入って書く気になってる)。猫鍋ちゅーからには猫が必要。宇宙猫で無難にお笑い路線にするか(一体何を見て無難(ヨシ)と言ったんですか?)。

宇宙から来た猫の相棒だったら、女は機械、アンドロイドがいいでしょう。

ここら辺ではまだ、ギャグ展開をやる予定です。本文の一部、特に前半にはお笑い成分が色濃く残っています。けれど折角ヒロインを出すなら、やっぱムフフ展開は欲しいよね……となるのが悲しい男のサガ。そうやって作劇に色気を出し始めて、主人公とヒロインの関係を掘り進め始めると……これが妙なもので、男と女がどうこうとなると、ヤッパリ私の地が出るんですね。

ショッキングでサスペンス! 吊り橋効果で男女接近重点! フィーヒヒ!

お前それ何回目だ、と。まあ普段の私なら、この辺で作劇や設定を捻らせる方向に舵を切るわけですが、今回の私はちょっと待っての三郎さん。

どーせなら、王道を突き詰めて書いてみるのも、悪くないじゃないのと。

突然の出会いから、我が儘な女にハンマー投げのごとく振り回され、色々な事件や展開がありつつ、互いに不器用な主人公と女の心の距離が近づきつつ敵が直ぐそこに迫っていて……という、1億回は見たくらいベタベタな感じ。

で、人間と機械という相容れない関係なので、関係は上手く行かない。正に王道ですよね。まあ決定的な別離で〆ちゃったら(初めにはそのパターンで行く予定だったんですが)、さすがに作劇に救いが無さ過ぎて良かねーなと思ったわけです。いつもの私なら続行するところですが。もうこの辺りからシリアス展開は決定したようなものですね。ともかく別離でバッドエンドを描いて物語の幕を一旦引いて、そこからフォローを入れようと思った次第。

最後の逃亡者の独白……どうでした? 蛇足だったかな? 私は結構スキ。

あれがアルとナイとでは、読了後の印象が大違いです。構想は執筆中盤からありましたが、例の酒場での戦闘シーンをカットした関係で、本来使うべきタイミングに話が挟めずに宙に浮いてたんですよね。作り込んだのだけれど形にしないのは勿体ないなァ、と思っていたら終わりの余韻に当たる部分が少し弱かったので、そこに挟み込んで話に厚みを持たせる役目としました。

ここら辺のシーンなど、エモーション重点の代表ですよね。女やら男やらに身の上話を語らせ、感情を爆発させて涙を流す。今までの私だったら絶対にやらなかったストレートな『泣き』を、今回は試験的に使ってみました。

終盤の心と心のぶつかり合いは、脳味噌でシーンを構築して私自身も非常に興奮しましたね。今までの私なら描かない、真っ直ぐな、余りに真っ直ぐな逃げ場の無い心の戦い。当初の想定から大幅に作劇が違いますが、最終的に概ね私が考えていた方向性で展開できたので、非常に満足しています。

彼ら彼女らが、一体どういった顛末を迎えたかは、既読者の皆様がご存知の通りです。ベタな伏線と併せていい感じに仕上がったと自負しています。

キルマークを入れたのはちょっとやり過ぎかなぁ? と今でも迷うところ。
要はキスマークですからねあれ。キモいキモいと思いつつ入れてしまった。

蛇足ですが、スーツとシャツとネクタイの色にも確り意味があるんですよ?
金のグリフォンのタイピンという分かり易いフックがあるから心配ないか。
勿忘草(わすれなぐさ)色のシャツで、勘の言い方はピンと来たかも?

流石にベタ過ぎかしらね、こういうエモーショナルなやり口って。こういう遠回しなやり口は流行らんですかね。もっとストレートな方が良かった?


