クラウドに関する6つの大きな誤解

(元記事はこちら

正直、クラウドに関する様々な情報って何がホントで何がそうでないか分からないですよね。

私達が企業のクラウド化を支援する際、まず最初にたくさんの質問をします。各企業とって最適化されたクラウド戦略とロードマップを作成するには、まずその企業のグランドビジョン、ゴール、そしてビジネス課題を理解する必要があるからです。そして、それを通じて企業も私達に多くの質問をし、クラウド・トランスフォーメーションが組織に及ぼす影響や必要な準備・取り組みをクリアにしていきます。

私達は長年にわたって多くのクラウドに関する誤解を見聞きしてきました。この記事では、主な6つの誤解を紐解いていきます。

誤解1:クラウドは単なるストレージである

クラウドのストレージ機能は実に革新的であり、多くの企業はストレージをクラウド導入の入り口にします。しかし、クラウドの全容はストレージ機能をはるかに超えています。

データ管理をクラウドに移行することにより、長期の開発・運用・拡張を経てパッチワークのようになってしまった不自然なオンプレミスハードウェアから脱却すると、【イノベーションの推進】、【製品のより迅速な市場投入】、【中核的なビジネスモデルの強化】など、あなたが本当に実行したいことを自由に行えるようになります。そして、クラウド上には、これらをすべて実行するために必要なソフトウェアが既に揃っています。

クラウドは拡張性があり、ダイナミックで、無限のケイパビリティを持った環境です。ビジネスゴールが何であれ、クラウドはそこにあなたを導くでしょう。

誤解2:クラウドはITのドメインであり、人やプロダクトは関係ない

実はその真逆で、クラウドは人とプロダクトに深く関わるものです。

ある日、人里離れた町に住むの患者が不自然な胸の痛みを訴え医師を訪ねます。困惑した医師は、患者の心拍数などの記録をアプリにアップロードし、テスト結果を待ちます。見切り発車で患者を遠方のより設備の整った医療施設に送るのではなく、患者と医師の両方がテスト結果を取得し、その場で最も適したネクストステップを決定することができます。

上記のシナリオにおけるクラウドは、あくまでも患者や医師の体験を支えるインフラであり、体験はすべて人とプロダクトを介します。

また、これはごく一例で、この様な例が他にも多くあります。

クラウドは優れた従業員体験を生み出すことで、優秀な従業員を引き付け、離職を防止するのにも役立ちます。例えば、営業担当者はクラウドベースのCRMの力を使い、あらゆるデバイス・場所・時間に顧客を見つけ、アナログなツールよりもスムーズで効果的にディールをクローズすることができます。

クラウドを活用するレストランは、スタッフのシフト交換をシンプルかつ透明性のある形で実現できます。また、キッチン管理者は、どの料理が一貫して人気があるかをトラッキングでき、ソムリエは週末の後にセラーどのワインがあるかを正確に把握てきます。製品の立ち上げやビジネスの運営を容易にできうるアイデアは、基本的にはすべてクラウド上にあります。

誤解3:クラウドは安全じゃない

これまた間違い。データを別の会社のプラットフォームに移行することに不安を感じるのは自然ですが、クラウドは安全です。本当に。

最近はメディアで情報漏洩のニュースが多く取り上げられるようになりました。クレジットカードの情報、個人情報、携帯電話番号、海外では社会保障番号などがハッカーによって毎日のように不正にアクセスされています。しかし、これらの情報漏洩はデータがクラウド上にあったからではなく、定期的なソフトウェア更新やセキュリティパッチのインストールを怠る人為的ミスや過失によるものです。

また、クラウドプロバイダーはセキュリティについて非常に真剣に取り組んでおり、多額の投資も行っています。Microsoft AzureAmazon Web Services (AWS)Google Cloud などの主要なクラウドプロバイダーは、博士号取得者で構成されたセキュリティのみに専念しているチームを抱えています。

Microsoftには、顧客企業がサイバー脅威に対応するために必要なリソースに24時間アクセスできるサイバーディフェンスオペレーションセンターがあります。 また、DDoS(分散型サービス拒否)攻撃保護プラットフォームは、トラフィックをリアルタイムで分析し、攻撃の検出から90秒以内に対応・軽減する機能も備えています。

