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寿司屋はいい加減シャリを疑ったほうがいいーちらし麺食レポー

近くに何回か行っているラーメン屋がある。

鮮魚鶏出汁麺 沢むら

ふとラーメンが食べたくなって、ここへ行こうと思い立った。

道中、

どのラーメンを頼もうかと考えながら

前から気になっていたメニューがあったので、今回はそれにチャレンジしようと決めた。


その名も「ちらし麺」


その名の通り、ちらし寿司をラーメンとして生まれ変わらせたものだ。

注文して席に着くと、

しばらくして湯呑みが出された。

「ちらし麺をご注文の方にお出ししております」

作法は寿司に倣うらしい。

程なくして本命のちらし麺が到着。

「よくかき混ぜてお食べください」

わさびとガリも別皿で付いてくる。

どんぶりにはたっぷり海鮮が盛り付けられており

ネギトロ、イクラ、ホタテ、サーモン、ハマグリ、トビッコ、煮卵、ノリ、油揚げなど

絵面はどちらかと言うと海鮮丼に近い。

海鮮丼は大好きなのでテンションは上がる。

しかし騙されるな。

これは麺。

写真付き記事


実食。そして困惑


これをまぜそばの要領で底からよくかき混ぜる。

麺をすする。

まずタレは寿司酢になっていてそこで驚く。

海鮮がタレと共に麺に絡みついて、口に入ると一体となる。

確かにこれはラーメンでもない、寿司でもない、ちらし麺だ。

寿司を食べた食後感に近いこれは、まさにちらし麺という他ないだろう。

ちらし寿司は色んな具材を一緒に味わうことが出来る料理だ。

個人的にご飯ものは、見た目的に米と具を混ぜずに食べたくなってしまう。

麺はその点に置いて、ご飯に比べて躊躇いなく混ぜて豪快に食べられるため意外とちらし寿司に向いているのかもしれない。

確かに美味しい。

しかし僕は困惑していた。

求めていたものとは違う。

なぜならラーメンを食べにここへきたからだ。

同時に疑問が湧き上がった。

ちらし麺を食べるモチベーションがラーメンのそれではないなら、ちらし麺とは一体いつ食べるものなのだろうか。

ちらし寿司とは


ちらし寿司はいつ食べるものだろうか。

一般的にはひな祭りのお祝いの食べ物とされている。

その場合のちらし寿司にはえび、れんこん、豆など縁起を担ぐ食材を乗せるそうだ。

ちらし麺の具材からするとお祝いの意味合いは無さそうだ。

ちらし寿司には地域性があるらしい。

江戸前ちらしというちらし寿司は

スシのネタに使用する具材と酢めしを用いた、寿司職人の賄い飯として作られていたそうだ。

具材にはガリがあったり、ワサビが添えられていたらしい。

ちらし麺はこの江戸前ちらしに近い形式だと考えられる。

たまにある、まかないで出していたものをメニューにしちゃいました、みたいなノリで

寿司職人の経験のあるラーメン屋店主は、このちらし麺にたどり着いたのかもしれない。


ちらし麺のTPO


そう考えると

このちらし麺はラーメン屋より、寿司屋にあった方が受け入れられるような気がした。

ラーメンは拉麺と書くように、麺こそがその本質であるが

寿司はたまたま日本で自然な米が用いられて、そのまま惰性で続けているだけで

米である必要はないかもしれない。

パスタやピザ、はたまた焼売でもいいのかもしれない。

むしろ寿司屋は米のシャリに囚われず、麺や他の炭水化物に世界を広げてもいいのではないか。

そんなことを考えながら、バーのカウンターでこの文を書き終えた。


参考

ちゃんと説明できる?ひなまつりに【ちらし寿司】を食べる意味

Wikipedia  ちらし寿司



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