他に何か、語り忘れたことは無いかな。ああそう、主人公の能力的なヤツの元ネタも野暮ですが解説しときましょうか。(これがやりたかっただけ)

今回はジョジョリスペクトで、洋楽のタイトルを能力名に当てはめることにしました。曲のリンクは貼っておきますが、ノイズミュージックに類似したインダストリアルグラインド(騒音を楽しむ曲)なので視聴は自己責任。


1.『スペア・パーツ』
⇒ The Berzerker『The Reawakening』より『Spare Parts』

シンプルに交換部品ですね。この場合の部品とは、臓器移植のために他人の死体から切り出してきた臓器のこと。歌詞は死者から臓器を取り出すことの是非を『死ぬことから始まる』という冷ややかな目線で綴っています。

この特殊な能力は、私の作品を読んでくださった皆様へのファンサービスで自作から引っ張ってきました。作中の鍵たる「マテリアライゼーション」を私の独自解釈(重要)で掘り下げ、作中世界の解像度を高める重要な役割。

この二次創作では「マテリアライゼーション」を私なりに解釈し、作中にて踏み込んだ表現をしましたが、この点を原作者の遊行剣禅様がどう感じたか私は心配しています(でもやるけど)。ちょっと踏み込み過ぎたかな?

しかし、敬愛する作品に対して自分なりの解釈を表現するのも、二次創作ができること(やるべきかどうかは別)なので、挑戦させてもらいました。


2.『ノー・ワン・ウィンズ』
⇒ The Berzerker『Dissimulate』より『No One Wins』

直訳して『誰も勝てない』。コレ中二病過ぎやろと思いつつ、『Reality』や『Corporal Jigsore Quandary』と迷ってこれにしました。歌詞は捨てられた相手を見返して今度は自分が捨てる側だ、と曖昧ですが示唆に満ちたもの。

まあアレです。完全に『バイオハザード2』のウィリアム・バーキンです。致命傷を負ってデッドエンドからの、不可逆的な蘇生。パニックシーンでは私の脳内で、列車内でのG第5形態戦のBGMが流れ続けてましたね(笑)

本家『パルプスリンガーズ』と比べて大きな違いは、攻める能力ではなくて守る能力だということ。傷つけられたことをトリガーとして、やけっぱちの過剰防衛で周囲を巻き込んだ拡大自殺をする。どう考えても普通なら悪役がすることですが、敢えて主人公(私のペンネームを冠したキャラクター)にその役を背負わせることで、私のアンチヒーロー思想と、葛藤を抱え苦悩を引き摺った格好悪い主人公観という、パルプスリンガーズの本編から見ればアンチテーゼを提示しました。自分でなきゃサンドバッグには出来ないよ。


あと最後にテーマを少しだけ。

お読みいただいた通り、この話には『偽物・夢・幻』に対する切実な思いが根幹として組み込まれています。これはパルプスリンガーズ世界観に対する私の解釈と問いであることが第一ですが、この話が他人の作品を間借りした二次創作であることの皮肉的自己言及も含まれます。そこに、私が根源的に抱える創作行為に対する疑義をスクラッチして、物語に通底する骨格として『偽物・夢・幻(を望むこと)に価値はあるのか?』という形にしました。

サッカーWカップのアレ。私の人生の中で一、二を争う大好きな曲です。

前作『ジャスト・ワン・ショット』では王道の復讐譚を作ったので、今作は人物の内面に焦点を当て、思索し掘り下げることを焦点に当ててみました。

上手く表現できていれば幸いです。喧々諤々の感想を聞かせてくださいね?

さて、話すべきことは大体話したかな。話し過ぎて野暮な気もしますが(笑)

自分の話ならここまで詳しく解説しませんが、原作あっての二次創作なので解釈違いで戦争が勃発せぬよう、私の立場を表明させていただいた次第。

世界の片隅の創作ワナビーの、しみったれた一人語りにお付き合いいただき感謝感激雨霰です。お前はさっさと一次創作を書け? スイマセン(反省)

何か知らんけど色々考えてんなー、とか適当に思ってもらえたらいいです。

じゃ、今回はこの辺で。


From: slaughtercult
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