これらのクラウドプロバイダーが抱える世界トップクラスのセキュリティ専門家はどの企業も喉から手が出るほどほしい人材で、だからこそNetflix、アラスカ航空、NASAなどの組織はクラウドを導入しています。

誤解4:移行した瞬間からIT費用を節約できる

クラウドは長期的な費用の削減につながるものの、その効果は必ずしもすぐに現れるとは限りませんし、それがクラウド・トランスフォーメーションを行うの最大の理由であってはなりません。

例えば、ソフトウェアライセンスやオンプレミス・クラウド・インフラストラクチャーを使えばですぐにランニングコストを節約できるかもしれませんが、これらは移行の初期費用が高いためIT費用の削減の成果がはっきりと出るまでに数か月以上かかることを意味します。

繰り返しますが、クラウドへ移行することでほぼ確実にIT費用を削減できます。重複するソフトウェアの発見と集約、異なるハードウェアにデータをバックアップする冗長性、それらに関連するエネルギーと資金の無駄な消費、セキュリティの脆弱性に関するリスク・コストの排除(上記参照)、キャパシティへのコミットメントではなく使用した分だけ料金を支払うクラウドの価格モデルなど、思いも寄らない領域に効率化の種を発見できるでしょう。また、あなたの組織の優れたITスタッフは、プラットフォームの管理からより戦略的な業務にシフトでき、製品をより効率的・効果的に市場に投入できるようになります。これらは全てクラウドに移行する大きな利点です。

もちろん費用の節約はとても大事ですが、クラウド・トランスフォーメーションの場合、最大のリターンをそれよりも重要な戦略的要素(セキュリティ、拡張性・柔軟性、コラボレーション、迅速なイノベーション、など)に見出すことが重要です。

誤解5:クラウドへの移行は、すべて一度に行わなければならい

これが本当だったら悪夢です。幸い、クラウドには驚くほどの拡張性があり、オープンエンドです。例えば、チームや部署ごとに少しずつIT資産をクラウドに移行することもできれば、残りを永久にオンプレミスシステム残すこともできます。移行の度合いを決めるのはクラウドテクノロジーではありません。あなたです。

誤解6:もう出遅れている

そんなことはありません。むしろ、今ほど絶好のタイミングはありません。

私達は数年前にクラウドに参入したアーリーアドプター企業に感謝をしています。それらの勇敢な企業は、多くの試行錯誤を行い、落とし穴とベストプラクティスを特定しました。多くのアーリーアドプター企業を支援してきた経験から言えば、クラウドの比較的短い歴史の中で、今がビジネスの移行を検討する最適な時期です。昔に比べプロセスが明確、クラウドプロバイダーの進化とダイナミック化、 セキュリティの強固さなど、その理由は多義に渡ります。

今がクラウドについて考え始めるのベストタイミングです。そして、仮にまだその準備ができていなくても、完全に手遅れになることは決してありません。

クラウド上に安全なインフラストラクチャを構築するための最新かつ最適なメソッドについて、こちらのホワイトペーパー(英語)を御覧ください。 How to Eat an Airplane

= = = = =

あなたの組織は、アジャイル、DevOps、クラウド、顧客体験、イノベーションについてのビジネス課題をお持ちですか?アメリカの最新事例、ツール、ノウハウを使い、共にあなたの組織を変革しましょう。詳しくは tokyo@slalom.com まで。

= = = = =

スラローム・コンサルティングについて

スラロームは、戦略・アジャイル・クラウド・イノベーションに特化した、ハイペースで先進的な総合コンサルティングファームです。

私達の活動は、33ヶ所のオフィス、7つのビルドセンター、世界規模のコラボレーション文化と、トップテクノロジープロバイダーとのパートナーシップによって支えられています。

2001年に設立され、シアトルに本社を置くスラロームは、7,000人以上のコンサルタントと1,200社を超えるクライアントを抱える企業に成長しました。フォーチュン社の「働きがいのある企業ベスト100」などのランキングにも毎年名を連ねる、多様でインクルーシブな企業文化のあるコンサルティングファームです。

https://www.slalom.com/