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流れる音楽とコーヒーに僕は涙を流す

週一の休み。
近所のショッピングモールの安売りを目指して、僕は休みながら重い腰を上げる。

今日は雨。

いつもなら自転車で向かうその場所も「なんとなく」に従ってバスで向かう。
きっと、朝に引いた占いカードのせい。
「静寂を大切に。ただ休むのではありません。あなたには、それが必要です」


モール内のスーパーに向かう前、いつものスターバックスに寄る。
これも私の休みの習慣。

「ホットのグランデのホワイトモカを、リストレットの無脂肪乳で」

いつもの場所で、いつものオーダー。
でも店員さんは入ったばっかりの人だったらしく、他の人と変わらぬ、優しい笑顔をくれた。



飲み物に口をつけ。
静かに、イヤホンをつけて、静寂を待つ。

今日作ったばかりのプレイリストを流して、耳を傾ける。
なんてことのない「brave(勇気)」とつけたプレイリストを。


「目指していた 誰も知り得ない 夜明けを僕らは超えていけ」
「私は今しか知らない あなたの今に閃きたい」
「夢に僕らで帆を張って 来るべき日に夜を越え いざ期待だけ満タンで あとはどうにかなるさと 肩を組んだ」
「どれだけ過去が辛くて暗くても 昨日のよりも不安な明日が増えても 悩んだり泣いたりする今日も 進め君らしく 心踊る その先には幸を」




たくさん、ないた。




スターバックスは、涙を流すところではない。
それは、僕だって知っている。
でも、「なんとなく」選んだ曲たちが、錆びついた心を剥がしていく…


「ああ。未来をまた、恐れていたんだな。」


僕は心の中で、恥ずかしながらつぶやく。
それは、未来を恐れていた事実ではなく、また同じことを忘れていた「まぬけさ」に。



沈まぬホイップクリームが甘さを運んでくれる。
ああ、そうだ。
これが「僕なんだ」と、ことん、とカップを置く音とともに目を瞑り思う。



僕は弱い人間です。
未来も分からない、不安に震える人間です。


でも。


そんなところも好きで。

ときどき無茶して、人のために全力いられる自分が…



やっぱり、好きです。


「ごちそうさまー」
空になったカップを片付け、店員さんに声をかける。

いいじゃん。そのまんまで。
いいじゃん。今を全力で。

それで生きてきたんだから。
それで今、笑顔が増えたのだから。


帰りのバス。
好きな人に「好き」とたくさん伝えた今日を思った。

そんな今が。今日が。いいもんだなって、窓を見た。


きっと幸せな今が続けば。
それは未来になって「これから」を紡いでいく。


梅雨。

ひと休みも、たまには悪くないよね。

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